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「ラブレター」
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朝。新鮮な空気を吸いながら、校舎に向かっていた。合宿が終わり、いつも通りの日常が戻ってきた。
「おはよう。松阪」
「松阪君。ヤッホー」
「おう」
合宿以降、隼人は多くの生徒たちから声をかけられるようになった。おそらく恩を感じているからだろう。
学校の門をくぐり、靴を履き替えようとした時、封筒のようなものがあった。
驚愕。隼人は今、人生ではじめての経験をしていた。学園の玄関。自分の靴箱のロッカーにそれはあった。
「これって」
隼人自身、この手のものが何なのかは理解できる。俗にいうラブレターだ。とりあえず内容を確認するため、すぐさま男子トイレの個室に入った。
人生初のラブレター。テレビやドラマで見たことはあるが、実際にもらうのは初めてだ。
恐る恐る封を切ると一枚の紙が入っていた。紙には『放課後、屋上で待っています』そう一言書かれていた。
名前は書いていないので誰か分からないが、実に綺麗で達筆な文字だ。
「行ってからのお楽しみってことか」
隼人は懐に手紙を入れて、個室を後にした。
「おはよう松阪君」
「ああ、おはよう」
教室に入ると見慣れた白髪の少女と挨拶を交わした。機械的に挨拶を行っていた以前と違い、少しばかり感情の篭った挨拶をするようになっていった。
おそらく彼女との時間を過ごしていくうちに培って行ったものだ。
「はーい。皆さん。席についてくださいねー」
担任の星野奏が日誌を片手に入室して来た。それとともに散り散りだった生徒達が席につき始める。
「えー。分かっていると思いますが、明日で夏休みに入ります」
奏の言葉で辺りに明るい雰囲気が漂い始める。
訓練ざんまいの日々を送るこの学園の生徒が他校の生徒と同じく青春を謳歌できる期間なのだ。
来週から待ちに待った長期夏期休暇。隼人はすでに夏休みのプランを頭に入れているので、それを実行するのが楽しみで仕方がないのだ。
「みなさんも遊び盛りの年頃ですが、せいぜい羽目を外さないようにね。それでは小言はこの辺にして、出席をとりますね」
奏が丸眼鏡を少し、整えてから生徒の名前を呼んで行った。その間、夏休みの予定とともにラブレターの件が頭をよぎる。
一体、誰なのか、どういった理由で好意を持っているのか、そもそもこれは恋愛的な意味合いで渡されているのか、もし屋上に行ったら女の子ではなく、敵意をむき出しにした男子生徒かもしれない。
憶測が頭の中を縦横無尽に飛び交っていく。
「松阪君!」
「はっ、はい!」
「名前を呼ばれたら返事してね。 もう! 夏休みはまだ先よ。先行しちゃだーめ」
辺りから笑い声が溢れ出して、隼人は頬を赤くした。
お昼時、多くの生徒達が食堂に向かう中、隼人は一人、いつものように屋上に向かおうとしていた。
「ねえ! 松阪君も一緒に食べない?」
「あー。悪いパスで」
隼人はクラスの女子生徒からの誘いを丁重に断り、屋上へと向かった。今は誰かと一緒にいるより一人でラブレターの一件について考えたいのだ。
晴天の下、隼人は握り飯を食べながら、思考を巡らせていた。彼自身、一枚の手紙にここまで胸が踊るとは思わなかったのだ。
自分が他人に好意を向けられるような事をした覚えなどない。なぜ、
じっくりと考え込むたびに咀嚼がゆっくりとしていく。
「随分と考え込んでいるみたいね」
「聖堂寺」
結巳が怪訝な表情で扉にもたれかかっている。
「朝礼といい。授業中といい今日はどこか変よ。まるで別のところに意識を持って行かれているようなそんな気がする」
どうやら彼女には勘付かれていたらしい。もしかしたら彼女ならこの手の事が分かるかもしれない。
隼人は早速、聞いてみることにした。
「実はラブレターをもらってな」
「はい?」
「放課後、屋上に呼ばれてさ。人生で初めてだからどうしていいか、分からないんだ」
人生初の経験。思って見なかったイベントに対して、彼は人からの助言を仰いだ。
結巳の顔色に陰りが見えた。その表情からは怒りなどは感じられない。どちらかというと焦燥感に駆られたようなそんな顔だ。
「わっ、私も今までそういう経験がないから、よく分からないわ」
「そっか。ありがとう」
隼人は軽く礼を言うと、再び手紙に目を向けた。
放課後、ついにラブレターに書かれた。約束の時が来た。普段、よく登る屋上への階段。
