11 / 199
第一章 報仇雪恨(見)
第10話 油断
しおりを挟む
一
「先ほどから避けてばかりですよ」
糸音は針の弾丸に当てられていた。
「そうでも無いさ」
糸音にとってはこれ程の相手との戦闘は久方ぶりだった。最初は慣れずに避けるので手一杯だったが今は
「!?」
フィは避けながら迫りくる糸音に動揺した。そして鳩尾目掛けて迫る糸音の拳をギリギリのところで受け止める、が糸音はすかさず片手で拳打の雨を打ち、トドメと言わんはがりの蹴りでフィを吹っ飛ばした!
「ッッ!油断してしまいました。」
「さっきのお返し」
「なるほど。なら私もさっきのお返しです」
糸音は足に痛みを感じ、見てみると針が刺さっていた。
「一つ聞かせてください。何故それ程の実力を持っていて弱者を救わないのです?」
「弱者とは何のことかわからないが、困ってる人や助けを求める人を救うことはしていくつもりだが」
「そうですか。なら好都合、どうです?我々の仲間になりませんか?」
「ごめんだね。この先のことはわからないし、自分が何をしたいのかもわからない、だけど少なくとも今は自分の居場所を守るため、友人と呼んでくれた友のためそして保護してくれた兄さんに恩を返すため、学園を守ることを選ぶよ。だからお前たち悪者になる気はないよ」
「そうですか、残念です。我々は悪者ではありませんよ。これは偽りの正義を振りかざす夕凪家への粛清です」
「偽りの正義?」
(たしか、仮面の女もそんな事を言っていたか)
フィは唐突に針を懐にしまいだした。
糸音は相手の戦意が無くなったことを感じ
「何をしている?まだ終わってないぞ」
「いいえ、終わりです」
「なん、だ、!」
糸音は急な脱力感に襲われその場に倒れる。
「君の敗因は私が針を使う拳法家であると勘違いしたことだ、私の本当の武器は毒ですよ。知っているかもしれませんが街で会ったであろう未凪の者には毒を持たせましたが、これはそれより数倍上の効果がある毒です。喰らって数秒で即死のはずですがかなりもってる方ですね、やはりすごい」
街で遭遇した奴とグルなら、こいつもただの拳法家や殺し屋ではないことを考えるべきだった。それに針と毒は表裏一体であることも知っていたはずなのに自分の強さに過信していた。
「お・・わりか」
「最後にチャンスをあげましょう。我々と共に来るのなら救いましょう」
「ごめんだ・・ね」
糸音は目を閉じた。
「残念です。貴女の様な信念を強く持った人は好きでしたよ、さようなら」
ニ
「ようやく着いたな」
槍士はやっとのことで真宵の幽閉されている扉の前にやってきた。
「それにしてもやっぱアレを使うと気力ってか、なんか持っていかれるんだよな、もっと力つけねぇとな」
そう言って扉を開けると
誰も居なかった。
「間違えたか、いやしかしこの部屋は」
部屋には誰もいなかったが椅子と縄が転がっていた、たしかに誰かがいた気配はある。そしておそらく窓があった場所であろう所には扉と同じくらいの大きさの穴が空いていた。槍士がそこから下を覗くと
「なるほど」
この大穴の原因がわかった槍士はため息をつき
「こりゃあ大変だが、まぁ真宵なら安心だな」
下には見知らぬ死体が落ちていた。
三
「おーい、どこかな譲葉ちゃん」
女は本棚周辺に隠れたであろう譲葉を探して、かれこれ一時間はたっていた。
「そろそろかな、さてと」
ドーン!
ドーン!ドーン!
女は鼻歌を歌いながら本棚をドミノ倒しの容量で倒していく。そして全部倒した後、本の中から譲葉が這い出てくる。
「ゴホ!ゴホ!」
「あらー、ごめんね譲葉ちゃん。埃っぽいもんねここ、安心して殺さないから。ちょーと連れて行くだけだから」
譲葉に近づく女はスンデのところで横から飛んできた弾丸を避ける。そして暗闇の中に人影が現れて、女に襲いかかる。
「あらあら、あ・ぶ・ない・よっと!」
軽快に避ける女、そして動きが止まり月の光に当てられ、ようやくその姿が現れる。
「兄さん!」
「すまないユズ。もう大丈夫だ!」
「あれ?真宵君じゃん、あれ?あれ?捕まってなかったけ?」
「その、俺を捕まえた奴は殺しておいた。後はお前を殺す。その前に聞かせろ誰の差し金だ?」
「そりゃあ言えないでしょ。企業秘密だよっと」
「ふん、まぁ聞かなくても察しはつくがな。俺たちは帰らないぞ」
「そうは言っても依頼は依頼だしね」
「なら、殺すまでだ!」
真宵はすかさず女との間合いを詰める。持っていた銃と拳打の連続技が女に炸裂するが女はこれを軽々受ける。
「いい動きだね。でも」
「ッッ!!」
真宵は一瞬の隙をつかれて膝をつく。
「兄さん!!」
「大、丈夫だ」
「さっすがお兄ちゃん、カッコいいね!」
「まだまだこれからだぜ、女!」
「いいね!」
暗闇の中で飛び散る硝煙と拳打のぶつかる音は続く。
「どうせ、時間稼ぎなんだから、目一杯楽しもう!」
女は笑いながら踊る。
「先ほどから避けてばかりですよ」
糸音は針の弾丸に当てられていた。
「そうでも無いさ」
糸音にとってはこれ程の相手との戦闘は久方ぶりだった。最初は慣れずに避けるので手一杯だったが今は
「!?」
フィは避けながら迫りくる糸音に動揺した。そして鳩尾目掛けて迫る糸音の拳をギリギリのところで受け止める、が糸音はすかさず片手で拳打の雨を打ち、トドメと言わんはがりの蹴りでフィを吹っ飛ばした!
「ッッ!油断してしまいました。」
「さっきのお返し」
「なるほど。なら私もさっきのお返しです」
糸音は足に痛みを感じ、見てみると針が刺さっていた。
「一つ聞かせてください。何故それ程の実力を持っていて弱者を救わないのです?」
「弱者とは何のことかわからないが、困ってる人や助けを求める人を救うことはしていくつもりだが」
「そうですか。なら好都合、どうです?我々の仲間になりませんか?」
「ごめんだね。この先のことはわからないし、自分が何をしたいのかもわからない、だけど少なくとも今は自分の居場所を守るため、友人と呼んでくれた友のためそして保護してくれた兄さんに恩を返すため、学園を守ることを選ぶよ。だからお前たち悪者になる気はないよ」
「そうですか、残念です。我々は悪者ではありませんよ。これは偽りの正義を振りかざす夕凪家への粛清です」
「偽りの正義?」
(たしか、仮面の女もそんな事を言っていたか)
フィは唐突に針を懐にしまいだした。
糸音は相手の戦意が無くなったことを感じ
「何をしている?まだ終わってないぞ」
「いいえ、終わりです」
「なん、だ、!」
糸音は急な脱力感に襲われその場に倒れる。
「君の敗因は私が針を使う拳法家であると勘違いしたことだ、私の本当の武器は毒ですよ。知っているかもしれませんが街で会ったであろう未凪の者には毒を持たせましたが、これはそれより数倍上の効果がある毒です。喰らって数秒で即死のはずですがかなりもってる方ですね、やはりすごい」
街で遭遇した奴とグルなら、こいつもただの拳法家や殺し屋ではないことを考えるべきだった。それに針と毒は表裏一体であることも知っていたはずなのに自分の強さに過信していた。
「お・・わりか」
「最後にチャンスをあげましょう。我々と共に来るのなら救いましょう」
「ごめんだ・・ね」
糸音は目を閉じた。
「残念です。貴女の様な信念を強く持った人は好きでしたよ、さようなら」
ニ
「ようやく着いたな」
槍士はやっとのことで真宵の幽閉されている扉の前にやってきた。
「それにしてもやっぱアレを使うと気力ってか、なんか持っていかれるんだよな、もっと力つけねぇとな」
そう言って扉を開けると
誰も居なかった。
「間違えたか、いやしかしこの部屋は」
部屋には誰もいなかったが椅子と縄が転がっていた、たしかに誰かがいた気配はある。そしておそらく窓があった場所であろう所には扉と同じくらいの大きさの穴が空いていた。槍士がそこから下を覗くと
「なるほど」
この大穴の原因がわかった槍士はため息をつき
「こりゃあ大変だが、まぁ真宵なら安心だな」
下には見知らぬ死体が落ちていた。
三
「おーい、どこかな譲葉ちゃん」
女は本棚周辺に隠れたであろう譲葉を探して、かれこれ一時間はたっていた。
「そろそろかな、さてと」
ドーン!
