稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第1章 出会い

レベル上げ #1

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大変遅くなって申し訳ありません!orz__
悩みまくって今回はいつもより長めにかかってしまいました。_。
#2やら#4やら#5にとても悩まされまして…
すみません、言い訳ですね。
今回章の切り替わりという事もあって#9まであります。
遅くなったお詫びということで残りの8本は昼夜の11時に1本ずつ投稿します!

楽しんで頂けると幸いです。
では本編どーぞ!!

◇───◇───◇───◇───◇



リミルは星空の下光り輝く花々に囲まれ癒されていた。

「もっと稼いでおけば余裕でいられたのかなー?」

リミルは高位冒険者に成り立てとしては貯蓄がある方だ。
ただ、旅に必要な金額が分からず、余裕を持って用意しているに過ぎない。
それでも心許こころもとないのでお金に余裕がないのだ。
出来ればその"旅貯金"には手を付けたくはない。

旅には金がかかる。
移動にかかる日数は稼げないため必然的に食い潰す形となる。

護衛依頼を受けて移動すれば少し稼げるし依頼内容によっては食事代も浮く。
しかし単独での移動に比べ移動時間があまりに長く、他人との長期間の移動はリミルにはハードルが高い。
社交性が無い訳では無いが常に一緒にいる事になる護衛任務は正直苦手だ。

旅が目的なのだから依頼は受けずに行きたい。

だからこそ旅の間ずっと食い潰すことになっても大丈夫な様に金を貯めたのだ。
それでも心許ないと思っている。



「親が子の面倒を見るのは当然、か」

リミルには親の記憶すらない。
当然と言われてもピンとこない。
アキリムやジャックにはギルレイの言葉が理解出来るのだろう。
恐らくクロトやニーナには親がいた記憶はある。

ニーナは亡くなった状況を細かく知っていた。
クロトはニーナっぽい雰囲気だと感じることがある。

2人もギルレイの言うことは分かるだろう。



リミルは子どもが親に大切にされている様子は知っている。
アンリには本当の子どもの様に接してもらっていたのでこんな感じかな?と体感もした。
ギルレイの家に居候するようになる前までのギルレイからも本当に大切にされていると思えていた。

しかし、最近のギルレイからは義務感のようなものを感じて素直に受け取れないでいる。
それを受け取るならば自分もまたクロトとニーナに対する義務が生じるような、そんな気がして。


「どうしよー」


悩むうちにリミルは東屋パビリオンで寝てしまった。





リミルが転移で消えた直後のギルレイ邸第2リビングでは───。

『俺、変なこと言ったか?』

『『言ってないと思うぞ?』』

ギルレイの独り言に、アキリムとジャックは心底わからないという顔をしている。


『リミル君て孤児だったよね?詳しくは知らないけど、あたしの家でクロト含め3人とも親がいないって話になって』

ニーナは両親が居たが、居なくなって初めてその存在の大きさを知った。
居なくなってからは大変だった。
村の皆が助けてくれなければ食事すら出来なかっただろう。
リミルも親がいないと言っていたのでもしかしたら助けられて当たり前というのに引っかかったのではと思った。


するとクライが口を開いた。

<リミルは俺と一緒で記憶の中に親の姿はない。俺は捨てられたと知って泣き始めてから1日も経たないうちにリミルが寄り添ってくれた。だがリミルはニーナより少し幼い頃、14年程前まで一人っきりだった。1番古い記憶では一人で狩りをしていたらしい。俺と出会う12年前までは一人で、会ってからは俺も一緒にずっと森で暮らしていた>

それを聞いて皆黙り込んでしまう。
ギルレイは苦虫を噛み潰したような、苦悶の表情だ。

いち早く立ち直ったニーナが気になったことを聞いた。

『お父さんを知らないって言ってたのはやっぱりそういう意味だったのね……思ったより壮絶だわ。森でって…危険じゃない?危険の少ない森だったの?』

アランシア大陸には危険の少ない森も存在する。
出てくる魔物が全体的に弱かったり、数が少なかったり。
アキリムの種族である森妖精エルフ等が住んでいて安全を確保してくれている森もある。

しかしリミルの育った森はリンドの森で比較的危険の多い森だ。


<リンドの森だ。俺達はあそこで育ったから対して危なくは感じないな>

『嘘でしょ?本気で言ってるの?リミル君幼い頃からずっと一人でリンドの森に居たの?…生きていたのが奇跡だわ…』

ニーナの言葉にクロト以外が頷く。

『リンドの森ってそんなに危険なところなのか?』

『そうだな。巣を離れて森の中を彷徨うろつく奴に限って言えば、普通に棲息してる魔物や魔獣が低くてレベル30,40辺りだな。群れだと10前後からいるが、小さい群でもリーダー格は、弱くても1匹で彷徨いてるやつぐらいだ。つまり、リンドの森で魔物や魔獣に遭遇すればレベル30以上の奴が1匹は確実にいるってことだな。オーバーフローが起きると通常のヤツで低くてレベル15位からの魔物、特殊なヤツだと低くてレベル50からの魔物が森に湧き出る。……古い記憶で既に狩りをしていたということは記憶の残る4歳辺りより以前からという事になる。赤ん坊に訓練させる親はいない。だから3歳児だったとしてもレベル3が普通だ。自由に動き回れるようになって間もない幼子の身でどうやって生き延びたのか…』

リンドの森のレベル帯を聞いて皆黙る。
そこに追い打ちをかけるようなギルレイの推測に言葉がでない。
クライ以外は。


<リミルの昔話はリミルがいる時にしたらどうだ?俺がリミルの昔話をしたのはニーナが親のことを聞いたからだ。何故親の話になったのかまだ聞いてないぞ?>

ニーナは気を取り直して自分の考えを述べた。
当たり前の感覚が違うのでは?と。

<そうだな。俺達は自分でどうにかするのが当たり前だった。俺が出来ないことはやって貰っていたし、リミルが出来ないことで俺ができることはやっていたが>

『価値観が違っていたことにショックを受けたのか?』

<いや、ショックという感情は感じられないな。悩んでる様だ。あ、……どうやら考えながら寝てしまったみたいだ>

クライとのシンクロで1人で考え込んでいることが分かったので次の日帰ってきたら何に悩んでいるのか聞くことにしてそれぞれ寝る準備をして眠りについた。



翌朝帰ってきたリミルは皆に聞かれて素直に話した。すると年齢の話になり、ギルレイの年齢でギルドマスターでリミルよりよっぽど蓄えがあるのだから頼っていいんだと教えられ、年齢差を考慮していなかった自分に呆れた。
クロトはギルレイが30歳前後に見えるらしく年齢を聞いてとてつもなく驚いていた。


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