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第一章 報仇雪恨(見)
第6話 仮面の女
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一
朝起きた糸音は一階のリビングにて珍しい光景を目の当たりにする。いつも一人なのだが今日は兄さんがいた。あまり家にいる事がない兄さんだが今日はどうやら休みのようだ。
「おはよう糸音」
「おはよう兄さん。今日は休みなのか?」
「休みではないが、午前は珍しく予定がないからね。それにこうして二人で食事するのもたまにはいいものかなってね。」
「ところで今日はツグハが見えないけど。」
「ツグハにはおつかい使いを頼んであってね。二、三日は戻らないと思うよ」
「そう」
ツグハは夕凪家専属のメイドで何でもこなしてしまう有能なメイド。たまに兄の仕事を手伝っているらしい。
「そうだ、もう街へ出かけても問題ないよ。事件解決の報告を、今朝受けてね。真宵って子がうちの生徒にいるんだが訳あって僕の仕事を少し手伝ってもらっているんだ。そのうち会えると思うよ。明日あたりには学園にいるんじゃないかな」
「気が向いたら会ってみるよ」
私は朝食を済ませて部屋を後にした。
さて今日はどうしようか。街に行ってみるのも悪くないが、学園の探索の続きをするのもいいな。
そう思い糸音が門を開けて外に出ると
「お出かけですかい?お嬢さん」
「槍士か。何の用だ?」
「何の用って、そりゃあ糸音ちゃんをお誘いしようと思ってね。街へどうですかい、お嬢さん?」
糸音は少しだけ考えて
「いいよ」
ヘルフェブルは正直初めて来たのであったが、ここ数年で大都会となって、若者向けの店が建ち並ぶ地区と高層ビルが建ち並ぶオフィス地区と別れている。近年この街の問題の一つとなっているのが廃ビル問題である、と言うのも古いビルはそのまま残された地区があるのだがそこは街のギャングやら逸れ者たちが集まる場となっている。
それが街の犯罪計数を上げている原因だそうなのだが、対策をしようとこの街のお偉いさんは躍起になったそうだが何度も暴動が起こっているそうだが一向に解決しないらしい。
兄さんにも依頼がきたらしいが若気の至りだと言って相手にしなかったらしい。割と薄情な兄である。
「糸音ちゃんはさぁ、先生の妹だろ。なら殺し屋ってことなのか?」
「いいや、今は殺し屋じゃないよ」
「今は、ってことは昔は殺し屋って事かい?」
「わからないが、多分そうだ。すまないが私にはここに来る前の記憶が曖昧なんだ」
「そうなのか、そいつは悪い事聞いちまったな。すまねぇ」
「いいよ別に」
実際、人を殺した記憶が無いが殺した事がある自覚がある。
「気を取り直してゲーセンでもいくか」
「あぁ」
二
迷ってしまった、というか槍士と逸れてしまった。ゲーセンというところで色々見ていたら興味深い物があったんでそれを見ていたら槍士がいなくなっていた。
もう夜だしそのまま帰宅してもよかったんだけど、今日は槍士に誘われた手前、流石にほって帰るわけにもいかず探すことにした。
やはり連絡手段が無ければ困るな、今度兄さんかツグハに聞いて携帯とやらを買おう。
そうこうして歩いているとガラの悪いチンピラ二人にからまれてしまった。
「お嬢ちゃん、一人かい?ちょっと俺らと遊んでいかないか?」
「キョロキョロしてたから人探しかな?」
「・・お前らには興味ないし忙しいからどけ」
「えらく強気なお嬢ちゃんじゃないか」
そういうと男は糸音の手を掴み取る。
糸音は男の手を振り解こうとすると。
「よく無いな。可愛い女の子を乱暴にして」
振り向くとそこには謎の仮面を被った人物がいた。
「なんだてめぇは!ふざけた格好しやがって!」
「別にふざけてはいないよ!大真面目さ!」
「舐めんなー!」
すると私を掴んでた男は仮面の人に走り出し殴りかかる。
「馬鹿者め!」
仮面の人は男の攻撃を軽くいなして蹴り飛ばす。
「ッッ!なんて蹴り、、だ」
男はそのまま気絶してしまった。そしてもう一人が男を連れて立ち去る。
人が集まりだしたので糸音達もその場を去り、人の少ない路地裏に入る。
「全く情けない男共だ。大丈夫かお嬢さん」
「あぁ、ありがとうございます」
「なーに礼には及ばないよ。私は糸見だ」
「私は糸音です。」
「糸音か。君は正義とは何かわかるか」
唐突にそんなことを聞かれた糸音は
「正義ですか。そうですね人助けですかね」
「いい答えだ。それもそうだが、もっと言えば平和を守り平穏を取り戻すこと、偽りの正義を振り翳すものには制裁をって、私は思うのだよ」
偽りの正義その言葉に私は何故か引っ掛かりを覚えた。
「偽りの正義ですか」
