97 / 199
第五章 忘却再生
第96話 報告
しおりを挟む
一
「相変わらずでかいし、広い建物だ」
紅羽はカンナギの館の前に居た。門番に軽く会釈して中へと入る。
「たしか、このまま真っ直ぐだったかな」
紅羽は広い庭を抜けると館の中に入る。中では館で働く皇王のお付きのもの達が働いていた。しばらく歩いていると大きな扉が出てくる。そして一呼吸おいてノックをする。
「誰だ?」
「俺ですよ。俺」
「その失礼な言動と声でわかった。紅羽だな、入れ」
扉が開き中へと入る紅羽。中では広い部屋にお付きの者が一人と椅子に座って書類に判子を押している若い皇王のみというなんとも寂しい感じだった。しかし書類があちこちに山積みとなっているおかげでその寂しさも少しはマシになっている。
「相変わらずの書類の山だな」
「そうだろう、大変なんだ街の長というのは。それでいつ帰ったんだ?」
「昨日だな。早速報告させてもらうぜヘイオーでの出来事をよう」
「待て待て、一旦、わしも休憩するから茶でも飲みながら聞く」
「了解、じゃあ庭で待ってるわ」
紅羽は手を振りながら部屋を去っていく。
「はぁ、全く相変わらず礼儀のなってない奴だ」
紅羽は庭をうろうろしていた。庭には池と花が所々に咲いており、美しい風景を彩っている。その池の真ん中に屋根付きの休憩所があったのでそこに座りしばらく庭園を観察する。
「落ち着く庭だ」
「そうだろ」
前から皇王がゆっくりと茶菓子を持った側近と共に歩いてくると紅羽の向かいに座る。
「さて、聞かせてくれ、お前の旅の話を」
「あぁ」
紅羽は自分がヘイオーで見てきた、全ての事を皇王に話す。吸血鬼の事、ルクスリアの事、結末と今後についてを話す。それを何も聞かずただ黙々と聞いていた。
「なるほどな、たいへんだったな。交流というのなら是非ともお願いしたい。一度ルクスリア殿ともお話しがしたいし、落ち着いたらまずはこちらから使いを出そう。お前の鳩で手紙を届けれるか?」
「いけるぜ」
「ならそれでよろしく頼む、一報は後日、書いて使いの者に届けさせるから家で待て」
「了解」
「それにしても、たったの四人で国を変えるとはな、街を納める者としては恐ろしい話だ。まぁ何はともあれ、無事に帰ってこれて良かったな」
「あぁ」
その後は少し談笑していると、館から使いの者が走ってきて側近に耳打ちする。
「皇王様、そろそろ」
「あぁ、そんな時間か。すまないが紅羽、仕事に戻らせてもらうよ」
「たいへんだな、まぁ交流の件よろしく頼む」
「あぁ」
皇王は側近と共に館へと消えて行った。
「さて、俺も行くか」
ニ
「いやー、面白かったー、やっぱり喜劇だよね」
「初めて観たけど、なかなかいけるな」
「おっ!いいね、また行こうね糸音」
「あぁ」
三人は演劇を観終えると外にあった小さな団子屋さんで団子を頼むと店前の椅子に座って団子を頬張る。
「演劇後は絶対この団子屋さんなんだー」
「美味しいな」
「でしょ!」
「おっ!ここに居たか三人共」
「あっ、兄さん!」
椿は団子を口に放り込むと今し方歩いてきた紅羽へ抱きつく。
「椿が演劇観てる頃かなと思ってな」
「あったりー、お仕事は終わり?」
「あぁ、ここからは俺も一緒だ」
「やったー、じゃあ次は魚釣りに北栄へ行こー」
四人は北栄の港へと向かう。
「相変わらずでかいし、広い建物だ」
紅羽はカンナギの館の前に居た。門番に軽く会釈して中へと入る。
「たしか、このまま真っ直ぐだったかな」
紅羽は広い庭を抜けると館の中に入る。中では館で働く皇王のお付きのもの達が働いていた。しばらく歩いていると大きな扉が出てくる。そして一呼吸おいてノックをする。
「誰だ?」
「俺ですよ。俺」
「その失礼な言動と声でわかった。紅羽だな、入れ」
扉が開き中へと入る紅羽。中では広い部屋にお付きの者が一人と椅子に座って書類に判子を押している若い皇王のみというなんとも寂しい感じだった。しかし書類があちこちに山積みとなっているおかげでその寂しさも少しはマシになっている。
「相変わらずの書類の山だな」
「そうだろう、大変なんだ街の長というのは。それでいつ帰ったんだ?」
「昨日だな。早速報告させてもらうぜヘイオーでの出来事をよう」
「待て待て、一旦、わしも休憩するから茶でも飲みながら聞く」
「了解、じゃあ庭で待ってるわ」
紅羽は手を振りながら部屋を去っていく。
「はぁ、全く相変わらず礼儀のなってない奴だ」
紅羽は庭をうろうろしていた。庭には池と花が所々に咲いており、美しい風景を彩っている。その池の真ん中に屋根付きの休憩所があったのでそこに座りしばらく庭園を観察する。
「落ち着く庭だ」
「そうだろ」
前から皇王がゆっくりと茶菓子を持った側近と共に歩いてくると紅羽の向かいに座る。
「さて、聞かせてくれ、お前の旅の話を」
「あぁ」
紅羽は自分がヘイオーで見てきた、全ての事を皇王に話す。吸血鬼の事、ルクスリアの事、結末と今後についてを話す。それを何も聞かずただ黙々と聞いていた。
「なるほどな、たいへんだったな。交流というのなら是非ともお願いしたい。一度ルクスリア殿ともお話しがしたいし、落ち着いたらまずはこちらから使いを出そう。お前の鳩で手紙を届けれるか?」
「いけるぜ」
「ならそれでよろしく頼む、一報は後日、書いて使いの者に届けさせるから家で待て」
「了解」
「それにしても、たったの四人で国を変えるとはな、街を納める者としては恐ろしい話だ。まぁ何はともあれ、無事に帰ってこれて良かったな」
「あぁ」
その後は少し談笑していると、館から使いの者が走ってきて側近に耳打ちする。
「皇王様、そろそろ」
「あぁ、そんな時間か。すまないが紅羽、仕事に戻らせてもらうよ」
「たいへんだな、まぁ交流の件よろしく頼む」
「あぁ」
皇王は側近と共に館へと消えて行った。
「さて、俺も行くか」
ニ
「いやー、面白かったー、やっぱり喜劇だよね」
「初めて観たけど、なかなかいけるな」
「おっ!いいね、また行こうね糸音」
「あぁ」
三人は演劇を観終えると外にあった小さな団子屋さんで団子を頼むと店前の椅子に座って団子を頬張る。
「演劇後は絶対この団子屋さんなんだー」
「美味しいな」
「でしょ!」
「おっ!ここに居たか三人共」
「あっ、兄さん!」
椿は団子を口に放り込むと今し方歩いてきた紅羽へ抱きつく。
「椿が演劇観てる頃かなと思ってな」
「あったりー、お仕事は終わり?」
「あぁ、ここからは俺も一緒だ」
「やったー、じゃあ次は魚釣りに北栄へ行こー」
四人は北栄の港へと向かう。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる