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第三章 幽愁暗恨
第25話 カンナギの京
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一
「姉さん、殺したでしょ」
涼香は戦いが終わり、火憐のところへとやってきた。
「あら、分かるのね」
「分かるよ、だって笑顔が貼り付いていますよ。それに、その血」
顔が笑っていたことに気づきすぐに戻す、そして浴衣には返り血がたっぷりとついていた。
「せっかくの浴衣でしたのに、また変えませんと。それはそうとそっちは生捕りできましたのね」
「優秀だから」
「あら、頭がないですわね」
涼香は火憐を無視して会話を続ける。
「あぁ、ここ」
すると火憐が持っていた鎖の玉を掲げる。
「んー!んんー!んん!ーんー!」
「なんか言ってますわよ」
「うるさいから顔ごとぐるぐるに巻いてやった」
「なるほど。で何か聞き出せましたの?」
「あぁ、無理だった」
「はぁ、仕方ありませんわね」
「あれ使うよ」
「どうぞ、ちゃんと押さえてあげますから」
「あんがと」
ニ
「調べがつきました」
ツグハは志貴に学園長室でこれまで得た情報を報告していた。
「一ヶ月程前、涼香様達が得た情報によると敵首謀者、数共に不明ですが、目的が判明しました。それが西と東の都市でクーデターを起こすとの事らしいです」
「かなり、規模のでかい話だね。そうなると敵が根城にしている場所を暴かないとだね」
「既に割れています」
「流石、咲夜だな」
「はい。咲夜さんはよく働いてくれました。報酬は弾めとのことです」
「今回は仕方ないね」
「冗談はさておき。本拠地は東のヘルフェブルは廃ビル群、西のカンナギの京は北栄、南京、カンナギの館です」
「やはり東はあの廃ビルか、こんな事なら市長の言う事聞いとくんだったな、で何故西は三箇所も?それに南京ってたしか繁華街だろ、なんでまた」
「西に関しては情報が錯乱しております」
「どう言う事だ」
「はい。今カンナギでは吸血鬼騒動があるそうです」
「また吸血鬼か」
「それに加えて、妙な噂があるんです」
「噂?」
「なんでも吸血鬼を崇拝する団体も影で暗躍しているとかで都でクーデターを起こそうとしているとか」
「吸血鬼を崇拝ね。愚かだな、でそれで何で南京なんだ?」
「はい、南京には吸血鬼を崇拝する団体、六花の集いの本拠地があります」
「六花だと、偶然か?」
「分かりませんが。調べる価値はあるかと、それとクーデターを起こそうとしていると言いましたが、実際にその決行日を入手しました」
「いつなんだ?」
「七日後です」
「七日か、すぐに準備だな。糸音達を呼んでくれないか」
「本当に行かせていいんですか?」
「それはこっちのセリフだよツグハ」
「彼女達が決めた事ならそれを尊重すべきだと」
「すまないな。彼女達は強い、その強さを信じて託そうじゃないか」
「・・・・・」
ツグハは静かに学園長室を去った。
三
窓の外の雲ひとつない空を見上げていた。
「着いたーーーー!!ただいま故郷!!」
メイは元気良くカンナギへようこそという文字の書いてある門の前で叫んでいた。
「バカ!」
「いて!」
メイは遊にどつかれた。
「極力隠密と言っただろうが!」
「だって久しぶりやねんから、ちょっとくらいええやんか!
「流石メイ、期待を裏切らないな」
たわいないやり取りに思わず笑う糸音。糸音達は志貴から頼まれてカンナギの京へやって来た。
「糸音!笑ってないでメイを見張っといてくれ」
この三ヶ月で、遊を含め夕ヶ丘学園のメンバーは仲を深めていた。
「なーにやってんだ」
門の影から火憐が顔を覗かせる。
「火憐姉さん、久しぶり」
「久しぶり糸音。元気にしてたか?」
「元気だよ、姉さんはどう?」
「元気元気!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「何、緊張してるんだ?お前達」
何を話たらいいのか、互いにソワソワしていると遊が話しかける。
「積もる話があるなら、先ずは拠点にだな」
「あ、あぁそうだな!涼香姉さんも待っていることだ、案内するよ」
「涼香は何をしているんだ?」
「姉さんは今情報収集しているところ」
「じゃ、急ぐか」
四人は涼香の待つ、拠点の宿へと向かう。
「姉さん、殺したでしょ」
涼香は戦いが終わり、火憐のところへとやってきた。
「あら、分かるのね」
「分かるよ、だって笑顔が貼り付いていますよ。それに、その血」
顔が笑っていたことに気づきすぐに戻す、そして浴衣には返り血がたっぷりとついていた。
「せっかくの浴衣でしたのに、また変えませんと。それはそうとそっちは生捕りできましたのね」
「優秀だから」
「あら、頭がないですわね」
涼香は火憐を無視して会話を続ける。
「あぁ、ここ」
すると火憐が持っていた鎖の玉を掲げる。
「んー!んんー!んん!ーんー!」
「なんか言ってますわよ」
「うるさいから顔ごとぐるぐるに巻いてやった」
「なるほど。で何か聞き出せましたの?」
「あぁ、無理だった」
「はぁ、仕方ありませんわね」
「あれ使うよ」
「どうぞ、ちゃんと押さえてあげますから」
「あんがと」
ニ
「調べがつきました」
ツグハは志貴に学園長室でこれまで得た情報を報告していた。
「一ヶ月程前、涼香様達が得た情報によると敵首謀者、数共に不明ですが、目的が判明しました。それが西と東の都市でクーデターを起こすとの事らしいです」
「かなり、規模のでかい話だね。そうなると敵が根城にしている場所を暴かないとだね」
「既に割れています」
「流石、咲夜だな」
「はい。咲夜さんはよく働いてくれました。報酬は弾めとのことです」
「今回は仕方ないね」
「冗談はさておき。本拠地は東のヘルフェブルは廃ビル群、西のカンナギの京は北栄、南京、カンナギの館です」
「やはり東はあの廃ビルか、こんな事なら市長の言う事聞いとくんだったな、で何故西は三箇所も?それに南京ってたしか繁華街だろ、なんでまた」
「西に関しては情報が錯乱しております」
「どう言う事だ」
「はい。今カンナギでは吸血鬼騒動があるそうです」
「また吸血鬼か」
「それに加えて、妙な噂があるんです」
「噂?」
「なんでも吸血鬼を崇拝する団体も影で暗躍しているとかで都でクーデターを起こそうとしているとか」
「吸血鬼を崇拝ね。愚かだな、でそれで何で南京なんだ?」
「はい、南京には吸血鬼を崇拝する団体、六花の集いの本拠地があります」
「六花だと、偶然か?」
「分かりませんが。調べる価値はあるかと、それとクーデターを起こそうとしていると言いましたが、実際にその決行日を入手しました」
「いつなんだ?」
「七日後です」
「七日か、すぐに準備だな。糸音達を呼んでくれないか」
「本当に行かせていいんですか?」
「それはこっちのセリフだよツグハ」
「彼女達が決めた事ならそれを尊重すべきだと」
「すまないな。彼女達は強い、その強さを信じて託そうじゃないか」
「・・・・・」
ツグハは静かに学園長室を去った。
三
窓の外の雲ひとつない空を見上げていた。
「着いたーーーー!!ただいま故郷!!」
メイは元気良くカンナギへようこそという文字の書いてある門の前で叫んでいた。
「バカ!」
「いて!」
メイは遊にどつかれた。
「極力隠密と言っただろうが!」
「だって久しぶりやねんから、ちょっとくらいええやんか!
「流石メイ、期待を裏切らないな」
たわいないやり取りに思わず笑う糸音。糸音達は志貴から頼まれてカンナギの京へやって来た。
「糸音!笑ってないでメイを見張っといてくれ」
この三ヶ月で、遊を含め夕ヶ丘学園のメンバーは仲を深めていた。
「なーにやってんだ」
門の影から火憐が顔を覗かせる。
「火憐姉さん、久しぶり」
「久しぶり糸音。元気にしてたか?」
「元気だよ、姉さんはどう?」
「元気元気!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「何、緊張してるんだ?お前達」
何を話たらいいのか、互いにソワソワしていると遊が話しかける。
「積もる話があるなら、先ずは拠点にだな」
「あ、あぁそうだな!涼香姉さんも待っていることだ、案内するよ」
「涼香は何をしているんだ?」
「姉さんは今情報収集しているところ」
「じゃ、急ぐか」
四人は涼香の待つ、拠点の宿へと向かう。
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