手紙を書く男の子

第７話 下駄箱の手紙の送り主

俺は委員長が好きだ。
そして、委員長は俺が好きだ。
間違いない。
俺達が仲良くなったきっかけは、2年の時の学外清掃ボランティア。
人一倍クルクル働くあいつを手伝った時から。
今年同じクラスになってからは、ずっとあいつの仕事を手伝ってたし、自然と一緒に過ごす時間も多かった。
一緒にいる時、あいつはすごく嬉しそうにしてるし、これは好かれてるに決まってる。
ここしばらく、委員長はクラスメイトの栗藤　藍（りっとう　あい）と過ごすことが多くなったけど、それは別にあいつが望んでそうしてるわけじゃない。
担任から頼まれた仕事だから仕方ないんだ。
だから、よくファイル運びを手伝っていたように、栗藤の筆箱探しも一緒にやってやった。
Y町にいじめられていないかの聴取も兼ねた昼飯もつきあってやった。
きっとあいつはますます俺の事が好きになっているはずだ。
でも、ひょっとしたら、あいつは栗藤と過ごすようになったせいで、不安になっているかもしれない。
俺に浮気を疑われていないかって。
そんな心配はいらないのに。
だって、あいつは俺が大好きだと、俺は分かってる。
あいつが俺に向ける好意を疑う余地もなければ、俺達の間に割り込める人間なんているはずも無い。
だから、入るな、来るなと言われた時、アッサリ引き下がっても何も問題は生じない。
…そんなことより、次の手紙は何を書こう。
愛情表現は大切だけど、面と向かって言うのは照れ臭い。
ちゃんとした手紙でも書いてみようかと思ったけど、わざわざ便箋に長い文章を書いて封筒に入れるのもなんだか重い。
だから、もっと気軽に、フセンにメッセージを書いて、下駄箱に貼ってやった。
きっと喜んだに違いないし、誰からのラブレターなのかも分かっているだろう。
俺達がお互い好き合っているのは、お互い重々承知なんだから。