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第三章 幽愁暗恨
第44話 狩り
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「なるほどな。なら四人でやるしかねぇな」
槍士と真宵はミツギから粗方事情を聞いた。
「しかし、まさかキメラを出してくるなんて。やはり今回の件も前回も夜月がからんでいますね。一先ずあの怪物をどうするかですね」
その怪物は今、ビル倒壊で起きた粉塵の中に立っていた。まるで獲物を選別して今かと狙いを定めているように。
「一気に攻めるぞ」
神無の言葉で皆、構えを取る。
そして怪物は動きだした。助走なしで拳を突き出して一気に飛んでくる。
四人はそれに合わせて散り散りに四方八方に避けて攻める。
「いくぜぇ!!」
槍士は槍で怪物キメラの体に斬り込む。しかし微動だにせず槍士の方を向くと拳を槍士に上から落とす。その速さに避けられず槍士の頭上に直撃するが、かろうじてチャクソウで受けきる。
「っっっ!?、、こいつは、パンチの効いたげんこつだぜ!」
拳の重みで槍士の足は地面にめり込む。
「先輩!そのままで!」
真宵がキメラの頭上から急降下してきて、キメラの目を抉る。
うぎゃああああああ!!!!!
怪物キメラは断末魔をあげると片目を抑え悶える。
「よし!」
ミツギが縄をキメラの体と足元に巻きつけ巨体を転がす。
「トドメといこうか!」
体制を立て直した槍士と、今か今かと待ち望んでいた神無が怪物の顔や体に斬り込む。神無まず先に邪魔になるだろう尻尾を切り落とす。槍士は次から次へと体に斬り込む。その四人の光景はまるで猛獣を狩る狩人たちそのものだった。
うぎゃあああーーーう!!
キメラは暴れだすが、渾身の力で踏ん張るミツギ。
「いけるぞ!やれ!!!」
「よし、トドメだな!」
そのまま槍士と神無はキメラの首を落としにかかる。キメラは自身の危機を感じたかのように断末魔を上げて激しく暴れる。
「くっ!!踏ん張れー!」
ミツギは踏ん張るだけでは止められないと感じ、さらに力を入れて引っ張る。
そして、キメラの首が落ちる。
「よっしゃあー!」
槍士はその場で倒れ、神無は息を整える。
「やったな」
真宵が降りてきて、首なしキメラに近づくと
「!?」
胴体の切断面がぐにょぐにょ動き出した。
「まずい!まだ終わってない!」
「うそだろ!?不死身か!」
「くそ!なら心臓だ、心臓を狙え!真宵!」
神無の声に反応して首なしキメラは立ち上がると、真宵に手をのばす。
真宵は懐から銃を取り出すと心臓を狙い撃ったが、全く効いてなかった。
「くそ!硬い!」
さっきまで倒れていた槍士は跳ね起き、チャクソウを心臓に突き刺す。
「なら、これでどうだ!」
しかしやはり心臓には届かず、槍が刺さったまま槍士は吹っ飛ばされる。
「だめだ!」
「いや、いけます!縄がまだ絡まっています、ミツギさん!」
「よし、おーけー!ふん!!」
ミツギは再び縄を引っ張りキメラの動きを止める。たまらずキメラは膝をついた。
「よし!撃って真宵さん!」
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
真宵が放った三発の弾は槍の柄に順番に命中して槍が奥へと刺さり、そしてキメラの動きが止まって、その場に倒れる。
「やったか」
ついに化け物キメラを仕留めた四人は安堵する。
「しっかし焦ったぜ、まさか首なしで動くんだから、しかもあの感じ絶対再生しようとしてたな」
「すまないな。私が洗脳を解いたせいで」
神無は素直に謝るとミツギが少し笑った。
「なんだよ、ミツギ」
「いや、、神無が素直に謝るの珍しいと思って」
「私だって謝る時は謝る」
「いいじゃないですか、皆んな生きているんですから」
「よし!じゃあ先生と合流するか!」
槍士の声でみな立ち上がる。そしてまだ彼らは気づいていなかった。大きな戦いが終わった安心感のせいなのか、疲労のせいなのか誰も彼の視線に気づかなかった。
槍士と真宵はミツギから粗方事情を聞いた。
「しかし、まさかキメラを出してくるなんて。やはり今回の件も前回も夜月がからんでいますね。一先ずあの怪物をどうするかですね」
その怪物は今、ビル倒壊で起きた粉塵の中に立っていた。まるで獲物を選別して今かと狙いを定めているように。
「一気に攻めるぞ」
神無の言葉で皆、構えを取る。
そして怪物は動きだした。助走なしで拳を突き出して一気に飛んでくる。
四人はそれに合わせて散り散りに四方八方に避けて攻める。
「いくぜぇ!!」
槍士は槍で怪物キメラの体に斬り込む。しかし微動だにせず槍士の方を向くと拳を槍士に上から落とす。その速さに避けられず槍士の頭上に直撃するが、かろうじてチャクソウで受けきる。
「っっっ!?、、こいつは、パンチの効いたげんこつだぜ!」
拳の重みで槍士の足は地面にめり込む。
「先輩!そのままで!」
真宵がキメラの頭上から急降下してきて、キメラの目を抉る。
うぎゃああああああ!!!!!
怪物キメラは断末魔をあげると片目を抑え悶える。
「よし!」
ミツギが縄をキメラの体と足元に巻きつけ巨体を転がす。
「トドメといこうか!」
体制を立て直した槍士と、今か今かと待ち望んでいた神無が怪物の顔や体に斬り込む。神無まず先に邪魔になるだろう尻尾を切り落とす。槍士は次から次へと体に斬り込む。その四人の光景はまるで猛獣を狩る狩人たちそのものだった。
うぎゃあああーーーう!!
キメラは暴れだすが、渾身の力で踏ん張るミツギ。
「いけるぞ!やれ!!!」
「よし、トドメだな!」
そのまま槍士と神無はキメラの首を落としにかかる。キメラは自身の危機を感じたかのように断末魔を上げて激しく暴れる。
「くっ!!踏ん張れー!」
ミツギは踏ん張るだけでは止められないと感じ、さらに力を入れて引っ張る。
そして、キメラの首が落ちる。
「よっしゃあー!」
槍士はその場で倒れ、神無は息を整える。
「やったな」
真宵が降りてきて、首なしキメラに近づくと
「!?」
胴体の切断面がぐにょぐにょ動き出した。
「まずい!まだ終わってない!」
「うそだろ!?不死身か!」
「くそ!なら心臓だ、心臓を狙え!真宵!」
神無の声に反応して首なしキメラは立ち上がると、真宵に手をのばす。
真宵は懐から銃を取り出すと心臓を狙い撃ったが、全く効いてなかった。
「くそ!硬い!」
さっきまで倒れていた槍士は跳ね起き、チャクソウを心臓に突き刺す。
「なら、これでどうだ!」
しかしやはり心臓には届かず、槍が刺さったまま槍士は吹っ飛ばされる。
「だめだ!」
「いや、いけます!縄がまだ絡まっています、ミツギさん!」
「よし、おーけー!ふん!!」
ミツギは再び縄を引っ張りキメラの動きを止める。たまらずキメラは膝をついた。
「よし!撃って真宵さん!」
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
真宵が放った三発の弾は槍の柄に順番に命中して槍が奥へと刺さり、そしてキメラの動きが止まって、その場に倒れる。
「やったか」
ついに化け物キメラを仕留めた四人は安堵する。
「しっかし焦ったぜ、まさか首なしで動くんだから、しかもあの感じ絶対再生しようとしてたな」
「すまないな。私が洗脳を解いたせいで」
神無は素直に謝るとミツギが少し笑った。
「なんだよ、ミツギ」
「いや、、神無が素直に謝るの珍しいと思って」
「私だって謝る時は謝る」
「いいじゃないですか、皆んな生きているんですから」
「よし!じゃあ先生と合流するか!」
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