稀有ってホメてる?

紙吹雪

文字の大きさ
上 下
85 / 96
第2章 覚悟と旅立ち

更なるレベル上げ #1

しおりを挟む
『そっかぁ…じゃあコツとか聞けないね…』

 凄く残念そうに言われてうっとなる。

「効率的なレベルの上げ方なら教えてやれるから頑張って取得しろよ?」

『ほんと?ありがと!』

『なぁ、リミル。忍者も取得してたりしないのか?俺も効率的なレベルの上げ方教えて欲しい。』

『僕も!』

『俺も!』

 リミルは困った。バラバラで教えると凄く時間が取られる。系統が似ているのだから3人まとめてはどうかと思ってしまう。

「4人に別々の物を教えると時間が1人の4倍取られるから、取得の系統が似てるアキリム、クロト、ジャックの3人をまとめて教えるなら良いよ。3人とも3つとも覚えとくと損は無い職業クラスだし。」

『確かに。基礎からやる方が後々楽そうだし、基礎体力とかもついでに上げれて良いかも。』

『僕もより動けるようになるかも知れないし良いよ。』

『俺も忍者使ってみたいしな。』

 3人とも所持職業クラスが増えるのは嬉しいみたいだ。3つ同時は大変だと思うがまぁ、効率的なレベルの上げ方さえ教えたら後は各自でやってもらうしかないし、自分のペースでやればいい話だからそこまで心配する程でもない。
 むしろ職業改変クラスチェンジが目標のニーナの方が大変だろう。

「ならまずは体操者ジムナストを取得して、次に軽業師トレーサーを取得、最後に忍者を取得って流れでレベル上げも同時にやろうか。」

 3人が了承してくれたので一応計画を立てつつニーナの心配をする。

「なぁリリアン。生き物使いテイマーの取得のコツを教えられる信頼出来る人っていないかな?」

愛しい旦那様クリードに聞いてみましょうか?彼、適任者探しそういうの得意だから。』

「うん。助かる。」

『待ってて!』

 リリアンは仕事中に大好きな旦那様へ会いに行ける口実が出来て嬉嬉として向かった。仕事中には敬語を外さないのがモットーなはずのリリアンが、完全に気が逸れていて気づいていなかった。
 リミルは確かに早い方が良いとは思ったがすぐに行ってくれるとは思わなかった。





 リリアンにとってクリードは番で、クリードが告白した時にその事に気づくという、なんともドラマチックな出会いの2人だ。いつでもラブラブなのも仕方ないのかもしれない。
 そんなことを考えているとクライがリリアンを庇うためか、リリアンの行動に呆気にとられていた皆に向かってリリアンへの共感を語った。

<今ならリリアンの反応も分かる気がするぞ。俺もジャックと離れていて会えると思うとソワソワするからな。>

 それを聞いたジャックはクライに優しく触れながらリリアン達に同情した。

『俺らはあんまり別れて行動することが無いけどリリアン達は仕事柄仕方ないよなぁ…。』

『そうなんだ。あたしも成人したら番が分かるようになるのかなぁ…。』

 まだ恋も愛も番も分からないニーナは成人が待ち遠しくなったらしい。
 その様子をみてクロトが焦る。

『え…。俺じゃだめなの?』

『ダメとかじゃなくて、番じゃない人と付き合った後に番が現れたら悲惨なんだってさ…。よくわかんないけど。ママ達が言うには一緒になってくれる番が現れるのを待った方が幸せだって。成人したら番が分かるようになるらしいの。』

 クロトへの気持ちが無いわけでは無いと思うのだが、確かにクロトが番でなかった時のことを考えると心配ではある。
 クロトもそれがわかったのか祈り始めた。

『俺が番であってくれ。頼む、俺をこの世界に連れてきた神様。』

『神様に連れてこられたの?』

 全員が思った疑問をニーナが代表して聞いてくれた。

『いや、わかんないけど。会ってないし。でもそうじゃなきゃ別の世界に転移とか説明がつかないし。』

『どうなんだろうね…。』

 結局は分からないが答え合わせが出来ないのだからかも知れないで済ませるしかない。

『ニーナの近くに出現した意味があるんじゃない?番だから引き寄せられたとか!』

<アキリム、期待させるのは違った時に悲しい思いをさせるだけだからやめておけ。>

 期待を持つと違った時辛いと分かっているからこそクライはアキリムを窘めた。アキリムもハッとなってクロトに謝った。

『そうだね、ごめん。』

『良いよ。そういう考え方もあるなって思えたし。でもクライが言うことも一理ある。期待はしないでおこうかな。ただ、神様がいるかは分からないけど願うのは自由だよな。頼むよ神様。』





 クロトの変なポーズに皆で軽く笑っていると扉をノックする音が聞こえた。リリアンがクリードを連れて戻ってきたのだった。

『リリアンから聞いた。こういう時は適任の道場を教えたりもしてるんだが、今回の場合はそうもいかない。』

『何で?あたしには向いてないとか?』

 ニーナが心配そうに聞いた。道場に向き不向きはないが、先生も人なので相性の善し悪しはある。それを心配しているらしかった。

『いや、担当がモーリスだからだ。まだラッセル達を任せているんだ。初日に他の道場生達とも揉めてな。モーリスの道場は人気で週5日で開いてるんだが、そのうち1日をアイツらだけの貸切にしたんだ。だから他の日は今抱えている人数で手一杯らしい。ラッセルとはお前の保護者であるリミルが絡まれているし、ジャックとも何かあったと聞いた。別の方が良いだろ?』

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~

有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。 主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~

クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。 だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。 リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。 だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。 あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。 そして身体の所有権が俺に移る。 リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。 よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。 お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。 お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう! 味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。 絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ! そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...