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第七章 天使転輪
第180話 魔剣 (一)
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「そうか。吹っ切れたか」
宗谷はそう言って霧の中へと消えると再び姿を現す。
「しかし、何故そっちの腕が使える?完全に砕いたはずだが」
「たしかに、砕かれた。骨はたしかに折れたし痛いし。でも、私は糸使いだ、折れた腕ぐらい自分の糸で補強できる。それに神経までは死んでいなかったからな。だからほら、動かせる」
糸音は腕を見せつける様に動かす。
「ふっふ、恐れ入った。まさか、骨の代わりに糸で補強するとはな。しかも、この短時間でそれを作りだすことができるとは驚いた」
「悪かったな。待たせて。これで本気でやれる」
「たったの一発、カウンターを当てたくらいで図に乗ってもらっては困るな」
次の瞬間、宗谷は一瞬にして間合いをつめると糸音へと襲いかかる。しかし、糸音の目には先ほどの迷いはなく、恐れもない。糸音は拳が肌に触れた刹那、宗谷の顔目掛けて拳を握りしめて、重たい一撃を放った。
「!?」
宗谷は咄嗟の判断で空いていた片腕で庇うが糸音の一撃は宗谷の予想を遥かに超えた力だった。宗谷の腕がだらしなく垂れ下がる。糸音は間髪入れずに二発目を放つが、宗谷は霧へと変わりそれは空振りに終わった。宗谷は少し離れた場所で姿を現した。
「驚いた。まさか私の異能の隙を突いてくるとは」
「認めたな」
「認めるも何も、バレているなら隠しても仕方なかろう」
「たしかに、それもそうか。お前の異能は大体把握した。お前は向かって来る対象を自身が霧になることで避けることができる。だが、その逆に自身から対象に触れるには自身は原形を留めておかないといけない。そうしないと触れることなどできないからな」
「ご名答。だが、私へ触れるまたは攻撃を当てるには、一瞬の隙を見つけて触れた瞬間にカウンターを入れることでしかできない。そうすると尋常じゃないほどの反射速度がいる。だからほとんどの人間は理解出来てもそれをやれるやつはいない。しかし、お前はそれをやってのけた。関心する」
「そりゃどうも」
「正直、今まで舐めていた。だからここからは礼儀としてこちらも抜かなければな」
そして、宗谷は何もなかったはずの空間から一本の剣を取り出す。黒いその剣は禍々しいほどの悪に満ちていた。
「その剣はなんだ?嫌な感じだ」
「この剣に当てられて私の前で正気で入れるのは大したものだ。これを使うのは糸衛と戦った時以来だな」
「その言い方だと、それはただの黒剣ではないな」
「そうだ。これは世界に四つとない、呪いが込められた魔剣と呼ばれるものの一つ蜜禍の剣」
「へぇ、魔剣は噂には聞いたことがあるが、実際に見るのは初めてだ。たしか、それぞれの魔剣には禍々しい呪いが込められていると聞くが。っで一体そいつにはどんな効力があるんだ?」
「実際語るよりは見せた方がわかりやすい」
宗谷は一歩前へ出る。その瞬間、禍々しい嫌な感じが糸音を襲う。糸音は感じた事がない程の何か嫌なものを感じた。
(これは、、、真正面から受けるのはダメだな。どんな力があるかもわからないし、それに一度くらって終わりなんて事もあり得るからな)
糸音は慎重に宗谷の動きに警戒する。
「!?」
次の瞬間、宗谷の姿は霧の様にフワッと消えると、いつの間にか糸音の目の前に現れていた。宗谷は数秒前まで距離が空いていたにも関わらず、その隙間を一瞬にして埋めた。そして、禍々しい刃が糸音の目前に迫っていた。当たる直前、間一髪のところでそれを仰け反り避ける。糸音はそのまま、宗谷から距離を取るため後方へと下がる。しかし、またも姿を消し姿を暗ました。しばらくして何処からともなく奴の声だけが耳へと届く。
「魔剣には様々な逸話がある。そして、魔剣は使用者の魂を喰らい使用者は力を得る事ができる。さっきの一撃を避けたのは驚いたがな。しかし、そう何度も避けれるとは思えない」
(たしかに、さっきの動きは今までにない動きだった。しかしあれは、それだけではない様な、、、)
