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本編
第32話
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「あのときなんで急に話を持ち掛けられたんだろってずっと不思議だったんだけど……ヤヒロが言い出したことだったんだね」
タビトは溜息をついたが、その口元は笑っている。
「ヤヒロがあんなこと言わなければ、おまえはあのままミュージカル俳優への道をわき目もふらず進んでたわけだし……俺としては複雑な気持ちだよ。おまえを巻き込むことになったんだから」
首を横に振り、タビトははっきりと否定する。
「巻き込まれたとは思ってない」
「――そうか……」
「でも驚いちゃったな……まさかヤヒロがそこまで俺を必要としてくれてたなんて」タビトは含み笑いを浮かべる。「すっごく嬉しい」
その反応を前に、ホズミは眉を上げた。それに気づいたタビトも同じく驚いたような顔をする。
「嬉しい、か……」
「え?なんかおかしい?」
「いや……自分の名前が駆け引きの道具として使われたことに怒るかもしれないと思ってたからさ」
「怒るわけないじゃん。俺の存在でヤヒロの覚悟が決まったならよかったよ」
あっけらかんとそう言い放つ。
この毒気のなさ……ホズミは思わず苦い笑みをこぼした。そんな彼に柔らかな眼差しを向けたまま、タビトは言う。
「実はさ……ユウのこともあったし、メンバーの間もギスギスしてて落ち込んでたんだよね」
烏龍茶をひとくち飲み喉を湿らせると、視線を伏せて続けた。
「すごく疲れてたんだ……ぜんぶ投げ出したくなるくらい」
その言葉に、ホズミが手をとめてタビトを見つめる。
「でもこんな話を聞いちゃったら落ち込んでる場合じゃないな。ヤヒロがそこまで俺に期待してくれてたなら、ちゃんと応えないと」
「タビト……」
「腐らずにがんばるよ。これからもよろしくね、ホズミさん」
タビトはジョッキを軽く掲げて、中身を飲み干す。酒ではないが、見事な飲みっぷりだ。その勢いに目尻を下げたホズミが、ほっとしたような声で言った。
「すこしは元気になったみたいでよかったよ」
空になったジョッキを手にしたタビトは、ぎこちない笑みを返す。
「元気ないように見えた?」
「おまえは隠すのがうまいけど、今日は電話で話した時から様子がおかしかったな。会ってからもずっと表情が暗かったし……」
ホズミは皿を下げに来たスタッフにタビトの分の烏龍茶を追加注文する。彼女が去ってからも沈黙しているタビトを訝しげに見た。
「どうした?」
彼はどうにも答えられず、半笑いのまま固まっている。
(気づかれてた……)
いつも通りを演じていたはずなのに。完璧に隠せていると思っていたのに。
――デビューしてからまもなく、この世界で輝き続けるためにはすべての負の感情をコントロールしなければならないと知った。
仲間たちのギスギスした空気に耐え、怒りの感情を殺して言葉を呑む。どんなに失礼なスタッフにも頭を下げて、アンチの暴言を聞き流し、ファンからの不躾な要求にもにこやかに答え、週刊誌の記者に私生活を見張られあることないこと書き散らかされても黙って時が過ぎるのを待つ――
大勢にとっての完璧な偶像であるために、悲しみも苦しみも怒りも……時には喜びの表現すら制限しながら、我を忘れてしまうほどの感情に翻弄されないよう努めてきた。
それなのに。
彼の脳裏にチカルの姿がちらつく。よく知りもしない女性の表情を曇らせたというだけで、他人の前で表情管理もできなくなったというのか?愛する祖母の訃報をライブ直前に知らされても最後までテンション高くやりきった俺が?
