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第2章 覚悟と旅立ち
取得と習得と体得 #1
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『直すと言っても完成はしているから手を加えられる範囲でな。でなければオーダーメイドになる。』
普通、装備品や防具、武器はそれぞれ、
・使用した素材の質と量、素材自体の価値
・付与した能力と数
・デザイン代
・技術代
・付加価値
によって値段が決定される。
素材や付与する能力はそれぞれ規定の金額があり、これは変動しない。しかしデザイン代や技術代、付加価値は生産者の満足度で変動する。納得のいくデザインや出来栄えであれば値が上がる。
オーダーメイドの指名料は付加価値に加算される。しかし、素材を持ち込めばその分安くなり、デザインを持ち込めば完成度によっては技術代が少し高くなるがデザイン代は払わなくて済む。
もちろん丸投げでオーダーメイドだとかなり高くなる。
『あたしはこの命中率の上がる籠手の色をこっちの防御力が上がる籠手みたくして欲しいんだけど…色って後からでも変えられる?』
『そうだな…この籠手なら色の変更は可能だ。ただ、付加価値ってことで少し料金追加するが良いか?』
『うん!良いよ。出来るんだ。良かった。』
追加料金に不安がないのはレベル設定がされているからだ。使用可能かどうかは種族レベル依存になる。これは職業レベルを上げると自然と種族レベルも上がるからだと言われている。
付与数を増やしたり使用素材が稀少になるほど使用可能なレベルが上がる。そのためレベルが低い人ほど安い物になるのだ。追加料金は元値に対して何割などと決められているため、安心していられるという訳だ。
ニーナは結局、弓の命中率が上がる籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉が付与された皮と金属で出来た靴を購入した。
アキリムはそのままで良いらしく、金属で出来た防御力と腕力が少しずつ上がる籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉と〈加速〉が付与された金属の靴を購入した。
クロトは随分悩んでいたが生産の成功率が上がるヘッドバンドだけ購入し、オーダーメイドを頼んでいた。素材とデザインは持ち込みだ。
『これだと素材の加工代だけはかかるぞ?』
クロトは運び屋を取得していないが《空間収納》を所持している。それについては渡人族だからかも知れないと言う結論に至った。なので物は沢山持っておける。そこから持っている素材を出した。
加工代がかかるのは仕方ないことだ。
『ああ。それで、お願いがあるんだ。製作風景を見学させて欲しい。』
『ほぉ。生産職希望か。良いぞ。ただし見学代は頂くぞ?』
『正当な料金であれば喜んで払うよ。』
『そうか。なら詳しい注文を聞こうか。』
クロトが注文したのは、〈重力軽減〉と〈加速〉と〈滑り止め〉が付与された革と金属で出来た靴。
『使用可能な種族レベルがどうなるか怪しいが良いのか?作ってみて使えなくても購入は決定だぞ?それか付与能力を1つ削るか。』
『無理ならレベルを上げるだけだ。このまま作ってくれ。』
『まぁレベル上げが可能な程度なら良いけどな。』
クロトとセンジラールは見学の約束をして、皆は購入した品物の直しや製作のための採寸をし受取日を確認し帰る。
『クロトの分を製作する時は前もって《チャット》を送るからな。』
『わかった。楽しみに待ってる。』
チャットはこの1ヶ月で大分広まった。ギルドからの正式な発表に加え、その便利さと手軽さで。種族レベルが20あれば1往復のやり取りが出来る。ღ30あれば数回のやり取りが難なく出来るようになる。
幾人かの使用者によれば、ある程度の魔力が無いと受取自体が出来ないらしい。子どもに送ろうとして繋がらず、何かあったのかと心配して帰ってみれば何ともなく家におり、試しに目の前で使ってみたらチャットを起動した時の感覚すらないのだとか。子どもには使用不可能だったと言う報告がギルドに何件も上がっているとギルレイから聞いた。そこで、元々の消費魔力自体高めだからこそ送信できる者にしか受信も出来ないのではないかという結論に至った。
レベルを上げないことには分からないが、今のところ修正は出来ないのでその辺は我慢してもらう他ない。
それに会えるんだから直接話せよと思ってしまう。作っておいて何だが、会話に使われるのは違う気がしたので今度作る物にはより使用制限をつけて能力を向上させた方が良さそうだと思った。
ただ、しばらくは作らない。
最近取得した物のレベル上げについてはひとまず先導者だけでいい気がしている。呪文探求者のレベル上げには新たな呪文を生み出すのが効果的なようだ。しかし《チャット》ではいくつか問題が出ているが現時点で改善することは出来ない。レベルが上がったとして改善出来るようになるかの保証もない。だからこそ、おいそれと新たな呪文を考えるのは危険極まりない。必要に駆られた時に、焦らずじっくり考えて生み出さなくては。だからこそ無理にレベル上げはしない。
探偵に関しては現状あまり恩恵を受けていないため、のんびりレベル上げをすることにした。先導者の恩恵はレベルの上がるスピードが上がっていることだ。これはとても助かるため、優先してレベル上げを行っていきたい。4人の取得やレベル上げを手伝うことで先導者のレベル上げも出来て丁度いい。
普通、装備品や防具、武器はそれぞれ、
・使用した素材の質と量、素材自体の価値
・付与した能力と数
・デザイン代
・技術代
・付加価値
によって値段が決定される。
素材や付与する能力はそれぞれ規定の金額があり、これは変動しない。しかしデザイン代や技術代、付加価値は生産者の満足度で変動する。納得のいくデザインや出来栄えであれば値が上がる。
オーダーメイドの指名料は付加価値に加算される。しかし、素材を持ち込めばその分安くなり、デザインを持ち込めば完成度によっては技術代が少し高くなるがデザイン代は払わなくて済む。
もちろん丸投げでオーダーメイドだとかなり高くなる。
『あたしはこの命中率の上がる籠手の色をこっちの防御力が上がる籠手みたくして欲しいんだけど…色って後からでも変えられる?』
『そうだな…この籠手なら色の変更は可能だ。ただ、付加価値ってことで少し料金追加するが良いか?』
『うん!良いよ。出来るんだ。良かった。』
追加料金に不安がないのはレベル設定がされているからだ。使用可能かどうかは種族レベル依存になる。これは職業レベルを上げると自然と種族レベルも上がるからだと言われている。
付与数を増やしたり使用素材が稀少になるほど使用可能なレベルが上がる。そのためレベルが低い人ほど安い物になるのだ。追加料金は元値に対して何割などと決められているため、安心していられるという訳だ。
ニーナは結局、弓の命中率が上がる籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉が付与された皮と金属で出来た靴を購入した。
アキリムはそのままで良いらしく、金属で出来た防御力と腕力が少しずつ上がる籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉と〈加速〉が付与された金属の靴を購入した。
クロトは随分悩んでいたが生産の成功率が上がるヘッドバンドだけ購入し、オーダーメイドを頼んでいた。素材とデザインは持ち込みだ。
『これだと素材の加工代だけはかかるぞ?』
クロトは運び屋を取得していないが《空間収納》を所持している。それについては渡人族だからかも知れないと言う結論に至った。なので物は沢山持っておける。そこから持っている素材を出した。
加工代がかかるのは仕方ないことだ。
『ああ。それで、お願いがあるんだ。製作風景を見学させて欲しい。』
『ほぉ。生産職希望か。良いぞ。ただし見学代は頂くぞ?』
『正当な料金であれば喜んで払うよ。』
『そうか。なら詳しい注文を聞こうか。』
クロトが注文したのは、〈重力軽減〉と〈加速〉と〈滑り止め〉が付与された革と金属で出来た靴。
『使用可能な種族レベルがどうなるか怪しいが良いのか?作ってみて使えなくても購入は決定だぞ?それか付与能力を1つ削るか。』
『無理ならレベルを上げるだけだ。このまま作ってくれ。』
『まぁレベル上げが可能な程度なら良いけどな。』
クロトとセンジラールは見学の約束をして、皆は購入した品物の直しや製作のための採寸をし受取日を確認し帰る。
『クロトの分を製作する時は前もって《チャット》を送るからな。』
『わかった。楽しみに待ってる。』
チャットはこの1ヶ月で大分広まった。ギルドからの正式な発表に加え、その便利さと手軽さで。種族レベルが20あれば1往復のやり取りが出来る。ღ30あれば数回のやり取りが難なく出来るようになる。
幾人かの使用者によれば、ある程度の魔力が無いと受取自体が出来ないらしい。子どもに送ろうとして繋がらず、何かあったのかと心配して帰ってみれば何ともなく家におり、試しに目の前で使ってみたらチャットを起動した時の感覚すらないのだとか。子どもには使用不可能だったと言う報告がギルドに何件も上がっているとギルレイから聞いた。そこで、元々の消費魔力自体高めだからこそ送信できる者にしか受信も出来ないのではないかという結論に至った。
レベルを上げないことには分からないが、今のところ修正は出来ないのでその辺は我慢してもらう他ない。
それに会えるんだから直接話せよと思ってしまう。作っておいて何だが、会話に使われるのは違う気がしたので今度作る物にはより使用制限をつけて能力を向上させた方が良さそうだと思った。
ただ、しばらくは作らない。
最近取得した物のレベル上げについてはひとまず先導者だけでいい気がしている。呪文探求者のレベル上げには新たな呪文を生み出すのが効果的なようだ。しかし《チャット》ではいくつか問題が出ているが現時点で改善することは出来ない。レベルが上がったとして改善出来るようになるかの保証もない。だからこそ、おいそれと新たな呪文を考えるのは危険極まりない。必要に駆られた時に、焦らずじっくり考えて生み出さなくては。だからこそ無理にレベル上げはしない。
探偵に関しては現状あまり恩恵を受けていないため、のんびりレベル上げをすることにした。先導者の恩恵はレベルの上がるスピードが上がっていることだ。これはとても助かるため、優先してレベル上げを行っていきたい。4人の取得やレベル上げを手伝うことで先導者のレベル上げも出来て丁度いい。
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