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第七章 天使転輪
第187話 来訪者(二)
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「あの男、何者だ?この俺の閃光より速く動いてあれらを助けるとは」
男はしばらく上空を見上げていた。
その目線の先の上空では、志貴が脇に抱える真宵へと声をかけていた。
「おーい、死んだのか?しっかりしろ真宵!まさか、寝てんのか?」
「兄さん、多分普通に気絶だよ。結構やばい一撃だったけど、流石に死んではないと思う」
「そうか!そいつは良かった!それで糸音の方は大丈夫か?」
「あぁ、何本か骨いってるけど。大丈夫」
「そうか・・そう言えば糸音、宗谷はどこだ?」
「宗谷は死んだよ」
「・・殺したのか?」
「いいや」
「そうか」
志貴はそれ以上何も聞かなかった。
そして、地上を一通り見渡して男へと目向ける。
(一撃でこの威力。バケモンだな・・。能力者、なのは間違いないか。最近手に入れた感じでもなさそうだな。もしこれが最近手に入れた能力なら末恐ろしいな。さてと、どうするかな)
「!?」
志貴が思考を巡らそうとしたその時、先ほど地上にいたはずの男が一瞬にして志貴の目の前へとやってくる。
ピカッ!!
いきなり、閃光が辺りを照らして、先ほど地上で真宵へと放たれた光線が男の手から放たれる。
ドッーーーーンッッ!!!
「おいおい、待ってくれよ。いきなりぶっ放すなんて、せっかちかよ」
しかし、その眩い光線は志貴には当たらず。いつのまにか、志貴は何食わぬ顔で男の後ろ側に立っていた。
「貴様、なかなかやるではないか。どうやらさっきの初撃、避けれたのはまぐれではなかったようだ」
「そいつはどうも」
志貴は軽薄に笑う。それから落ち着いた声で男へ問いかける。
「これさぁ、きっとここから戦闘だよね?もしそうならさ、この子たち置きたいんだけど。流石に抱えたままじゃ戦えないじゃんか。いいかな?」
「強者を前にその余裕・・貴様、命を握られていることがわかってないのか?まぁ、どちらにせよ同じだからな・・いいだろう待ってやる」
「おっ!えらく良心的だね!助かるよ。では遠慮なく」
志貴はニッコリ微笑み返すと少し離れたところにある高台へと二人を置きに行く。
「兄さん・・」
糸音は志貴の手から離れ、腰を下ろすと少し不安そうな表情で志貴を見る。
「真宵を頼むぞ。そろそろ槍士も合流できるだろうから。まぁ・・後はよろしく!」
志貴はそう言って男の元へと早々に戻る。
「やぁやぁ、お待たせ。っんで、やるの?」
「生意気な奴だな。言っておくが貴様らを逃がすつもりはない。だから精々、足掻くといい」
「あぁそう。んじゃ、頑張るか・・・あっ!そうそう。そう言えばさっき強者がなんとかって言ってたけどさ、あれやめた方がいいよ」
「何だと?」
「あれさぁ、君が負けるんだから、後から恥ずか死ぬよ」
「ふん、本当に生意気だ。この俺に勝てると?」
「だから、そう言ってるじゃんか。何回も言わせんなよ。まぁでもちょっとは頑張らないとねー」
「そうか・・なら、生き残るために頑張れ。ひとまずは、あの小娘共には手を出さないでやる。殺すのは貴様を殺した後にでもするとしよう」
「あぁそう。少しやって君には退場してもらいたいんだけど。でも、簡単にはいきそうにないな」
「そりゃそうだろ。何故なら俺はお前らとは違う存在なんだからな」
「どういうことかな?」
「ふん、戦ってみればわかる。もっとも、お前にそれほどの力を見せるに値するのかどうかは知らんが」
「ちょくちょく煽ってくるな。はぁ、、まぁいいや。じゃあさっさとやろうか」
男はしばらく上空を見上げていた。
その目線の先の上空では、志貴が脇に抱える真宵へと声をかけていた。
「おーい、死んだのか?しっかりしろ真宵!まさか、寝てんのか?」
「兄さん、多分普通に気絶だよ。結構やばい一撃だったけど、流石に死んではないと思う」
「そうか!そいつは良かった!それで糸音の方は大丈夫か?」
「あぁ、何本か骨いってるけど。大丈夫」
「そうか・・そう言えば糸音、宗谷はどこだ?」
「宗谷は死んだよ」
「・・殺したのか?」
「いいや」
「そうか」
志貴はそれ以上何も聞かなかった。
そして、地上を一通り見渡して男へと目向ける。
(一撃でこの威力。バケモンだな・・。能力者、なのは間違いないか。最近手に入れた感じでもなさそうだな。もしこれが最近手に入れた能力なら末恐ろしいな。さてと、どうするかな)
「!?」
志貴が思考を巡らそうとしたその時、先ほど地上にいたはずの男が一瞬にして志貴の目の前へとやってくる。
ピカッ!!
いきなり、閃光が辺りを照らして、先ほど地上で真宵へと放たれた光線が男の手から放たれる。
ドッーーーーンッッ!!!
「おいおい、待ってくれよ。いきなりぶっ放すなんて、せっかちかよ」
しかし、その眩い光線は志貴には当たらず。いつのまにか、志貴は何食わぬ顔で男の後ろ側に立っていた。
「貴様、なかなかやるではないか。どうやらさっきの初撃、避けれたのはまぐれではなかったようだ」
「そいつはどうも」
志貴は軽薄に笑う。それから落ち着いた声で男へ問いかける。
「これさぁ、きっとここから戦闘だよね?もしそうならさ、この子たち置きたいんだけど。流石に抱えたままじゃ戦えないじゃんか。いいかな?」
「強者を前にその余裕・・貴様、命を握られていることがわかってないのか?まぁ、どちらにせよ同じだからな・・いいだろう待ってやる」
「おっ!えらく良心的だね!助かるよ。では遠慮なく」
志貴はニッコリ微笑み返すと少し離れたところにある高台へと二人を置きに行く。
「兄さん・・」
糸音は志貴の手から離れ、腰を下ろすと少し不安そうな表情で志貴を見る。
「真宵を頼むぞ。そろそろ槍士も合流できるだろうから。まぁ・・後はよろしく!」
志貴はそう言って男の元へと早々に戻る。
「やぁやぁ、お待たせ。っんで、やるの?」
「生意気な奴だな。言っておくが貴様らを逃がすつもりはない。だから精々、足掻くといい」
「あぁそう。んじゃ、頑張るか・・・あっ!そうそう。そう言えばさっき強者がなんとかって言ってたけどさ、あれやめた方がいいよ」
「何だと?」
「あれさぁ、君が負けるんだから、後から恥ずか死ぬよ」
「ふん、本当に生意気だ。この俺に勝てると?」
「だから、そう言ってるじゃんか。何回も言わせんなよ。まぁでもちょっとは頑張らないとねー」
「そうか・・なら、生き残るために頑張れ。ひとまずは、あの小娘共には手を出さないでやる。殺すのは貴様を殺した後にでもするとしよう」
「あぁそう。少しやって君には退場してもらいたいんだけど。でも、簡単にはいきそうにないな」
「そりゃそうだろ。何故なら俺はお前らとは違う存在なんだからな」
「どういうことかな?」
「ふん、戦ってみればわかる。もっとも、お前にそれほどの力を見せるに値するのかどうかは知らんが」
「ちょくちょく煽ってくるな。はぁ、、まぁいいや。じゃあさっさとやろうか」
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