身に覚えのない緊張感のせいか、不思議と足取りが重く感じる。
屋上の扉をゆっくりと開けると夕日とともに人影が入って来た。隼人はその少女を知っていた。
そこにいたのは合宿の時、忌獣から助けた女子生徒だったのだ。
「あんたはこの前の」
「この前はありがとう」
「あなたの事を好きなっていた。あなたがよければ私と付き合ってもらえないかな?」
「ごめん。君とは付き合えない」
「なっ、なんでですか? 一回だけ! 一回だけお出かけしよう! その一回で絶対、前向きにさせるから」
女子生徒が必死の形相で訴えかけてくる。それほどまで自身のことを思ってくれているという事実に隼人自身、こみ上げてくるものがあった。
「まさか聖堂寺さんの事」
「違うぞ。あいつとはそういう関係じゃない」
「じゃあ、なんですか?」
「そうじゃない。今は恋愛ごとにかまけている場合じゃないんだ。誰が相手でも関係ない」
隼人ははっきりと信念を込めた言葉で伝えた。
「そっか。ありがとう。ごめんね」
女子生徒が袖で目元を拭った後、階段を降りていった。
「それに俺にそんなものを持つ資格なんかない」
力なく胸に渦巻いた思いを吐き出すと辺りに虚しさが漂い始めた。
その日の夜。結巳は寮の外で木刀を振るっていた。しかし、その目には憂いを帯びており、なんとも言えない表情だ。
原因はラブレターだ。放課後、隼人の事が気になり、悟られないように屋上に向かう隼人についていった。
屋上の近くに隠れていると、階段を上がる小さな人影が見えた。
「あんたはこの前の」
「この前はありがとう」
結巳は彼らの会話に耳をかたむける。彼女自身、何故こんな事をしてるかよく分からない。
「あなたの事を好きなっていた。あなたがよければ私と付き合ってもらえないかな?」
女子生徒の言葉を聞いて、結巳の心臓が跳ね上がるのを感じた。実際の告白を見たのは生まれて初めてだったのだ。
「ごめん。君とは付き合えない」
「なっ、なんでですか? 一回だけ! 一回だけお出かけしよう! その一回で絶対、前向きにさせるから」
女子生徒の悲痛な声が屋上と結巳に轟いた。魂の叫びとも言えるその声はどこか切なさを帯びた今の夕空と重なった。
「まさか聖堂寺さんの事」
「違うぞ。あいつとはそういう関係じゃない」
即答だった。そこまで断言する必要があるのか? 隼人の俊敏な対応にどこか憤りを覚えた。
「じゃあ、なんですか?」
「今は恋愛ごとにかまけている場合じゃないんだ。誰が相手でも関係ない」
隼人の意志のこもったような深い声が聞こえる。彼の言葉には嘘がない。あるのは鋼のような覚悟だ。
それは今日までともに時間を過ごしてきた結巳は十分に分かっていた。
「そっか。ありがとう。ごめんね」
女子生徒が袖で目元を拭った後、結巳に気づかず通り過ぎていった。結巳もそれに便乗してゆっくりとその場を離れた。
「誰が相手でも関係ないか」
彼が言った言葉を繰り返した。自分に向けられたわけでもないにも関わらず、何故か、胸に深く残る。
「こんな夜までご苦労ね」
声のする方に目を向けると結巳の母である聖堂寺美香がこちらに歩いてきていた。
「お母様。役員会議は終わったのですか?」
「ええ。少し長引いたけどね」
美香が少し引きつった顔で笑みを浮かべた。その顔から疲労感が溢れ出ていた。
「他の方々はやっぱり未だに私が首長である事に疑念を持っている人が多いのよ」
「全く。役員の連中ときたら」
結巳は怒りを覚えた。
父の死後、母は骨身を惜しまず働いた。そして、確かな実力で組織を動かしてきたのにも関わらず、一部の連中は嫁入りした人間という事で正当な評価を与えないのだ。
「それより随分と精がでるわね。松阪君の影響かしら」
「なっ、なんで彼の仲間が出るんですか!?」
「そんなに慌てなくても。でも彼って強いわよね」
「ええ、剣術の実力は私よりも」
「松阪隼人くんの実力は並みの戦闘員よりもはるかに高い。下手すれば対策本部の幹部にすら匹敵するかもしれない」
美香の言葉に結巳は心臓を鷲掴みにされたように目を大きくさせた。
でも彼はまた十六の高校生。忌獣狩りで生業を立てる家柄でもないそこまでの実力を身につけられるものなのか、気になった。
祖父から剣を教わった事は分かった。しかし、何故彼がそこまで強さや忌獣や鳥籠に対して、憎悪をたぎらせているのか理解できない。
「松阪くんの事。もっと知りたいんじゃないの?」
「ええ、まあ」
「なら彼を付けてみたらいいんじゃない。彼の実力の秘密を知りたいなら、松阪隼人という人間を理解する必要がある」
