天使ノ探求者

はなり

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第三章 幽愁暗恨

第33話 ルミとルナ

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私たちは父から虐待を受けていた。母は私たちを助けようとはせず、そのまま放置した。世間体を気にしてか親はその事を隠して過ごしていた。まわりには素敵な家族像に映っていただろう。だけど事件は起こった、些細な夫婦喧嘩だった、だけど父が私たちの目の前で母を殺したのだ。妹は泣き叫んだ。私も泣いてたかもしれない、でも自分たちを助けてくれない人なんか、たとえそれが生みの親でも死んで当然だと思っていた。そして父は母の死体を私たちに埋めるように言いつけた。周囲の人達には母親は行方不明になったとか言って誤魔化していたのだろう。そして私たちは都会から離れて山の中で暮らし始めた。
それからは地獄の様な日々だった。父親は強盗や強姦、殺された人たちを私たちが次から次へと埋めに行く、そんな狂った生活が始まった。妹は毎日泣いては殴られて、私は庇うが殴り飛ばされて結局二人共殴られる。ひとしきり殴られたら父は出て行きまた女を探して攫って殺す。精神がおかしくなる思いだったが、私は思っていた。いつか父親を殺して自分達は自由になるんだと。そしてそんな日々が続いたある日、私たちは父親が連れてきた男達に殴られ、犯されかけた。妹が叫び声をあげたその時、家にいた私達姉妹以外が突然倒れた。最初は何が起こったのか分からなかったが、倒れたなら好都合だと思い。私はそのまま家に火を放った。それから私は妹と山の中のさらに奥へと行き洞窟で過ごしていた。幸いにも処世術は身につけていたから衣食住には困らなかった。山では自給自足の生活を送っていた。そんなある日、私がいつもの狩りから帰ってくると妹が倒れていた。原因は不明だが高熱が何日も続いた。そして私は意を決して街へとおりた。誰か治せる者がいないか聞いて回ったがどこにも相手にされずに日が暮れ、そして山に戻り妹の看病をする。そんな生活が数日続いたある日、いつもの様に街で鎮痛剤を盗んで帰ると洞窟の前に喪服の男が居た。最初は警戒した。だがその男は妹を治せるといい、治す代わりに条件をつけてきた。私はその条件をのみ、妹は元気になった。私は異能力者となって力の使い方、あり方などを教わった。そして男の目的を聞き賛同した。これが四ヶ月ほど前の話。
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