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第二章 妙縁邂逅
第20話 療養
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「わかっていたんですか志貴様は」
学園長室でツグハは志貴に詰め寄っていた。
「いや、わかっていたと言うより。教えてもらったかな」
「はぁ、もしかして咲夜さんですか」
「あぁ、あいつの能力で教えてもらったんだあの時起こりえる事をな」
「だから、あんなに落ち着いていたんですね。それなら私にも教えておいてください。驚きました」
「ごめんごめん、でも教えちゃうと変わるかもしれないしさ」
「まぁそれはたしかに、であの者はなんだったんですか?知っているんでしょ」
「奴は、朝霜翔也。現当主朝霜蘇匁亜の弟だった男だ。奴は憑依術の死者憑依の研究をし幾度となく人体実験を繰り返した挙げ句、追放された、ただのバカだよ」
「人体実験って何をやったんです?その能力だと本人しか使えないでしょ」
「そうさ、だから奴は一般人に自身の武具を身につけさせて実験していたんだ」
「どういうことですか?」
「奴のその能力は武具の主による物だ。奴の武具は布だ」
「布ですか?」
「普通の布なら被せていても息はできる、だが奴の布は糸の間に隙間がなく完全に空気を通さない。その武具で窒息させる、殺人布だった。地味だろ?」
「たしかに地味ですね。ですがそれと死者憑依と何の関係が?」
「奴の憑依術の条件は布を被ることだ。そして人体実験をしていたのは翔也ではなく武具の主だ。奴は最初に翔也を殺して体を乗っ取り、実験と証して殺人を繰り返ししていた、それに気づいた蘇匁亜が武具を封印した」
「封印されていて、ここにいるということは」
「あぁ、誰かが封印を解いたのだろう。この件は朝霜の方にも報告しておいた。それにしても最近色んなところで不穏な動きが目立つな」
「たしかに。南のオーラルの方でも、あるカジノがここ最近儲かりだし、行方不明事件が多発しているし噂では夜月と繋がっているとか」
「夜月か、用心しないと。奴らの名前が出てくると碌なことにならんからな」
「しかし、今回の一件どう思いますか?」
「今回は咲夜の異能が間に合ったからよかったが、今後気をつけないといけないな。学園の周りもなんとかしないとな」
ドン!
「のった!」
「は?」
「何がのったんだ?メイ」
メイが突然入ってきて、意味不明な事を言う。
「だ・か・ら!学園の警備任せてーな!先生」
「騒がしいやつだ、全く」
ニ
糸音は自身が過ごしたであろう病室に一人座っていた。
「どうしたんだい?」
いつの間にかエオーレが病室の扉にもたれかかっていた。
「いえ、お世話になった、病室で黄昏ているだけです」
「ふふ、君は強いね。だけど忘れてはいけないよ。一人では生きていけないタイプの人間だからね君は」
「どういうことですか?」
「療養っていうのはね人を変えるんだよ。今まで一人で生きた人間でも、いざ病気になると一人ではままなら無くなる。そう言う人達はね、退院した後変わるんだよ。病気っていうのはいい薬にもなるんだ」
「たしかに、私は一人だった気がします。記憶が無いからなのかはわからないですけどポッカリと空いた穴は何なのか」
「それを埋めるのもまた人だよ」
「そうですね。エオールさんありがとうございました」
「私は何もしていない、ただ一言、側にと言っただけだよ。でも、また何かあれば来なさい治してあげるから」
「では」
糸音はこれから屋敷へ向かい、明日から始まる学園生活を胸に桜が咲く病院前をしっかりと自分の足で歩み始めた。
学園長室でツグハは志貴に詰め寄っていた。
「いや、わかっていたと言うより。教えてもらったかな」
「はぁ、もしかして咲夜さんですか」
「あぁ、あいつの能力で教えてもらったんだあの時起こりえる事をな」
「だから、あんなに落ち着いていたんですね。それなら私にも教えておいてください。驚きました」
「ごめんごめん、でも教えちゃうと変わるかもしれないしさ」
「まぁそれはたしかに、であの者はなんだったんですか?知っているんでしょ」
「奴は、朝霜翔也。現当主朝霜蘇匁亜の弟だった男だ。奴は憑依術の死者憑依の研究をし幾度となく人体実験を繰り返した挙げ句、追放された、ただのバカだよ」
「人体実験って何をやったんです?その能力だと本人しか使えないでしょ」
「そうさ、だから奴は一般人に自身の武具を身につけさせて実験していたんだ」
「どういうことですか?」
「奴のその能力は武具の主による物だ。奴の武具は布だ」
「布ですか?」
「普通の布なら被せていても息はできる、だが奴の布は糸の間に隙間がなく完全に空気を通さない。その武具で窒息させる、殺人布だった。地味だろ?」
「たしかに地味ですね。ですがそれと死者憑依と何の関係が?」
「奴の憑依術の条件は布を被ることだ。そして人体実験をしていたのは翔也ではなく武具の主だ。奴は最初に翔也を殺して体を乗っ取り、実験と証して殺人を繰り返ししていた、それに気づいた蘇匁亜が武具を封印した」
「封印されていて、ここにいるということは」
「あぁ、誰かが封印を解いたのだろう。この件は朝霜の方にも報告しておいた。それにしても最近色んなところで不穏な動きが目立つな」
「たしかに。南のオーラルの方でも、あるカジノがここ最近儲かりだし、行方不明事件が多発しているし噂では夜月と繋がっているとか」
「夜月か、用心しないと。奴らの名前が出てくると碌なことにならんからな」
「しかし、今回の一件どう思いますか?」
「今回は咲夜の異能が間に合ったからよかったが、今後気をつけないといけないな。学園の周りもなんとかしないとな」
ドン!
「のった!」
「は?」
「何がのったんだ?メイ」
メイが突然入ってきて、意味不明な事を言う。
「だ・か・ら!学園の警備任せてーな!先生」
「騒がしいやつだ、全く」
ニ
糸音は自身が過ごしたであろう病室に一人座っていた。
「どうしたんだい?」
いつの間にかエオーレが病室の扉にもたれかかっていた。
「いえ、お世話になった、病室で黄昏ているだけです」
「ふふ、君は強いね。だけど忘れてはいけないよ。一人では生きていけないタイプの人間だからね君は」
「どういうことですか?」
「療養っていうのはね人を変えるんだよ。今まで一人で生きた人間でも、いざ病気になると一人ではままなら無くなる。そう言う人達はね、退院した後変わるんだよ。病気っていうのはいい薬にもなるんだ」
「たしかに、私は一人だった気がします。記憶が無いからなのかはわからないですけどポッカリと空いた穴は何なのか」
「それを埋めるのもまた人だよ」
「そうですね。エオールさんありがとうございました」
「私は何もしていない、ただ一言、側にと言っただけだよ。でも、また何かあれば来なさい治してあげるから」
「では」
糸音はこれから屋敷へ向かい、明日から始まる学園生活を胸に桜が咲く病院前をしっかりと自分の足で歩み始めた。
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