粟立つ肌を不快に感じながら、乾いた唇を噛み締める。膝が震え、なぜか腹の底から笑いが込み上げてきた。
こんなにも自分のことを理解できないと思う日が来るなんて。
「ホズミさん」
――あのひとは俺を狂わせる。
「家事代行のスタッフさんのことだけどさ」彼女の名も口に出せず俯く。「……変えてもらおうかなって」
聞いたホズミは特に驚きもしない。
「合わなかったか」
「そんなところかな……」
「そうか。わかった」
てっきり詳しく理由を追求されるかと思っていたタビトは、短い返事にいくらか拍子抜けしたような顔になる。
「明日サフェードに連絡しておくよ。次回から代えてもらった方がいいよな」
「……すぐじゃなくても大丈夫。専属プランって月単位での契約だし」
「じゃあ来月からってことにするか。今月もあと少しだもんな」
頷いて視線を上げると、ホズミは彼の皿に焼けた肉を次々のせながら言う。
「さ、たくさん食えよ」
2杯目の烏龍茶が運ばれてきた。タビトは深く考えることを放棄するように肉を食らい、ジョッキを呷る。
そうして久しぶりにたらふく飲み食いし、上機嫌のタビトはホズミにマンションまで送ってもらった。
エントランスに入っていくのを見届け、ホズミは車を発進させる。それを共用スペースの大窓から見送り、タビトはゆったりとした足取りでエレベーターに乗り込んだ。静かに昇る箱に身を任せながら、どっと押し寄せてきた眠気と疲れに項垂れる。
玄関を開けると、いつもの匂いと暗闇だけが彼を待っていた。
最近、こうして玄関に入るとチカルのことが思い浮かぶ。彼はその姿を振り払うようにさっさと靴と靴下を脱いで手を洗うと、用意されていた清潔なタオルで丁寧に手を拭った。
ダイニングテーブルの上においてあるファイルを開き、作業内容を確認する。いつもの定型文のメッセージを読んだあと、込み上げてくる感情に気付かないふりをしてファイルを閉じ、バスルームへと向かった。
シャワーを浴びると、眠気はどこかへ行ってしまった。整えられているベッドに転がってスマホの画面をぼんやりと眺めていたが、強烈な虚しさと怒り、そして喪失感に襲われちっとも集中できない。
彼は耐え切れず身を起こし、スマホをナイトテーブルに放ると両手で顔を覆う。気付けば、あんなにおいしかった肉の味の記憶もすっかり褪せてしまっている。
「ばか……。なんで間違えたんだよ」
消え入りそうな声でつぶやいた。関係を断つと決めたことで楽になったと思ったのに、頭の中が静かになるとどうしようもない悲しみがまたぶり返してきて、無視できないほどに彼の胸中を満たす。
チカルを傷つけてしまった。絶対に嫌な気持ちにさせた。そう思うと、足元が崩れるような錯覚に陥った。
相手はいい大人なのだしあんなことをいつまでも気にするわけがない。時間はもう戻らないのだから考えていても仕方ない……そう繰り返し言い聞かせても、チカルの顔を曇らせた自分自身が許せない。怒りと後悔はいつまでも、勢い衰えぬ波のように押し寄せてくるのだった。
感情の荒波に揺さぶられ今にも壊れそうになりながら彼は、弾かれたように身を起こした。手を伸ばしてチェストの上の灯りをつけ、再び寝転がってSNSアプリを開く。
画面をタップして生配信を開始すると、予告なしにもかかわらず、開始してまもなく視聴者は1万人を越えた。
「こんばんは」
チャット欄にあがる大量のメッセージが下から上に向かい、ものすごい速度で流れては消えていく。こちらの言葉に反応して言葉を返してくれるのを眺めながら、だらだらとしゃべり続けた。
俺はアイドルだ――ファンの愛を全身で浴びながら、頭の中でつぶやく。
アイドルになると決意してからこれまでずっと、仕事も私生活も関係なくいつでも周囲の求める理想に答えてきた。“タビト”はどんなことがあろうと悠然と構えて動じない。それが彼を知る多くの人間の共通認識だ。「容姿も振る舞いも完璧な男」と称される彼が、いかにも人畜無害そうなひとりの女の前に出た途端まともに目も合わせられなくなるだなんて誰も信じないだろう。
彼自身も信じたくはなかった……彼女の瞳に見つめられた瞬間、牙を抜かれ爪を剥がされた憐れな獣になってしまうことを。ほんの些細なことで「嫌われたくない」と泣きながら怯えていることを。
――1時間ほどファンと交流し、彼は配信を終えた。
周囲が再び静寂に満たされる。
彼は長い脚を抱え、ベッドの上にうずくまった。緩んだ指のあいだからスマホが落ちる。
違う。
こんなにみっともない姿が“タビト”のはずがない。
タビトは溜息をついたが、その口元は笑っている。
「ヤヒロがあんなこと言わなければ、おまえはあのままミュージカル俳優への道をわき目もふらず進んでたわけだし……俺としては複雑な気持ちだよ。おまえを巻き込むことになったんだから」
首を横に振り、タビトははっきりと否定する。
「巻き込まれたとは思ってない」
「――そうか……」
「でも驚いちゃったな……まさかヤヒロがそこまで俺を必要としてくれてたなんて」タビトは含み笑いを浮かべる。「すっごく嬉しい」
その反応を前に、ホズミは眉を上げた。それに気づいたタビトも同じく驚いたような顔をする。
「嬉しい、か……」
「え?なんかおかしい?」
「いや……自分の名前が駆け引きの道具として使われたことに怒るかもしれないと思ってたからさ」
「怒るわけないじゃん。俺の存在でヤヒロの覚悟が決まったならよかったよ」
あっけらかんとそう言い放つ。
この毒気のなさ……ホズミは思わず苦い笑みをこぼした。そんな彼に柔らかな眼差しを向けたまま、タビトは言う。
「実はさ……ユウのこともあったし、メンバーの間もギスギスしてて落ち込んでたんだよね」
烏龍茶をひとくち飲み喉を湿らせると、視線を伏せて続けた。
「すごく疲れてたんだ……ぜんぶ投げ出したくなるくらい」
その言葉に、ホズミが手をとめてタビトを見つめる。
「でもこんな話を聞いちゃったら落ち込んでる場合じゃないな。ヤヒロがそこまで俺に期待してくれてたなら、ちゃんと応えないと」
「タビト……」
「腐らずにがんばるよ。これからもよろしくね、ホズミさん」
タビトはジョッキを軽く掲げて、中身を飲み干す。酒ではないが、見事な飲みっぷりだ。その勢いに目尻を下げたホズミが、ほっとしたような声で言った。
「すこしは元気になったみたいでよかったよ」
空になったジョッキを手にしたタビトは、ぎこちない笑みを返す。
「元気ないように見えた?」
「おまえは隠すのがうまいけど、今日は電話で話した時から様子がおかしかったな。会ってからもずっと表情が暗かったし……」
ホズミは皿を下げに来たスタッフにタビトの分の烏龍茶を追加注文する。彼女が去ってからも沈黙しているタビトを訝しげに見た。
「どうした?」
彼はどうにも答えられず、半笑いのまま固まっている。
(気づかれてた……)
いつも通りを演じていたはずなのに。完璧に隠せていると思っていたのに。
――デビューしてからまもなく、この世界で輝き続けるためにはすべての負の感情をコントロールしなければならないと知った。
仲間たちのギスギスした空気に耐え、怒りの感情を殺して言葉を呑む。どんなに失礼なスタッフにも頭を下げて、アンチの暴言を聞き流し、ファンからの不躾な要求にもにこやかに答え、週刊誌の記者に私生活を見張られあることないこと書き散らかされても黙って時が過ぎるのを待つ――
大勢にとっての完璧な偶像であるために、悲しみも苦しみも怒りも……時には喜びの表現すら制限しながら、我を忘れてしまうほどの感情に翻弄されないよう努めてきた。
それなのに。
彼の脳裏にチカルの姿がちらつく。よく知りもしない女性の表情を曇らせたというだけで、他人の前で表情管理もできなくなったというのか?愛する祖母の訃報をライブ直前に知らされても最後までテンション高くやりきった俺が?
粟立つ肌を不快に感じながら、乾いた唇を噛み締める。膝が震え、なぜか腹の底から笑いが込み上げてきた。
こんなにも自分のことを理解できないと思う日が来るなんて。
「ホズミさん」
――あのひとは俺を狂わせる。
「家事代行のスタッフさんのことだけどさ」彼女の名も口に出せず俯く。「……変えてもらおうかなって」
聞いたホズミは特に驚きもしない。
「合わなかったか」
「そんなところかな……」
「そうか。わかった」
てっきり詳しく理由を追求されるかと思っていたタビトは、短い返事にいくらか拍子抜けしたような顔になる。
「明日サフェードに連絡しておくよ。次回から代えてもらった方がいいよな」
「……すぐじゃなくても大丈夫。専属プランって月単位での契約だし」
「じゃあ来月からってことにするか。今月もあと少しだもんな」
頷いて視線を上げると、ホズミは彼の皿に焼けた肉を次々のせながら言う。
「さ、たくさん食えよ」
2杯目の烏龍茶が運ばれてきた。タビトは深く考えることを放棄するように肉を食らい、ジョッキを呷る。
そうして久しぶりにたらふく飲み食いし、上機嫌のタビトはホズミにマンションまで送ってもらった。
エントランスに入っていくのを見届け、ホズミは車を発進させる。それを共用スペースの大窓から見送り、タビトはゆったりとした足取りでエレベーターに乗り込んだ。静かに昇る箱に身を任せながら、どっと押し寄せてきた眠気と疲れに項垂れる。
玄関を開けると、いつもの匂いと暗闇だけが彼を待っていた。
最近、こうして玄関に入るとチカルのことが思い浮かぶ。彼はその姿を振り払うようにさっさと靴と靴下を脱いで手を洗うと、用意されていた清潔なタオルで丁寧に手を拭った。
ダイニングテーブルの上においてあるファイルを開き、作業内容を確認する。いつもの定型文のメッセージを読んだあと、込み上げてくる感情に気付かないふりをしてファイルを閉じ、バスルームへと向かった。
シャワーを浴びると、眠気はどこかへ行ってしまった。整えられているベッドに転がってスマホの画面をぼんやりと眺めていたが、強烈な虚しさと怒り、そして喪失感に襲われちっとも集中できない。
彼は耐え切れず身を起こし、スマホをナイトテーブルに放ると両手で顔を覆う。気付けば、あんなにおいしかった肉の味の記憶もすっかり褪せてしまっている。
「ばか……。なんで間違えたんだよ」
消え入りそうな声でつぶやいた。関係を断つと決めたことで楽になったと思ったのに、頭の中が静かになるとどうしようもない悲しみがまたぶり返してきて、無視できないほどに彼の胸中を満たす。
チカルを傷つけてしまった。絶対に嫌な気持ちにさせた。そう思うと、足元が崩れるような錯覚に陥った。
相手はいい大人なのだしあんなことをいつまでも気にするわけがない。時間はもう戻らないのだから考えていても仕方ない……そう繰り返し言い聞かせても、チカルの顔を曇らせた自分自身が許せない。怒りと後悔はいつまでも、勢い衰えぬ波のように押し寄せてくるのだった。
感情の荒波に揺さぶられ今にも壊れそうになりながら彼は、弾かれたように身を起こした。手を伸ばしてチェストの上の灯りをつけ、再び寝転がってSNSアプリを開く。
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「こんばんは」
チャット欄にあがる大量のメッセージが下から上に向かい、ものすごい速度で流れては消えていく。こちらの言葉に反応して言葉を返してくれるのを眺めながら、だらだらとしゃべり続けた。
俺はアイドルだ――ファンの愛を全身で浴びながら、頭の中でつぶやく。
アイドルになると決意してからこれまでずっと、仕事も私生活も関係なくいつでも周囲の求める理想に答えてきた。“タビト”はどんなことがあろうと悠然と構えて動じない。それが彼を知る多くの人間の共通認識だ。「容姿も振る舞いも完璧な男」と称される彼が、いかにも人畜無害そうなひとりの女の前に出た途端まともに目も合わせられなくなるだなんて誰も信じないだろう。
彼自身も信じたくはなかった……彼女の瞳に見つめられた瞬間、牙を抜かれ爪を剥がされた憐れな獣になってしまうことを。ほんの些細なことで「嫌われたくない」と泣きながら怯えていることを。
――1時間ほどファンと交流し、彼は配信を終えた。
周囲が再び静寂に満たされる。
彼は長い脚を抱え、ベッドの上にうずくまった。緩んだ指のあいだからスマホが落ちる。
違う。
こんなにみっともない姿が“タビト”のはずがない。
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