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第五章 忘却再生
第100話 捜索
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糸音はいつもの稽古場である小川に行ったが誰も居なかった。
「ここでは無いのか」
一方、紅羽は昔よく椿と遊んでいた秘密基地へ探しに行くがそこにも居なかった。そしてルクスリアは匂いを頼りに椿を捜索していた。
「この辺りで匂いが消えているな」
辺りを見渡すと森しかなかったがしばらく歩いていると崖が出て来た。
「まさか、落ちたのか」
ルクスリアは崖の下へと降りていくと木に引っかかっていた椿を発見した。
「居た!おい、しっかりしろ」
ルクスリアは椿を木から下ろすと呼びかける。しばらくして椿が目を開けた。
「あ、、ルクスリアさん、ごめん、、ね、うっ!」
「どうした!ん?」
椿の体を見ると足を怪我していた。
「折れて、、歩けないや」
「任せろ、私が連れて帰るよ」
「ありがとう」
ルクスリアは椿を担いで、かなりの高さがあった崖を一っ飛びで元いた場所まで戻る。
「すごい、ね」
「大丈夫か?」
「うん」
「!?」
ルクスリアが正面を向くとそこには大きな熊が立ちはだかっていた。
「あ、さっきの熊、、」
「さっきの?なんだコイツから逃げていたのか」
「そう、、それで落ちちゃって」
「なるほどな」
ルクスリアは熊に警戒しながら椿を近くの木の根元でおろす。
「ちょっとだけ、大人しくここにいろ、すぐに終わる」
ルクスリアは熊に向き直ると熊へと近づいていく。熊は威嚇を始めて、ルクスリアが手の届く範囲まで来ると立ち上がり、鋭く尖った爪で攻撃をしてくる。しかし、熊の爪はルクスリアに届くことはなかった。ルクスリアはは目にも止まらぬ速さで熊の胴体を真っ二つにした。
「すごい、、」
それを見ていた椿は感嘆の声をもらした。
「お待たせ、じゃあ帰ろうか」
「うん」
ルクスリアは椿を再び背負うと来た道を戻る。その道中、紅羽と糸音に会った。
「椿!」
二人は椿を背負ったルクスリアへ駆け寄る。
「足が折れているみたいだ。このまま私がおぶって帰るよ」
「全く、お騒がせな妹だ。でも見つかって良かったよ。ルクスリア、すまないな」
「いいよ」
「とりあえず、帰ってミナモさんに見てもらおう。ミナモさんは元医者だからな」
「そうだったのか」
三人は椿を背負って洋館へと帰っていった。洋館へと到着するとミナモに椿を任せて、三人は料理にラップをかけて冷凍室にしまった。
そして、リビングで椅子に座り一息つく。
「でかい熊に襲われたそうだ」
「熊?」
「森でよく椿と遊んでいたが熊なんて見たこと無かったぞ」
「だろうな、熊なんてこの辺にはいなかったはずだから」
「明日、私が森へ出て他に何か居ないか調べてみるよ」
「すまないな、明日、俺とルクスリアは館へ行かないといけないから一緒には行けない。無茶はするなよ」
「任せろ、私を誰だと思っている」
「そうだな。私は風呂へ入ってもう寝るよ、ルクスリア、明日またゆっくり話そう。歓迎もやり直しだ」
「あぁ、また明日な」
糸音はリビングを去っていった。
「はぁ、全く心臓に悪いぜ。ルクスリアが居てくれて助かったよ」
「無事で良かったよ。あの崖の高さから落ちて骨折で済んだのは幸いだったな」
「当分は一人で森へ行くのは禁止にしないとな。まぁ、最近は糸音も一緒だから大丈夫か」
「どうだ、糸音は?」
「あぁ、椿とよく遊んでいるよ。殺しとは関係のない日常を送っている。このまま何もなく平和に暮らせたら糸音は普通の幸せな生活を送れるだろうな」
「そうか、なら良かった」
「今日は椿をありがとうな、お前も疲れたろ、ミナモさんの部屋にベッドが二つあるから使っていいぞ。しっかり許可は取ってある」
「じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらうよ。明日はよろしく頼む、おやすみ紅羽」
「ああ、おやすみ」
一人残された紅羽はリビングのソファに横になるとそのまま目を閉じて眠りについた。
「ここでは無いのか」
一方、紅羽は昔よく椿と遊んでいた秘密基地へ探しに行くがそこにも居なかった。そしてルクスリアは匂いを頼りに椿を捜索していた。
「この辺りで匂いが消えているな」
辺りを見渡すと森しかなかったがしばらく歩いていると崖が出て来た。
「まさか、落ちたのか」
ルクスリアは崖の下へと降りていくと木に引っかかっていた椿を発見した。
「居た!おい、しっかりしろ」
ルクスリアは椿を木から下ろすと呼びかける。しばらくして椿が目を開けた。
「あ、、ルクスリアさん、ごめん、、ね、うっ!」
「どうした!ん?」
椿の体を見ると足を怪我していた。
「折れて、、歩けないや」
「任せろ、私が連れて帰るよ」
「ありがとう」
ルクスリアは椿を担いで、かなりの高さがあった崖を一っ飛びで元いた場所まで戻る。
「すごい、ね」
「大丈夫か?」
「うん」
「!?」
ルクスリアが正面を向くとそこには大きな熊が立ちはだかっていた。
「あ、さっきの熊、、」
「さっきの?なんだコイツから逃げていたのか」
「そう、、それで落ちちゃって」
「なるほどな」
ルクスリアは熊に警戒しながら椿を近くの木の根元でおろす。
「ちょっとだけ、大人しくここにいろ、すぐに終わる」
ルクスリアは熊に向き直ると熊へと近づいていく。熊は威嚇を始めて、ルクスリアが手の届く範囲まで来ると立ち上がり、鋭く尖った爪で攻撃をしてくる。しかし、熊の爪はルクスリアに届くことはなかった。ルクスリアはは目にも止まらぬ速さで熊の胴体を真っ二つにした。
「すごい、、」
それを見ていた椿は感嘆の声をもらした。
「お待たせ、じゃあ帰ろうか」
「うん」
ルクスリアは椿を再び背負うと来た道を戻る。その道中、紅羽と糸音に会った。
「椿!」
二人は椿を背負ったルクスリアへ駆け寄る。
「足が折れているみたいだ。このまま私がおぶって帰るよ」
「全く、お騒がせな妹だ。でも見つかって良かったよ。ルクスリア、すまないな」
「いいよ」
「とりあえず、帰ってミナモさんに見てもらおう。ミナモさんは元医者だからな」
「そうだったのか」
三人は椿を背負って洋館へと帰っていった。洋館へと到着するとミナモに椿を任せて、三人は料理にラップをかけて冷凍室にしまった。
そして、リビングで椅子に座り一息つく。
「でかい熊に襲われたそうだ」
「熊?」
「森でよく椿と遊んでいたが熊なんて見たこと無かったぞ」
「だろうな、熊なんてこの辺にはいなかったはずだから」
「明日、私が森へ出て他に何か居ないか調べてみるよ」
「すまないな、明日、俺とルクスリアは館へ行かないといけないから一緒には行けない。無茶はするなよ」
「任せろ、私を誰だと思っている」
「そうだな。私は風呂へ入ってもう寝るよ、ルクスリア、明日またゆっくり話そう。歓迎もやり直しだ」
「あぁ、また明日な」
糸音はリビングを去っていった。
「はぁ、全く心臓に悪いぜ。ルクスリアが居てくれて助かったよ」
「無事で良かったよ。あの崖の高さから落ちて骨折で済んだのは幸いだったな」
「当分は一人で森へ行くのは禁止にしないとな。まぁ、最近は糸音も一緒だから大丈夫か」
「どうだ、糸音は?」
「あぁ、椿とよく遊んでいるよ。殺しとは関係のない日常を送っている。このまま何もなく平和に暮らせたら糸音は普通の幸せな生活を送れるだろうな」
「そうか、なら良かった」
「今日は椿をありがとうな、お前も疲れたろ、ミナモさんの部屋にベッドが二つあるから使っていいぞ。しっかり許可は取ってある」
「じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらうよ。明日はよろしく頼む、おやすみ紅羽」
「ああ、おやすみ」
一人残された紅羽はリビングのソファに横になるとそのまま目を閉じて眠りについた。
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