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第五章 忘却再生
第74話 音波
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一
北のフレアデル地区、雪の要塞の玉座でこの地区を治める男、ジャックザリッパーが報告を聞いていた。
「まさか、カサンドラがやられるとはな。っでどこの地区だ?東か西か」
「いや、それが、たった一人らしいです」
「は?どういうことだ?」
「南の地区は一人の少女に陥落させられました」
「一人というだけでも、驚きだが、少女だと。面白いな、そいつが誰か調べてくれ」
「はっ!かしこまりました」
玉座の間が再び静寂になる。
「ふん、面白いことになったな、さて奴らはどう動くのか。せいぜい高みの見物だな」
二
糸音と詩織は昨晩の説教が長引いて結局朝まで続いて、そしてようやく昼間に起床した。
一階で軽めの昼食を取るとルクスリアから作戦の概要を聞き、それぞれ東へ西へ向かうこととなった。
「この森を抜けると西の地区ブライトに入る、このままいけば三日でクレインバルドのいるミンダルに着く」
糸音とルクスリアはアジトを出て森の中をひたすら西へと歩いていた。
「なぁ、前から思っていたんだがルクスリアって体力すごいよな」
「ん?あー、森で育ったからね、土地勘もあるし、なぜだか全然疲れないんだよね、自然の力ってやつかな」
「自然の力ね、ルクスリアはたまにバカっぽい発言するよな」
「誰が馬鹿だ、でも本当の話、なんで疲れないのか不思議なんだよね」
(異能なのか、あまり異能には詳しくはないからな、いつか姉さんにでも聞いてみるか)
「あ、そういえば。一つ言うの忘れてたけど、、、」
「糸音」
「あぁ、、、」
会話を途中で切り、二人は辺りを警戒する。すると木々に影から矢が飛んでくる。二人はそれを軽く交わすと糸音が木々の影に隠れている人物に接近する。
「お前ら何者だ」
「チッ!速いな」
男は逃走をはかるが糸音が糸を放ち縛りあげる。
「一人か?糸音」
「いや、一人は逃げた、とりあえずこいつは捕らえたが」
「まぁいいだろう。おい、お前は何者だ?」
「ふん、お前がカサンドラ様を殺ったと聞いたから調べていたんだ。ジャック様の指示でな」
「ジャックだと、やはり動いたか。それに糸音の事も知られているのか」
「もう一人も捕まえておくべきだったか」
「なら、まかせろ」
糸音はもう一人が逃げたであろう方向へ手を向けて指で弾くと針剣を取り出して糸を先端と柄にある穴に通して弓を作ると矢が無いのに弓を引き、空中に何かを放つ。
「なっ!」
ルクスリアは驚愕した。糸音が何かを放った先の木々が抉れて、まるで大きな獣が通った後ができる。そして、遠くで逃走したもう一人に何かが当たって弾けた。男はそのまま倒れた。
「すまない、さっきの話の続きだが、私は異能が使える。今のは音を空中に固定して弓でひいた糸で送り出したんだ」
「異能か、びっくりしたぞ糸音。益々、頼もしいな」
「安心しろ、あの男は死んで無い。力加減はしたから」
「そうか、さて回収しにいくか」
ルクスリアは男を担ぎ、糸音と共にもう一人を回収しに行った。
北のフレアデル地区、雪の要塞の玉座でこの地区を治める男、ジャックザリッパーが報告を聞いていた。
「まさか、カサンドラがやられるとはな。っでどこの地区だ?東か西か」
「いや、それが、たった一人らしいです」
「は?どういうことだ?」
「南の地区は一人の少女に陥落させられました」
「一人というだけでも、驚きだが、少女だと。面白いな、そいつが誰か調べてくれ」
「はっ!かしこまりました」
玉座の間が再び静寂になる。
「ふん、面白いことになったな、さて奴らはどう動くのか。せいぜい高みの見物だな」
二
糸音と詩織は昨晩の説教が長引いて結局朝まで続いて、そしてようやく昼間に起床した。
一階で軽めの昼食を取るとルクスリアから作戦の概要を聞き、それぞれ東へ西へ向かうこととなった。
「この森を抜けると西の地区ブライトに入る、このままいけば三日でクレインバルドのいるミンダルに着く」
糸音とルクスリアはアジトを出て森の中をひたすら西へと歩いていた。
「なぁ、前から思っていたんだがルクスリアって体力すごいよな」
「ん?あー、森で育ったからね、土地勘もあるし、なぜだか全然疲れないんだよね、自然の力ってやつかな」
「自然の力ね、ルクスリアはたまにバカっぽい発言するよな」
「誰が馬鹿だ、でも本当の話、なんで疲れないのか不思議なんだよね」
(異能なのか、あまり異能には詳しくはないからな、いつか姉さんにでも聞いてみるか)
「あ、そういえば。一つ言うの忘れてたけど、、、」
「糸音」
「あぁ、、、」
会話を途中で切り、二人は辺りを警戒する。すると木々に影から矢が飛んでくる。二人はそれを軽く交わすと糸音が木々の影に隠れている人物に接近する。
「お前ら何者だ」
「チッ!速いな」
男は逃走をはかるが糸音が糸を放ち縛りあげる。
「一人か?糸音」
「いや、一人は逃げた、とりあえずこいつは捕らえたが」
「まぁいいだろう。おい、お前は何者だ?」
「ふん、お前がカサンドラ様を殺ったと聞いたから調べていたんだ。ジャック様の指示でな」
「ジャックだと、やはり動いたか。それに糸音の事も知られているのか」
「もう一人も捕まえておくべきだったか」
「なら、まかせろ」
糸音はもう一人が逃げたであろう方向へ手を向けて指で弾くと針剣を取り出して糸を先端と柄にある穴に通して弓を作ると矢が無いのに弓を引き、空中に何かを放つ。
「なっ!」
ルクスリアは驚愕した。糸音が何かを放った先の木々が抉れて、まるで大きな獣が通った後ができる。そして、遠くで逃走したもう一人に何かが当たって弾けた。男はそのまま倒れた。
「すまない、さっきの話の続きだが、私は異能が使える。今のは音を空中に固定して弓でひいた糸で送り出したんだ」
「異能か、びっくりしたぞ糸音。益々、頼もしいな」
「安心しろ、あの男は死んで無い。力加減はしたから」
「そうか、さて回収しにいくか」
ルクスリアは男を担ぎ、糸音と共にもう一人を回収しに行った。
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