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第五章 忘却再生
第77話 摩訶不思議
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一
ルクスリアは二人の戦いを玉座の間から見ていた。
「一体、何が起こっているんだ。それにしても、、二人共人間離れしているな」
さすがの糸音も体力の限界が近づいてきていた。
(消耗戦はきついな、一か八か一気に体を粉砕するか)
糸音はクレインバルドの攻撃を交わしながら、手を叩き出した。その様子をルクスリアは上から見ていた。
「何をしているんだ、糸音は」
数回手を叩き終えると糸音はクレインバルドから距離を置き、指を突き出して空中で何かをそうさすると、糸音が指で指した方向にクレインバルドの体が弾ける。そして続け様に空中を指で何かを操作する、その度にクレインバルドの体は弾けていき、ついには原型が無くなる。
「やったか」
「!?」
何も無くなった場所からクレインバルドが再生を始めた。
「ダメか」
しかし、再生はされなかった。正確には再生はしようとしてはいるが、再生し始めたところから崩れていく。そして遂には再生しなくなり完全に消失する。
「おーい、糸音」
ルクスリアが下の庭に降りてきた。
「やったのか?」
「あぁ、完全に消えた」
「一体、何なんだあれは?」
「あれは、吸血鬼の眷属だ」
「そんな、人外のものがこの世に居るのか」
「あぁ、私の国では、というより私も実際に対峙したのは初めてだ。私の兄さんから聞いた話なんだが、元締めの吸血鬼、つまり親となる吸血鬼に噛まれるとその眷属になるという、しかし眷属化に失敗すると噛まれた者は理性を失うらしい」
「つまり、どこぞの吸血鬼が眷属化に失敗して、操り人形にした、ということか」
「おそらくそうだな」
「そうか。とりあえず、東へ向かい紅羽達と合流しよう」
二
糸音達がミンダルに入る少し前、東のミラーレス地区に入った紅羽と詩織が吸血鬼の眷属崩れとなった人間の大群と交戦中だった。
「おいおい、これはなんだ!殺しても殺しても再生するぞ」
「やばいねー、一旦引いた方がよくない?」
「そうだな、でも囲まれてるぞこれ」
二人は凶暴化した眷属崩れ達に逃げ場がない程に囲まれてしまう。
「うーん、仕方ないな。あれを使うよ」
「あれってなんだ?」
詩織は懐から巻物を一本取り出すと封を解く。そして持っていたクナイを巻物に書いてある円に刺すとそこから水が勢いよく吹き出して眷属崩れ達は流されて道ができる。
「よし、今のうちに行こー」
「何が起こったんだ!?」
「あー、これ秘密の忍法ね」
一瞬だけ呆然とする紅羽。
「まぁいい、とりあえず引くぞ」
二人は開けた道を走り、森へと逃げ込む。
眷属崩れ達が追って来てない事を確認すると、一息つき座りこむ。
「全くあいつら何なんだ、死なないのか」
「これは推測なんだけど、あれ多分吸血鬼だよ」
「吸血鬼?そんなものが存在しているのか?」
「信じられないだろうけど事実だよ、まぁあれは多分眷属崩れって言う吸血鬼の眷属の成れの果てだよ。私も見るのは初めてだけど、友人の吸血鬼に聞いたことあるから多分あってると思う」
「そうか、、、って友人に吸血鬼がいるのか!?」
「そうそう、世の中は摩訶不思議なんだよ」
「はっはっは、まぁそういう事もあるか。実際目の当たりにしたんだ信じるよ。それよりも念の為もう少し離れよう」
「それはいいけど、ルクスリア達にはどう伝えるんだ?」
「こうするのさ」
紅羽は口笛を吹いて鳥を誘き寄せて、メモを書いて、それを持たせると鳥は飛んでいった。
「えらく、原始的だな。こっちでは携帯の電波ないから仕方ないか」
「とりあえずこの先に小屋があっただろ、そこにひとまず待機しよう」
「りょ」
ルクスリアは二人の戦いを玉座の間から見ていた。
「一体、何が起こっているんだ。それにしても、、二人共人間離れしているな」
さすがの糸音も体力の限界が近づいてきていた。
(消耗戦はきついな、一か八か一気に体を粉砕するか)
糸音はクレインバルドの攻撃を交わしながら、手を叩き出した。その様子をルクスリアは上から見ていた。
「何をしているんだ、糸音は」
数回手を叩き終えると糸音はクレインバルドから距離を置き、指を突き出して空中で何かをそうさすると、糸音が指で指した方向にクレインバルドの体が弾ける。そして続け様に空中を指で何かを操作する、その度にクレインバルドの体は弾けていき、ついには原型が無くなる。
「やったか」
「!?」
何も無くなった場所からクレインバルドが再生を始めた。
「ダメか」
しかし、再生はされなかった。正確には再生はしようとしてはいるが、再生し始めたところから崩れていく。そして遂には再生しなくなり完全に消失する。
「おーい、糸音」
ルクスリアが下の庭に降りてきた。
「やったのか?」
「あぁ、完全に消えた」
「一体、何なんだあれは?」
「あれは、吸血鬼の眷属だ」
「そんな、人外のものがこの世に居るのか」
「あぁ、私の国では、というより私も実際に対峙したのは初めてだ。私の兄さんから聞いた話なんだが、元締めの吸血鬼、つまり親となる吸血鬼に噛まれるとその眷属になるという、しかし眷属化に失敗すると噛まれた者は理性を失うらしい」
「つまり、どこぞの吸血鬼が眷属化に失敗して、操り人形にした、ということか」
「おそらくそうだな」
「そうか。とりあえず、東へ向かい紅羽達と合流しよう」
二
糸音達がミンダルに入る少し前、東のミラーレス地区に入った紅羽と詩織が吸血鬼の眷属崩れとなった人間の大群と交戦中だった。
「おいおい、これはなんだ!殺しても殺しても再生するぞ」
「やばいねー、一旦引いた方がよくない?」
「そうだな、でも囲まれてるぞこれ」
二人は凶暴化した眷属崩れ達に逃げ場がない程に囲まれてしまう。
「うーん、仕方ないな。あれを使うよ」
「あれってなんだ?」
詩織は懐から巻物を一本取り出すと封を解く。そして持っていたクナイを巻物に書いてある円に刺すとそこから水が勢いよく吹き出して眷属崩れ達は流されて道ができる。
「よし、今のうちに行こー」
「何が起こったんだ!?」
「あー、これ秘密の忍法ね」
一瞬だけ呆然とする紅羽。
「まぁいい、とりあえず引くぞ」
二人は開けた道を走り、森へと逃げ込む。
眷属崩れ達が追って来てない事を確認すると、一息つき座りこむ。
「全くあいつら何なんだ、死なないのか」
「これは推測なんだけど、あれ多分吸血鬼だよ」
「吸血鬼?そんなものが存在しているのか?」
「信じられないだろうけど事実だよ、まぁあれは多分眷属崩れって言う吸血鬼の眷属の成れの果てだよ。私も見るのは初めてだけど、友人の吸血鬼に聞いたことあるから多分あってると思う」
「そうか、、、って友人に吸血鬼がいるのか!?」
「そうそう、世の中は摩訶不思議なんだよ」
「はっはっは、まぁそういう事もあるか。実際目の当たりにしたんだ信じるよ。それよりも念の為もう少し離れよう」
「それはいいけど、ルクスリア達にはどう伝えるんだ?」
「こうするのさ」
紅羽は口笛を吹いて鳥を誘き寄せて、メモを書いて、それを持たせると鳥は飛んでいった。
「えらく、原始的だな。こっちでは携帯の電波ないから仕方ないか」
「とりあえずこの先に小屋があっただろ、そこにひとまず待機しよう」
「りょ」
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