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第三章 幽愁暗恨
第40話 最後の賭け
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「こりゃまじでやばいな」
槍士はヤシラによる斧での連撃で、致命傷ではないがかなりの傷を負ってしまっていた。
「さっきの爆発音一体何だったんだ。まぁ次で終わりだしカラクの所に参戦しに行くか」
余裕の表情で迫り来るヤシラ、槍士はチャクソウを杖に立ち上がる。
(小僧、俺を杖にするな)
「わりーわりー、こうでもしねぇと立てねぇもんで」
擲槍は鼻で笑うと槍士に話しかける。
(いいな小僧、前回みたいに限界がきたら俺がでるぞ)
(それは勘弁だぜ)
(なぜだ?)
(そりゃ、この後も戦いが控えてるかもしれねぇからな、前回みたいな事にはなりたくねぇ)
(この後って、今生き残らないと死ぬんだぞ)
(なら、どうしたらいい?擲槍)
擲槍は驚いた。今まで槍士が自分に相談した事など、ましてや戦いのアドバイスなど聞かれたことがなかったからだ。
(ふん、小僧も成長したな。いいだろう、なら最後に賭けをしようか)
(賭けだと?)
(そうだ、どうせこれが最後だからな。むざむざやられて仕舞いなど俺が気に食わん。ところでお前は憑依術には二つ種類があるのを知っているか?)
(何だそりゃ、初耳だ)
(ならいい。まずは頑張って奴にこの俺を刺せ。刺されば何処でもいい、刺せなければ小僧が死ぬだけだ、そしてこの俺が体を頂く。背水の陣だぞ小僧、見せてみろ底力を)
(なるほど!何処でもいいんだな?)
「なら、やってやるさ!」
「何がやってやるんだ?」
ヤシラは首を傾げ、ゆっくりと近づいてくる。そして槍士は動きだす。ヤシラへ向かって駆け出す槍士。
「なんだ、頭ごなしに突進してきやがって」
ヤシラは斧を振り上げ槍士になげつけてくる。飛んできた斧を槍で打ち返す。
「何だ!やるじゃないか。だがダメだな」
ヤシラはそのまま突っ込んできて足元の斧を拾い、また投げつけてくる。
「終わりだ!」
(ん?槍の先端が無い!何処へ行った!?)
気づいた時にはもう遅かった。ヤシラは左肩に痛みを覚える。ヤシラの後ろから槍の先端が接近している事に気づかなかった。
「っっっ!小賢しい真似だな。さっき打ち返した時に先端を飛ばして俺の視界から外して背中から狙ったな。先端は鎖で繋がれ、輪を作って俺へ直撃したというところか」
「正解、終わったな」
「ああ、惜しかったな。終わりだ」
ヤシラは自身の肩に刺さっている刃先を掴み取る。その瞬間、ヤシラの視界に工場とは別の景色が広がる。そこは暗い洞窟で地面には幾つもの槍が刺さっていた。そしてそんな中場違いな玉座を見つけるとそこに男が偉そうに座っていた。
「なんだ、俺の負けか。小僧にしてはよくやったな」
槍士はヤシラによる斧での連撃で、致命傷ではないがかなりの傷を負ってしまっていた。
「さっきの爆発音一体何だったんだ。まぁ次で終わりだしカラクの所に参戦しに行くか」
余裕の表情で迫り来るヤシラ、槍士はチャクソウを杖に立ち上がる。
(小僧、俺を杖にするな)
「わりーわりー、こうでもしねぇと立てねぇもんで」
擲槍は鼻で笑うと槍士に話しかける。
(いいな小僧、前回みたいに限界がきたら俺がでるぞ)
(それは勘弁だぜ)
(なぜだ?)
(そりゃ、この後も戦いが控えてるかもしれねぇからな、前回みたいな事にはなりたくねぇ)
(この後って、今生き残らないと死ぬんだぞ)
(なら、どうしたらいい?擲槍)
擲槍は驚いた。今まで槍士が自分に相談した事など、ましてや戦いのアドバイスなど聞かれたことがなかったからだ。
(ふん、小僧も成長したな。いいだろう、なら最後に賭けをしようか)
(賭けだと?)
(そうだ、どうせこれが最後だからな。むざむざやられて仕舞いなど俺が気に食わん。ところでお前は憑依術には二つ種類があるのを知っているか?)
(何だそりゃ、初耳だ)
(ならいい。まずは頑張って奴にこの俺を刺せ。刺されば何処でもいい、刺せなければ小僧が死ぬだけだ、そしてこの俺が体を頂く。背水の陣だぞ小僧、見せてみろ底力を)
(なるほど!何処でもいいんだな?)
「なら、やってやるさ!」
「何がやってやるんだ?」
ヤシラは首を傾げ、ゆっくりと近づいてくる。そして槍士は動きだす。ヤシラへ向かって駆け出す槍士。
「なんだ、頭ごなしに突進してきやがって」
ヤシラは斧を振り上げ槍士になげつけてくる。飛んできた斧を槍で打ち返す。
「何だ!やるじゃないか。だがダメだな」
ヤシラはそのまま突っ込んできて足元の斧を拾い、また投げつけてくる。
「終わりだ!」
(ん?槍の先端が無い!何処へ行った!?)
気づいた時にはもう遅かった。ヤシラは左肩に痛みを覚える。ヤシラの後ろから槍の先端が接近している事に気づかなかった。
「っっっ!小賢しい真似だな。さっき打ち返した時に先端を飛ばして俺の視界から外して背中から狙ったな。先端は鎖で繋がれ、輪を作って俺へ直撃したというところか」
「正解、終わったな」
「ああ、惜しかったな。終わりだ」
ヤシラは自身の肩に刺さっている刃先を掴み取る。その瞬間、ヤシラの視界に工場とは別の景色が広がる。そこは暗い洞窟で地面には幾つもの槍が刺さっていた。そしてそんな中場違いな玉座を見つけるとそこに男が偉そうに座っていた。
「なんだ、俺の負けか。小僧にしてはよくやったな」
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