72 / 199
第五章 忘却再生
第71話 来た理由
しおりを挟む
糸音はようやく頭が冷えたのかベッドから出て、そして一階へと降りた。
「おろ、糸音!やっと降りてきたか、まだルクスリアは帰ってないよ。もうちょいかかるみたい、カサンドラの死をきっかけに南への進行も止まったみたいだから当分はここも大丈夫かな。それよか、パン食べる?」
「あぁ、迷惑かけたな詩織。今はいいよ、少し出る」
「あーそう、まぁ迷子にならないでね。いってらっさい」
陽気に手を振り送り出す詩織に軽く手をふり返すと、外へと出た。
糸音は森の方へ歩くと川を見つけて辺りの手頃な岩に寝転がり考える。
ルクスリアの言葉を思い返す。
「なんか、痛かったな」
頬をさすりながらそんなことを言っていると、男が覗き込んできた。
「やぁ、やぁお嬢さん」
「あんたは確かあの時いた」
「自己紹介まだだったよね、俺は紅呂紅羽、趣味は絵描き、好きなタイプは妹」
「いや、そこまで聞いてないが、、、私は夕凪糸音だ、よろしく」
「糸音か、うん!よろしく!んで、何してたんだ」
「いや、ただただ雲を眺めていたんだ」
「なるほど、いい雲はあったか?」
「いや、無いな。何か用か?」
「そうだな、挨拶と君とお喋りかな」
「そうか」
糸音は再び横になると目を閉じる。そして糸音の横に同じように横になる紅羽。
「いいね、これ。糸音は何でこの国に?」
「さぁな、もう忘れてしまったよ」
「何だそれ、まぁ確かな正義はあるみたいだからいいけど」
「それこそ何だよ、私のは正義なんてものじゃないよ、ただ悪が許せないだけだ」
「はっはっは、それを正義って言うんじゃないのか?変な奴だ」
「お前に言われたくないな」
「糸音、今から俺と一戦交えないか?」
「何故、お前と戦うんだ?」
「強さを確かめたい、っていうか俺が戦ってみたいだけだが」
「まぁ、いいよ。どうせ暇だしな」
二人は起き上がると川へと移動する。そして糸音は針剣を抜くと構える。紅羽は手に持っていた鞘から剣を抜く。
「変わった剣だな」
「これは俺の故郷で作られてる和刀という種の刀だ。どっからでもいいぜ」
「なら遠慮なく」
(ふざけた男だとは思っていたが、なかなかやるじゃ無いか、隙がない。ならどこからでもいいか)
糸音は一歩踏み出し紅羽に接近して斬り込む。紅羽は糸音の針剣をいなし続ける。
「おうおう、さすが一人でカサンドラ達を殺っただけのことはあるな、しかし一対一なら俺にも勝機はあるな」
紅羽は和刀を独特な動きで扱い糸音が押される。
(この動き、読めないな)
「どうだい、俺のダンスはよう。和刀演剣舞」
紅羽の動きに翻弄されて遂に糸音は針剣を手放してしまう。
「勝ちだな」
「いや、まだだ」
糸音は懐にあった針を紅羽に飛ばす。紅羽はギリギリで避けると足元を掬われてこけてしまう。
「あちゃー、てか卑怯だぞ糸音」
「すまないな、だが戦場なら死んでいたぞ紅羽」
「たしかにそうだが、ここは戦場じゃないぜ」
「そうだな、なかなか強かったよ紅羽も」
糸音は紅羽に手を差し伸べて、立ち上がらせる。
「どうも。俺も楽しかったぜ、またやろうぜ」
「あぁ、またな」
「おーい二人共ルクスリアが帰ったぞ」
詩織が二人を呼びに川までやってきた。
「行くか」
「あぁ」
「おろ、糸音!やっと降りてきたか、まだルクスリアは帰ってないよ。もうちょいかかるみたい、カサンドラの死をきっかけに南への進行も止まったみたいだから当分はここも大丈夫かな。それよか、パン食べる?」
「あぁ、迷惑かけたな詩織。今はいいよ、少し出る」
「あーそう、まぁ迷子にならないでね。いってらっさい」
陽気に手を振り送り出す詩織に軽く手をふり返すと、外へと出た。
糸音は森の方へ歩くと川を見つけて辺りの手頃な岩に寝転がり考える。
ルクスリアの言葉を思い返す。
「なんか、痛かったな」
頬をさすりながらそんなことを言っていると、男が覗き込んできた。
「やぁ、やぁお嬢さん」
「あんたは確かあの時いた」
「自己紹介まだだったよね、俺は紅呂紅羽、趣味は絵描き、好きなタイプは妹」
「いや、そこまで聞いてないが、、、私は夕凪糸音だ、よろしく」
「糸音か、うん!よろしく!んで、何してたんだ」
「いや、ただただ雲を眺めていたんだ」
「なるほど、いい雲はあったか?」
「いや、無いな。何か用か?」
「そうだな、挨拶と君とお喋りかな」
「そうか」
糸音は再び横になると目を閉じる。そして糸音の横に同じように横になる紅羽。
「いいね、これ。糸音は何でこの国に?」
「さぁな、もう忘れてしまったよ」
「何だそれ、まぁ確かな正義はあるみたいだからいいけど」
「それこそ何だよ、私のは正義なんてものじゃないよ、ただ悪が許せないだけだ」
「はっはっは、それを正義って言うんじゃないのか?変な奴だ」
「お前に言われたくないな」
「糸音、今から俺と一戦交えないか?」
「何故、お前と戦うんだ?」
「強さを確かめたい、っていうか俺が戦ってみたいだけだが」
「まぁ、いいよ。どうせ暇だしな」
二人は起き上がると川へと移動する。そして糸音は針剣を抜くと構える。紅羽は手に持っていた鞘から剣を抜く。
「変わった剣だな」
「これは俺の故郷で作られてる和刀という種の刀だ。どっからでもいいぜ」
「なら遠慮なく」
(ふざけた男だとは思っていたが、なかなかやるじゃ無いか、隙がない。ならどこからでもいいか)
糸音は一歩踏み出し紅羽に接近して斬り込む。紅羽は糸音の針剣をいなし続ける。
「おうおう、さすが一人でカサンドラ達を殺っただけのことはあるな、しかし一対一なら俺にも勝機はあるな」
紅羽は和刀を独特な動きで扱い糸音が押される。
(この動き、読めないな)
「どうだい、俺のダンスはよう。和刀演剣舞」
紅羽の動きに翻弄されて遂に糸音は針剣を手放してしまう。
「勝ちだな」
「いや、まだだ」
糸音は懐にあった針を紅羽に飛ばす。紅羽はギリギリで避けると足元を掬われてこけてしまう。
「あちゃー、てか卑怯だぞ糸音」
「すまないな、だが戦場なら死んでいたぞ紅羽」
「たしかにそうだが、ここは戦場じゃないぜ」
「そうだな、なかなか強かったよ紅羽も」
糸音は紅羽に手を差し伸べて、立ち上がらせる。
「どうも。俺も楽しかったぜ、またやろうぜ」
「あぁ、またな」
「おーい二人共ルクスリアが帰ったぞ」
詩織が二人を呼びに川までやってきた。
「行くか」
「あぁ」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる