天使ノ探求者

はなり

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第三章 幽愁暗恨

第34話 夜月六花

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「ルナはどうなるんだ」
 
「このまま暴走しますと、最悪この世界は確実に飲み込まれて終わりですわ」
 
「どうしたらええんや」
 
(そこのチャイナのお姉ちゃん)
 
メイは不意に心の中で誰かに呼ばれた。
 
(私、ルナ。今、精神体の方であなたに語りかけてるの。まだこっちは自我を保てているのだけど、それも時間の問題なの)
 
(どういうことや?)

 
(お姉ちゃんにお願いがあるの。私の本体がある、後ろに小さな光の玉があるのがわかる?)
 
メイは言われて確認すると、ルナの頭の上の方に光る塊を見つける。
 
(あれやな!)
 
(そう!それを砕いて欲しいの、お姉ちゃんならできるでしょ)
 
(でも、壊したらあんた死ぬんちゃうの?)
 
(それでは死なないよ。私の体を制御しているのがあの玉なの)
 
メイは立ち上がり、気合いを入れる。
 
「おいメイ!その傷で動けるんか?」
 
「動かへんで、ここからあれを撃ち抜くんや」
 
「メイ何を、、」
 
メイは指でピストルの形を作り構える。すると地面から蔦が伸びてきてメイに向かって襲ってくる。
 
「させへんで!」
 
シャオと涼香が蔦を抑える。次々と来る蔦を凍らせ砕く。
 
「なんかようわからへんけど、うちらに任せとき!」

「ありがとう!」
 
その様子を見てルミは声を荒げる。

「お前何をするつもりだ!」
 
「お前の妹を救うやで!」
 
メイのまわりに電撃の火花が散り始め、指先に集中する。
 
「やめろーーー!」
 
ルミはメイの行動を阻止しようとするが蔦がそれを邪魔する。
 
ズドォォォン!!
 
メイは指に込めた電撃を放った。その時心の中にルナの声が届く。
 
(◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯)
 
蔦が伸びてルナの周りを囲うが狙いは光の玉。それを貫通してヒビが入る。そして音を立てて砕けた。蔦は枯れていくが白の世界はまだ続いていた。メイは電撃を放った後、そのまま気を失った。
 
「ルナ」
 
「今までありがとうルミお姉ちゃん」
 
ルナは涙を流し笑顔で懐からナイフを取り出して心臓に突き刺した。
 
「ルナ!」
 
その瞬間、白の世界は終わり皇室に戻される。
 
 
「なん、、でこんな」
 
ルミはルナの亡骸を抱えて肩を震わせる。
 
「なんでや」
 
「止めるにはこの方法しかありませんでした。ルナさんはご自身で選んだんでしょう、形はどうあれ彼女は世界を守りました」
 
ルミは完全に戦意喪失して泣き崩れている。
 
「シャオ、彼女を保護しましょう。情報は聞き出しませんと」
 
涼香がルミに近づこうと踏み出すと、ルミの前に黒い塊が現れる。そしてその中から声が聞こえてくる。
 
「悲劇だな」
 
「!?」
 
二人は知っていた。その声を、紛れもない夢でもなく幻でもない彼女を。本物の吸血鬼、夜月六花が何処からともなく現れた。
 
「まさか、本当に現れるとは」
 
「久しぶりやな、六花」
 
「その声はシャオだな、それに涼香か姿変わってないな」
 
「そんなことよりも、何故あなたがそちら側に?」
 
「お前の言うそちらっていうのはどう言う意味だ。私にとってはそっちもこっちも変わらんのだが、私は宗谷に賛同しただけだ」
 
「宗谷やて!」
 
「まさか、彼がこの一連の事件の首謀者だと?それに彼は糸衛さんが殺したはず」
 
「殺されていないからいるんだろ。それにここにはもう要はない。は果たされた。お前達には死んでもらうとしよう」
 
「どういうことですか?」
 
六花は静かに手をあげると皇室の天井が吹き飛んだ、跡形もなく粉々にまるで最初からなかったかのように。
 
「相変わらず規格外の化け物ですわね」
 
「どうするんや?涼香」
 
「とりあえずやりますわよ」
 
「了解!」
 
二人は一斉に六花に向かって走り出した。六花は軽く二人の攻撃をあしらう。
涼香が六花の腕を掴み氷漬けにするがすぐに腕を捨てて再生する。
 
「再生速度が早いですわね」
 
「感心してる余裕はないぞ」
 
六花は涼香の喉を掴み、近くにいたシャオに体ごと投げつける。シャオと共に壁に激突する。
 
「ぐっ!お、い涼香」
 
「すいませんね、シャオ」
 
二人は再び立ち上がり一息つく。
 
「もう終わりか?」
 
「まさか」
 
シャオが物凄い勢いで六花に駆け出した。
間合いを詰めて六花に神速の拳で打ち込むさっきよりも速く。さらに涼香はシャオの動きに合わせて六花に氷に礫を放つ。
 
「いい連携だ。シャオ、体が温まってきたようだな。しかしお前を殺すと厄介だからな、だから大人しくしてもらおう」
 
六花は何もない空間から手錠を取り出してシャオの手に器用にもかけていく。手足に錠前をされ倒れる。
 
「くっそ!なんやこれ外れへんやんか!」
 
「当たり前だ、お前の力量は知っている。だからお前の馬鹿力でも壊れないように作った」
 
「チートですわね」
 
「これで一対一だな。久しぶりにゆっくりと話しながらやりたかったが、時間だ上を見てみろ」
 
六花が指差した上空には巨大な隕石が迫ってきていた。
 
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