「さて、そろそろ魔剣の本当の力を見せてやろう」
宗谷はそう言って霧の中へと消えると再び姿を現す。
「しかし、何故そっちの腕が使える?完全に砕いたはずだが」
「たしかに、砕かれた。骨はたしかに折れたし痛いし。でも、私は糸使いだ、折れた腕ぐらい自分の糸で補強できる。それに神経までは死んでいなかったからな。だからほら、動かせる」
糸音は腕を見せつける様に動かす。
「ふっふ、恐れ入った。まさか、骨の代わりに糸で補強するとはな。しかも、この短時間でそれを作りだすことができるとは驚いた」
「悪かったな。待たせて。これで本気でやれる」
「たったの一発、カウンターを当てたくらいで図に乗ってもらっては困るな」
次の瞬間、宗谷は一瞬にして間合いをつめると糸音へと襲いかかる。しかし、糸音の目には先ほどの迷いはなく、恐れもない。糸音は拳が肌に触れた刹那、宗谷の顔目掛けて拳を握りしめて、重たい一撃を放った。
「!?」
宗谷は咄嗟の判断で空いていた片腕で庇うが糸音の一撃は宗谷の予想を遥かに超えた力だった。宗谷の腕がだらしなく垂れ下がる。糸音は間髪入れずに二発目を放つが、宗谷は霧へと変わりそれは空振りに終わった。宗谷は少し離れた場所で姿を現した。
「驚いた。まさか私の異能の隙を突いてくるとは」
「認めたな」
「認めるも何も、バレているなら隠しても仕方なかろう」
「たしかに、それもそうか。お前の異能は大体把握した。お前は向かって来る対象を自身が霧になることで避けることができる。だが、その逆に自身から対象に触れるには自身は原形を留めておかないといけない。そうしないと触れることなどできないからな」
「ご名答。だが、私へ触れるまたは攻撃を当てるには、一瞬の隙を見つけて触れた瞬間にカウンターを入れることでしかできない。そうすると尋常じゃないほどの反射速度がいる。だからほとんどの人間は理解出来てもそれをやれるやつはいない。しかし、お前はそれをやってのけた。関心する」
「そりゃどうも」
「正直、今まで舐めていた。だからここからは礼儀としてこちらも抜かなければな」
そして、宗谷は何もなかったはずの空間から一本の剣を取り出す。黒いその剣は禍々しいほどの悪に満ちていた。
「その剣はなんだ?嫌な感じだ」
「この剣に当てられて私の前で正気で入れるのは大したものだ。これを使うのは糸衛と戦った時以来だな」
「その言い方だと、それはただの黒剣ではないな」
「そうだ。これは世界に四つとない、呪いが込められた魔剣と呼ばれるものの一つ蜜禍の剣」
「へぇ、魔剣は噂には聞いたことがあるが、実際に見るのは初めてだ。たしか、それぞれの魔剣には禍々しい呪いが込められていると聞くが。っで一体そいつにはどんな効力があるんだ?」
「実際語るよりは見せた方がわかりやすい」
宗谷は一歩前へ出る。その瞬間、禍々しい嫌な感じが糸音を襲う。糸音は感じた事がない程の何か嫌なものを感じた。
(これは、、、真正面から受けるのはダメだな。どんな力があるかもわからないし、それに一度くらって終わりなんて事もあり得るからな)
糸音は慎重に宗谷の動きに警戒する。
「!?」
次の瞬間、宗谷の姿は霧の様にフワッと消えると、いつの間にか糸音の目の前に現れていた。宗谷は数秒前まで距離が空いていたにも関わらず、その隙間を一瞬にして埋めた。そして、禍々しい刃が糸音の目前に迫っていた。当たる直前、間一髪のところでそれを仰け反り避ける。糸音はそのまま、宗谷から距離を取るため後方へと下がる。しかし、またも姿を消し姿を暗ました。しばらくして何処からともなく奴の声だけが耳へと届く。
「魔剣には様々な逸話がある。そして、魔剣は使用者の魂を喰らい使用者は力を得る事ができる。さっきの一撃を避けたのは驚いたがな。しかし、そう何度も避けれるとは思えない」
(たしかに、さっきの動きは今までにない動きだった。しかしあれは、それだけではない様な、、、)
「さて、そろそろ魔剣の本当の力を見せてやろう」
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