ドーン!ドーン!
女は鼻歌を歌いながら本棚をドミノ倒しの容量で倒していく。そして全部倒した後、本の中から譲葉が這い出てくる。
「ゴホ!ゴホ!」
「あらー、ごめんね譲葉ちゃん。埃っぽいもんねここ、安心して殺さないから。ちょーと連れて行くだけだから」
譲葉に近づく女はスンデのところで横から飛んできた弾丸を避ける。そして暗闇の中に人影が現れて、女に襲いかかる。
「あらあら、あ・ぶ・ない・よっと!」
軽快に避ける女、そして動きが止まり月の光に当てられ、ようやくその姿が現れる。
「兄さん!」
「すまないユズ。もう大丈夫だ!」
「あれ?真宵君じゃん、あれ?あれ?捕まってなかったけ?」
「その、俺を捕まえた奴は殺しておいた。後はお前を殺す。その前に聞かせろ誰の差し金だ?」
「そりゃあ言えないでしょ。企業秘密だよっと」
「ふん、まぁ聞かなくても察しはつくがな。俺たちは帰らないぞ」
「そうは言っても依頼は依頼だしね」
「なら、殺すまでだ!」
真宵はすかさず女との間合いを詰める。持っていた銃と拳打の連続技が女に炸裂するが女はこれを軽々受ける。
「いい動きだね。でも」
「ッッ!!」
真宵は一瞬の隙をつかれて膝をつく。
「兄さん!!」
「大、丈夫だ」
「さっすがお兄ちゃん、カッコいいね!」
「まだまだこれからだぜ、女!」
「いいね!」
暗闇の中で飛び散る硝煙と拳打のぶつかる音は続く。
「どうせ、時間稼ぎなんだから、目一杯楽しもう!」
女は笑いながら踊る。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
「人生の折り返しに乾杯」 ~アラフィフ男女の理想的な関係~
慎 和希
ライト文芸
営業部長の和希(かずき)が大阪へ単身赴任。そこにはお酒好きの澪(みお)とコミュニケーション力抜群でいつも笑顔を絶やさない由唯(ゆい)の2人の部下の業務課長がいた。3人はやがてお酒を通じて同僚から親友へと絆が強まり各々の「恋愛」「仕事の悩み」「家庭の問題」「夢」を共に歩んでいく。
人生100年時代と言われるようになった。50歳は、まだまだ人生の折り返し地点なのに、会社では人生の第4コーナーを走っているような気分にさせられる。《人生の満足度》の1回目のピークは23歳。2回目のピークは69歳という研究データがある。この物語は、『アラフィフ』の同僚の男女3人が《人生満足度》2回目のピークに向かって現実を生きるリアリティー溢れる物語です。
イベントへ行こう!
呑兵衛和尚
ライト文芸
小さい頃に夢見ていた、ヒーローショーの司会のお姉さん。
その姿に憧れて、いつか自分もイベントのMCになろうと思った女性は、いつしか大学生となり、MCになるべくアルバイトを始める。
【ぬいぐるみアトラクター、イベント設営業務】と書かれたバイト先に応募して、ようやく一歩を踏み出したと思ったのに、なぜか作業は設営業務?
あれ?
MCはどこに?
私の夢はイベントのMCであって、設営のプロじゃないのですけど?
そんな勘違いから始まった、イベントの裏方を頑張る御子柴優香の、はちゃめちゃなストーリーです。
●定期更新予定日:月、木曜日
家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!
雪那 由多
ライト文芸
恋人に振られて独立を決心!
尊敬する先輩から紹介された家は庭付き駐車場付きで家賃一万円!
庭は畑仕事もできるくらいに広くみかんや柿、林檎のなる果実園もある。
さらに言えばリフォームしたての古民家は新築同然のピッカピカ!
そんな至れり尽くせりの家の家賃が一万円なわけがない!
古めかしい残置物からの熱い視線、夜な夜なさざめく話し声。
見えてしまう特異体質の瞳で見たこの家の住人達に納得のこのお値段!
見知らぬ土地で友人も居ない新天地の家に置いて行かれた道具から生まれた付喪神達との共同生活が今スタート!
****************************************************************
第6回ほっこり・じんわり大賞で読者賞を頂きました!
沢山の方に読んでいただき、そして投票を頂きまして本当にありがとうございました!
****************************************************************
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる