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第六章 修羅夢語
第116話 神速
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糸音達が海岸を出発した同じ頃、ミンダルの街の中心にある広場にて椿は治安維持局の人間に囲まれていた。そして椿の周りには治安維持局の隊員が数名倒れていた。
「なんで!?あなたが!」
「久しぶりに帰ってきた歓迎がこれか」
「そりゃあ、あなたが私の部下を切ったからですよ」
治安維持局の人達の中から見知った人物が前へ出てくる。
「久しぶりですね、椿姉さん」
「ジータか」
「いきなり帰ってきたと思ったらこんな事を、、」
「随分と出世したみたいだな。それにえらく落ち着いているな」
「私もこの約一年、色々ありましてね。あれから私は一人で鍛錬を続けて、いつかあなたが生きて帰ってきたなら戦いたいと願っていました。そして今日、あなたは帰ってきた。しかしあなたはどうやら変わってしまったみたいだ。せっかく楽しみにしていたのに。ですが、なんであれあなたは私の部下を傷つけ今や街を脅かそうとしています。私は治安維持局統括長としてあなたを粛清します」
「ふん、粛清か、その相手を間違えているな」
「なんですって?」
「もういい、お前では話にならんルクスリアを出せ」
次の瞬間、ジータは姿を消して一瞬で椿の目の前までやってきて、刀が収まったままの鞘で襲いかかる。椿は咄嗟の判断で後ろへと退いた。
「あまいな。今ので何故、刀を抜かなかった?少しはマシになったと思ったんだがな」
「私は別に殺したいわけではありませんよ」
「ふん、まるで私をいつでも殺せるみたいな言い方だな」
「そうですね。今の私ならいけるかもしれませんよ。お前達!私のことはいいから早く街の住民を非難させなさい!」
ジータは部下達に指示をした。目の前にいる敵はかつての優しい椿ではない、誰であれうと殺すかもしれない、そんな危険があった。その感を頼りにジータは住人を避難させた。
「避難誘導か。たしかに私はルクスリアを始末した後、ここを焼き払うつもりだったからな」
「随分と人が変わりましたね」
「もういいだろうお喋りは」
「そうですね、あなたを捕まえてから後でゆっくりお話しましょう」
ジータは鞘から細長い刀身を抜き、椿は和刀を構える。静かな剣気が二人の間に漂う。そして先に動いたのはジータの方だった。
「はっ!」
ジータは真っ直ぐに間合いを詰めて、椿の頭上から刀を振り下ろす。
「!?」
その振り下ろされた刀身、椿の目には2本ある様に見えたそれをギリギリで避ける。
(幻術か?)
椿は刀を振り下ろしたジータの横から和刀で突きをいれる。しかし、そこにいたはずのジータはゆらゆらと揺れて消えた。
(やはり幻術か!)
「勘違いしている様ですが。これは幻術などではありません」
声のする方を振り返るとジータは突きを繰り出してきた。それを和刀で受け切るとその威力で後ろへ飛ばされ膝をつく。
「これは、速さですよ」
「速さだと」
「ええ、私は力よりも速さを鍛えました。そして私は誰にも負けない神速の剣を手にいれました。刀身が二つに見えたのも高速で二撃連続、打ち込みましたから、この様に」
再びジータの姿が消える。残像さえ見えぬほどの速さ、そして再び同じ場所に現れた時には椿の両足から血が吹き出した。
「見えないでしょう。あなたはもう私には勝てませんよ。大人しく降参してください」
「はっは!それしきで勝ったと思っているのかジータ。たしかに、その技は凄まじいものだが一度見ればわかるものだ。今の一撃で私を仕留めておくんだったな」
「そんな一度見ただけでかわせるものではないはずですよ。見えるのなら別ですが」
「いいや、全然見えない。でも次で終わる」
「ハッタリは見苦しいですよ、椿姉さん」
「ハッタリかどうか、やってみるといい」
(なんですか、この自信は、、)
「いいでしょう。なら終わりにしましょう」
ジータは構える。椿は目を閉じた。
「ふざけてるんですか?」
「いいや、いいから早く打ってこいよ」
ジータは再び消える。そしてジータの刃が椿の背中を狙う。その瞬間、椿は振り返り和刀でその刀身を薙ぎ払った。
「なっ!」
ジータは虚をつかれた。次の瞬間、椿の拳がジータの腹に命中すると近くにあった噴水を破壊する勢いでふっ飛ばされた。
「悪くはなかったが、お前の狙うところが分かれば容易い。敗因があるとすれば、甘すぎた所だな」
椿は和刀を鞘に戻すとルクスリアの待つ治安維持局本部へと歩き出す。
「なんで!?あなたが!」
「久しぶりに帰ってきた歓迎がこれか」
「そりゃあ、あなたが私の部下を切ったからですよ」
治安維持局の人達の中から見知った人物が前へ出てくる。
「久しぶりですね、椿姉さん」
「ジータか」
「いきなり帰ってきたと思ったらこんな事を、、」
「随分と出世したみたいだな。それにえらく落ち着いているな」
「私もこの約一年、色々ありましてね。あれから私は一人で鍛錬を続けて、いつかあなたが生きて帰ってきたなら戦いたいと願っていました。そして今日、あなたは帰ってきた。しかしあなたはどうやら変わってしまったみたいだ。せっかく楽しみにしていたのに。ですが、なんであれあなたは私の部下を傷つけ今や街を脅かそうとしています。私は治安維持局統括長としてあなたを粛清します」
「ふん、粛清か、その相手を間違えているな」
「なんですって?」
「もういい、お前では話にならんルクスリアを出せ」
次の瞬間、ジータは姿を消して一瞬で椿の目の前までやってきて、刀が収まったままの鞘で襲いかかる。椿は咄嗟の判断で後ろへと退いた。
「あまいな。今ので何故、刀を抜かなかった?少しはマシになったと思ったんだがな」
「私は別に殺したいわけではありませんよ」
「ふん、まるで私をいつでも殺せるみたいな言い方だな」
「そうですね。今の私ならいけるかもしれませんよ。お前達!私のことはいいから早く街の住民を非難させなさい!」
ジータは部下達に指示をした。目の前にいる敵はかつての優しい椿ではない、誰であれうと殺すかもしれない、そんな危険があった。その感を頼りにジータは住人を避難させた。
「避難誘導か。たしかに私はルクスリアを始末した後、ここを焼き払うつもりだったからな」
「随分と人が変わりましたね」
「もういいだろうお喋りは」
「そうですね、あなたを捕まえてから後でゆっくりお話しましょう」
ジータは鞘から細長い刀身を抜き、椿は和刀を構える。静かな剣気が二人の間に漂う。そして先に動いたのはジータの方だった。
「はっ!」
ジータは真っ直ぐに間合いを詰めて、椿の頭上から刀を振り下ろす。
「!?」
その振り下ろされた刀身、椿の目には2本ある様に見えたそれをギリギリで避ける。
(幻術か?)
椿は刀を振り下ろしたジータの横から和刀で突きをいれる。しかし、そこにいたはずのジータはゆらゆらと揺れて消えた。
(やはり幻術か!)
「勘違いしている様ですが。これは幻術などではありません」
声のする方を振り返るとジータは突きを繰り出してきた。それを和刀で受け切るとその威力で後ろへ飛ばされ膝をつく。
「これは、速さですよ」
「速さだと」
「ええ、私は力よりも速さを鍛えました。そして私は誰にも負けない神速の剣を手にいれました。刀身が二つに見えたのも高速で二撃連続、打ち込みましたから、この様に」
再びジータの姿が消える。残像さえ見えぬほどの速さ、そして再び同じ場所に現れた時には椿の両足から血が吹き出した。
「見えないでしょう。あなたはもう私には勝てませんよ。大人しく降参してください」
「はっは!それしきで勝ったと思っているのかジータ。たしかに、その技は凄まじいものだが一度見ればわかるものだ。今の一撃で私を仕留めておくんだったな」
「そんな一度見ただけでかわせるものではないはずですよ。見えるのなら別ですが」
「いいや、全然見えない。でも次で終わる」
「ハッタリは見苦しいですよ、椿姉さん」
「ハッタリかどうか、やってみるといい」
(なんですか、この自信は、、)
「いいでしょう。なら終わりにしましょう」
ジータは構える。椿は目を閉じた。
「ふざけてるんですか?」
「いいや、いいから早く打ってこいよ」
ジータは再び消える。そしてジータの刃が椿の背中を狙う。その瞬間、椿は振り返り和刀でその刀身を薙ぎ払った。
「なっ!」
ジータは虚をつかれた。次の瞬間、椿の拳がジータの腹に命中すると近くにあった噴水を破壊する勢いでふっ飛ばされた。
「悪くはなかったが、お前の狙うところが分かれば容易い。敗因があるとすれば、甘すぎた所だな」
椿は和刀を鞘に戻すとルクスリアの待つ治安維持局本部へと歩き出す。
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