母のその言葉を聞いて、心が揺れた。彼を知れば、もっと近づける。もっと強くなれるかも知れない。
強さへの渇望とまた別の感情が入り混じりながら、彼女の夏休みは静かにを上げた。
「おはよう。松阪」
「松阪君。ヤッホー」
「おう」
合宿以降、隼人は多くの生徒たちから声をかけられるようになった。おそらく恩を感じているからだろう。
学校の門をくぐり、靴を履き替えようとした時、封筒のようなものがあった。
驚愕。隼人は今、人生ではじめての経験をしていた。学園の玄関。自分の靴箱のロッカーにそれはあった。
「これって」
隼人自身、この手のものが何なのかは理解できる。俗にいうラブレターだ。とりあえず内容を確認するため、すぐさま男子トイレの個室に入った。
人生初のラブレター。テレビやドラマで見たことはあるが、実際にもらうのは初めてだ。
恐る恐る封を切ると一枚の紙が入っていた。紙には『放課後、屋上で待っています』そう一言書かれていた。
名前は書いていないので誰か分からないが、実に綺麗で達筆な文字だ。
「行ってからのお楽しみってことか」
隼人は懐に手紙を入れて、個室を後にした。
「おはよう松阪君」
「ああ、おはよう」
教室に入ると見慣れた白髪の少女と挨拶を交わした。機械的に挨拶を行っていた以前と違い、少しばかり感情の篭った挨拶をするようになっていった。
おそらく彼女との時間を過ごしていくうちに培って行ったものだ。
「はーい。皆さん。席についてくださいねー」
担任の星野奏が日誌を片手に入室して来た。それとともに散り散りだった生徒達が席につき始める。
「えー。分かっていると思いますが、明日で夏休みに入ります」
奏の言葉で辺りに明るい雰囲気が漂い始める。
訓練ざんまいの日々を送るこの学園の生徒が他校の生徒と同じく青春を謳歌できる期間なのだ。
来週から待ちに待った長期夏期休暇。隼人はすでに夏休みのプランを頭に入れているので、それを実行するのが楽しみで仕方がないのだ。
「みなさんも遊び盛りの年頃ですが、せいぜい羽目を外さないようにね。それでは小言はこの辺にして、出席をとりますね」
奏が丸眼鏡を少し、整えてから生徒の名前を呼んで行った。その間、夏休みの予定とともにラブレターの件が頭をよぎる。
一体、誰なのか、どういった理由で好意を持っているのか、そもそもこれは恋愛的な意味合いで渡されているのか、もし屋上に行ったら女の子ではなく、敵意をむき出しにした男子生徒かもしれない。
憶測が頭の中を縦横無尽に飛び交っていく。
「松阪君!」
「はっ、はい!」
「名前を呼ばれたら返事してね。 もう! 夏休みはまだ先よ。先行しちゃだーめ」
辺りから笑い声が溢れ出して、隼人は頬を赤くした。
お昼時、多くの生徒達が食堂に向かう中、隼人は一人、いつものように屋上に向かおうとしていた。
「ねえ! 松阪君も一緒に食べない?」
「あー。悪いパスで」
隼人はクラスの女子生徒からの誘いを丁重に断り、屋上へと向かった。今は誰かと一緒にいるより一人でラブレターの一件について考えたいのだ。
晴天の下、隼人は握り飯を食べながら、思考を巡らせていた。彼自身、一枚の手紙にここまで胸が踊るとは思わなかったのだ。
自分が他人に好意を向けられるような事をした覚えなどない。なぜ、
じっくりと考え込むたびに咀嚼がゆっくりとしていく。
「随分と考え込んでいるみたいね」
「聖堂寺」
結巳が怪訝な表情で扉にもたれかかっている。
「朝礼といい。授業中といい今日はどこか変よ。まるで別のところに意識を持って行かれているようなそんな気がする」
どうやら彼女には勘付かれていたらしい。もしかしたら彼女ならこの手の事が分かるかもしれない。
隼人は早速、聞いてみることにした。
「実はラブレターをもらってな」
「はい?」
「放課後、屋上に呼ばれてさ。人生で初めてだからどうしていいか、分からないんだ」
人生初の経験。思って見なかったイベントに対して、彼は人からの助言を仰いだ。
結巳の顔色に陰りが見えた。その表情からは怒りなどは感じられない。どちらかというと焦燥感に駆られたようなそんな顔だ。
「わっ、私も今までそういう経験がないから、よく分からないわ」
「そっか。ありがとう」
隼人は軽く礼を言うと、再び手紙に目を向けた。
放課後、ついにラブレターに書かれた。約束の時が来た。普段、よく登る屋上への階段。
身に覚えのない緊張感のせいか、不思議と足取りが重く感じる。
屋上の扉をゆっくりと開けると夕日とともに人影が入って来た。隼人はその少女を知っていた。
そこにいたのは合宿の時、忌獣から助けた女子生徒だったのだ。
「あんたはこの前の」
「この前はありがとう」
「あなたの事を好きなっていた。あなたがよければ私と付き合ってもらえないかな?」
「ごめん。君とは付き合えない」
「なっ、なんでですか? 一回だけ! 一回だけお出かけしよう! その一回で絶対、前向きにさせるから」
女子生徒が必死の形相で訴えかけてくる。それほどまで自身のことを思ってくれているという事実に隼人自身、こみ上げてくるものがあった。
「まさか聖堂寺さんの事」
「違うぞ。あいつとはそういう関係じゃない」
「じゃあ、なんですか?」
「そうじゃない。今は恋愛ごとにかまけている場合じゃないんだ。誰が相手でも関係ない」
隼人ははっきりと信念を込めた言葉で伝えた。
「そっか。ありがとう。ごめんね」
女子生徒が袖で目元を拭った後、階段を降りていった。
「それに俺にそんなものを持つ資格なんかない」
力なく胸に渦巻いた思いを吐き出すと辺りに虚しさが漂い始めた。
その日の夜。結巳は寮の外で木刀を振るっていた。しかし、その目には憂いを帯びており、なんとも言えない表情だ。
原因はラブレターだ。放課後、隼人の事が気になり、悟られないように屋上に向かう隼人についていった。
屋上の近くに隠れていると、階段を上がる小さな人影が見えた。
「あんたはこの前の」
「この前はありがとう」
結巳は彼らの会話に耳をかたむける。彼女自身、何故こんな事をしてるかよく分からない。
「あなたの事を好きなっていた。あなたがよければ私と付き合ってもらえないかな?」
女子生徒の言葉を聞いて、結巳の心臓が跳ね上がるのを感じた。実際の告白を見たのは生まれて初めてだったのだ。
「ごめん。君とは付き合えない」
「なっ、なんでですか? 一回だけ! 一回だけお出かけしよう! その一回で絶対、前向きにさせるから」
女子生徒の悲痛な声が屋上と結巳に轟いた。魂の叫びとも言えるその声はどこか切なさを帯びた今の夕空と重なった。
「まさか聖堂寺さんの事」
「違うぞ。あいつとはそういう関係じゃない」
即答だった。そこまで断言する必要があるのか? 隼人の俊敏な対応にどこか憤りを覚えた。
「じゃあ、なんですか?」
「今は恋愛ごとにかまけている場合じゃないんだ。誰が相手でも関係ない」
隼人の意志のこもったような深い声が聞こえる。彼の言葉には嘘がない。あるのは鋼のような覚悟だ。
それは今日までともに時間を過ごしてきた結巳は十分に分かっていた。
「そっか。ありがとう。ごめんね」
女子生徒が袖で目元を拭った後、結巳に気づかず通り過ぎていった。結巳もそれに便乗してゆっくりとその場を離れた。
「誰が相手でも関係ないか」
彼が言った言葉を繰り返した。自分に向けられたわけでもないにも関わらず、何故か、胸に深く残る。
「こんな夜までご苦労ね」
声のする方に目を向けると結巳の母である聖堂寺美香がこちらに歩いてきていた。
「お母様。役員会議は終わったのですか?」
「ええ。少し長引いたけどね」
美香が少し引きつった顔で笑みを浮かべた。その顔から疲労感が溢れ出ていた。
「他の方々はやっぱり未だに私が首長である事に疑念を持っている人が多いのよ」
「全く。役員の連中ときたら」
結巳は怒りを覚えた。
父の死後、母は骨身を惜しまず働いた。そして、確かな実力で組織を動かしてきたのにも関わらず、一部の連中は嫁入りした人間という事で正当な評価を与えないのだ。
「それより随分と精がでるわね。松阪君の影響かしら」
「なっ、なんで彼の仲間が出るんですか!?」
「そんなに慌てなくても。でも彼って強いわよね」
「ええ、剣術の実力は私よりも」
「松阪隼人くんの実力は並みの戦闘員よりもはるかに高い。下手すれば対策本部の幹部にすら匹敵するかもしれない」
美香の言葉に結巳は心臓を鷲掴みにされたように目を大きくさせた。
でも彼はまた十六の高校生。忌獣狩りで生業を立てる家柄でもないそこまでの実力を身につけられるものなのか、気になった。
祖父から剣を教わった事は分かった。しかし、何故彼がそこまで強さや忌獣や鳥籠に対して、憎悪をたぎらせているのか理解できない。
「松阪くんの事。もっと知りたいんじゃないの?」
「ええ、まあ」
「なら彼を付けてみたらいいんじゃない。彼の実力の秘密を知りたいなら、松阪隼人という人間を理解する必要がある」
母のその言葉を聞いて、心が揺れた。彼を知れば、もっと近づける。もっと強くなれるかも知れない。
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