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第三章 幽愁暗恨
第29話 怨雨
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「兄、さん?誰の、ことだ」
「貴様というやつは何故!何故!こんな奴に」
糸音は話が見えず困惑する。昔自分が何かしたのかと、自分が覚えていない四年の間の事を言っているのかと。
「記憶を再生させればいい」
「お前は黙っていろ!宗谷」
糸音は聞き逃さなかった。
宗谷
その名前に聞き覚えがあった。糸衛に忠告された名。それだけじゃなく糸音は唐突な頭痛に襲われる。
「く!宗谷、その名前は知っているぞ。師匠が教ええてくれた」
「そうか、やはり奴の仕業だったのか。お前の記憶を覗こうとした時、邪魔が入ったのだ。しかしそれは、今となってはどうでもいいことだが」
その瞬間、宗谷の体が二つに割れ、霧の中に消えていく。
「うるさいと言ったはずだ」
女は自身の剣で宗谷を切った。そして霧の中から何処からともなく声が聞こえてくる。
「すまない、横槍を入れるつもりはないから安心しろ。さらばだ夕凪糸音」
「待て!くっ!」
糸音は頭痛で膝をつく。そこにすかさず女が斬り込んでくる。
「今は私に集中しろ!夕凪糸音!」
「あんたは一体誰なんだ!」
「いいだろう。教えてやる!そして思い出せ自分の犯した罪を!私の名は紅呂椿、お前が殺した紅呂紅羽の妹だ!」
その名を聞いた瞬間、糸音は今までにない頭痛に襲われる。
「わ、わたしが殺した?」
「そうだ!私の目の前で兄さんを殺した!目を瞑れば今でも瞼の裏に焼き付いている。兄さんがお前に殺された瞬間姿が!でも嬉しいんだ、お前が死んだと聞いていて私の復讐は遂げられずに終わった、だがお前は生きていた!これでようやく果たせる、この手でお前を殺せる!兄さんの和刀でお前を殺す」
「くっ!」
糸音は頭を抱えて椿を見据える。
「さて、語る事などない、お前の死で罪を償え、夕凪糸音」
冷たい声で冷たい刃が振り下ろされる。糸音は避けるのが遅れ斬られてしまう。
「小賢しいぞ!お前は償うべきだ、これまでに殺してきた分、お前の死で!」
凄まじい憎悪で糸音に追撃してくる椿。一瞬の動作が遅れたが、致命傷にはならない傷を負う。糸音は体制を立て直そうと後退するが椿がそれを許さず刃で襲ってくる。足を切られ立てないほどの傷を負ってしまった糸音は
「私はあんたの兄さんを殺した。すまなかったですまされない、私は奪った命を踏み台にして生きてきた。だけど私には大切な仲間や家族がいる、ここで死ぬわけにはいかないんだ」
「何を言っているんだ?お前は!私の家族を奪っておいて、自分はのうのうと生きていくと言っているのか?ふざけるな!!」
椿は糸音を和刀で突き刺した。そして糸音は自分の体に刺さっている刃を掴む。
「まだそんな力が残っているのか」
「まだ、死ぬわけには」
「もういい死ね」
その瞬間、糸音は椿に蹴られ橋から落ちるがギリギリで橋の縁を掴んだ。雨によって流れが速くなっている川に今落ちれば助からない。
「見苦しいぞ!これはお前への罰だ!」
「ごめん、本当に」
「言葉だけの謝罪などいい!お前は死でも償えない。地獄のような苦しみを私が与えてやる!」
椿は糸音の手に刀を突き刺し、川へと蹴り落とした。糸音は川にのまれ姿を消した。
「こんなもので終わったと思うなよ。もし生きて帰ってきても地獄がお前を待っているぞ夕凪糸音」
雨は悲しくも降り続く。
「貴様というやつは何故!何故!こんな奴に」
糸音は話が見えず困惑する。昔自分が何かしたのかと、自分が覚えていない四年の間の事を言っているのかと。
「記憶を再生させればいい」
「お前は黙っていろ!宗谷」
糸音は聞き逃さなかった。
宗谷
その名前に聞き覚えがあった。糸衛に忠告された名。それだけじゃなく糸音は唐突な頭痛に襲われる。
「く!宗谷、その名前は知っているぞ。師匠が教ええてくれた」
「そうか、やはり奴の仕業だったのか。お前の記憶を覗こうとした時、邪魔が入ったのだ。しかしそれは、今となってはどうでもいいことだが」
その瞬間、宗谷の体が二つに割れ、霧の中に消えていく。
「うるさいと言ったはずだ」
女は自身の剣で宗谷を切った。そして霧の中から何処からともなく声が聞こえてくる。
「すまない、横槍を入れるつもりはないから安心しろ。さらばだ夕凪糸音」
「待て!くっ!」
糸音は頭痛で膝をつく。そこにすかさず女が斬り込んでくる。
「今は私に集中しろ!夕凪糸音!」
「あんたは一体誰なんだ!」
「いいだろう。教えてやる!そして思い出せ自分の犯した罪を!私の名は紅呂椿、お前が殺した紅呂紅羽の妹だ!」
その名を聞いた瞬間、糸音は今までにない頭痛に襲われる。
「わ、わたしが殺した?」
「そうだ!私の目の前で兄さんを殺した!目を瞑れば今でも瞼の裏に焼き付いている。兄さんがお前に殺された瞬間姿が!でも嬉しいんだ、お前が死んだと聞いていて私の復讐は遂げられずに終わった、だがお前は生きていた!これでようやく果たせる、この手でお前を殺せる!兄さんの和刀でお前を殺す」
「くっ!」
糸音は頭を抱えて椿を見据える。
「さて、語る事などない、お前の死で罪を償え、夕凪糸音」
冷たい声で冷たい刃が振り下ろされる。糸音は避けるのが遅れ斬られてしまう。
「小賢しいぞ!お前は償うべきだ、これまでに殺してきた分、お前の死で!」
凄まじい憎悪で糸音に追撃してくる椿。一瞬の動作が遅れたが、致命傷にはならない傷を負う。糸音は体制を立て直そうと後退するが椿がそれを許さず刃で襲ってくる。足を切られ立てないほどの傷を負ってしまった糸音は
「私はあんたの兄さんを殺した。すまなかったですまされない、私は奪った命を踏み台にして生きてきた。だけど私には大切な仲間や家族がいる、ここで死ぬわけにはいかないんだ」
「何を言っているんだ?お前は!私の家族を奪っておいて、自分はのうのうと生きていくと言っているのか?ふざけるな!!」
椿は糸音を和刀で突き刺した。そして糸音は自分の体に刺さっている刃を掴む。
「まだそんな力が残っているのか」
「まだ、死ぬわけには」
「もういい死ね」
その瞬間、糸音は椿に蹴られ橋から落ちるがギリギリで橋の縁を掴んだ。雨によって流れが速くなっている川に今落ちれば助からない。
「見苦しいぞ!これはお前への罰だ!」
「ごめん、本当に」
「言葉だけの謝罪などいい!お前は死でも償えない。地獄のような苦しみを私が与えてやる!」
椿は糸音の手に刀を突き刺し、川へと蹴り落とした。糸音は川にのまれ姿を消した。
「こんなもので終わったと思うなよ。もし生きて帰ってきても地獄がお前を待っているぞ夕凪糸音」
雨は悲しくも降り続く。
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