「そう。君は多分強いんだろうけど弱いね。そんな人と昔一緒にいたころもあった。君はとても似ているよ、その人に。」
「はぁ、そうですか。何はともあれ助けてくださりありがとうございました。」
「当たり前のことをしたまでさ!それでは私は先を急ぐのでこれにて!」
そう言うと糸見は雑踏の中に消えて行った。
不思議な人だ、だけどあの人の名前どこかで聞き覚えがあったような。
「気のせいか。とりあえず今は槍士を探して帰ろう」
再び槍士探しを再開した。
朝起きた糸音は一階のリビングにて珍しい光景を目の当たりにする。いつも一人なのだが今日は兄さんがいた。あまり家にいる事がない兄さんだが今日はどうやら休みのようだ。
「おはよう糸音」
「おはよう兄さん。今日は休みなのか?」
「休みではないが、午前は珍しく予定がないからね。それにこうして二人で食事するのもたまにはいいものかなってね。」
「ところで今日はツグハが見えないけど。」
「ツグハにはおつかい使いを頼んであってね。二、三日は戻らないと思うよ」
「そう」
ツグハは夕凪家専属のメイドで何でもこなしてしまう有能なメイド。たまに兄の仕事を手伝っているらしい。
「そうだ、もう街へ出かけても問題ないよ。事件解決の報告を、今朝受けてね。真宵って子がうちの生徒にいるんだが訳あって僕の仕事を少し手伝ってもらっているんだ。そのうち会えると思うよ。明日あたりには学園にいるんじゃないかな」
「気が向いたら会ってみるよ」
私は朝食を済ませて部屋を後にした。
さて今日はどうしようか。街に行ってみるのも悪くないが、学園の探索の続きをするのもいいな。
そう思い糸音が門を開けて外に出ると
「お出かけですかい?お嬢さん」
「槍士か。何の用だ?」
「何の用って、そりゃあ糸音ちゃんをお誘いしようと思ってね。街へどうですかい、お嬢さん?」
糸音は少しだけ考えて
「いいよ」
ヘルフェブルは正直初めて来たのであったが、ここ数年で大都会となって、若者向けの店が建ち並ぶ地区と高層ビルが建ち並ぶオフィス地区と別れている。近年この街の問題の一つとなっているのが廃ビル問題である、と言うのも古いビルはそのまま残された地区があるのだがそこは街のギャングやら逸れ者たちが集まる場となっている。
それが街の犯罪計数を上げている原因だそうなのだが、対策をしようとこの街のお偉いさんは躍起になったそうだが何度も暴動が起こっているそうだが一向に解決しないらしい。
兄さんにも依頼がきたらしいが若気の至りだと言って相手にしなかったらしい。割と薄情な兄である。
「糸音ちゃんはさぁ、先生の妹だろ。なら殺し屋ってことなのか?」
「いいや、今は殺し屋じゃないよ」
「今は、ってことは昔は殺し屋って事かい?」
「わからないが、多分そうだ。すまないが私にはここに来る前の記憶が曖昧なんだ」
「そうなのか、そいつは悪い事聞いちまったな。すまねぇ」
「いいよ別に」
実際、人を殺した記憶が無いが殺した事がある自覚がある。
「気を取り直してゲーセンでもいくか」
「あぁ」
二
迷ってしまった、というか槍士と逸れてしまった。ゲーセンというところで色々見ていたら興味深い物があったんでそれを見ていたら槍士がいなくなっていた。
もう夜だしそのまま帰宅してもよかったんだけど、今日は槍士に誘われた手前、流石にほって帰るわけにもいかず探すことにした。
やはり連絡手段が無ければ困るな、今度兄さんかツグハに聞いて携帯とやらを買おう。
そうこうして歩いているとガラの悪いチンピラ二人にからまれてしまった。
「お嬢ちゃん、一人かい?ちょっと俺らと遊んでいかないか?」
「キョロキョロしてたから人探しかな?」
「・・お前らには興味ないし忙しいからどけ」
「えらく強気なお嬢ちゃんじゃないか」
そういうと男は糸音の手を掴み取る。
糸音は男の手を振り解こうとすると。
「よく無いな。可愛い女の子を乱暴にして」
振り向くとそこには謎の仮面を被った人物がいた。
「なんだてめぇは!ふざけた格好しやがって!」
「別にふざけてはいないよ!大真面目さ!」
「舐めんなー!」
すると私を掴んでた男は仮面の人に走り出し殴りかかる。
「馬鹿者め!」
仮面の人は男の攻撃を軽くいなして蹴り飛ばす。
「ッッ!なんて蹴り、、だ」
男はそのまま気絶してしまった。そしてもう一人が男を連れて立ち去る。
人が集まりだしたので糸音達もその場を去り、人の少ない路地裏に入る。
「全く情けない男共だ。大丈夫かお嬢さん」
「あぁ、ありがとうございます」
「なーに礼には及ばないよ。私は糸見だ」
「私は糸音です。」
「糸音か。君は正義とは何かわかるか」
唐突にそんなことを聞かれた糸音は
「正義ですか。そうですね人助けですかね」
「いい答えだ。それもそうだが、もっと言えば平和を守り平穏を取り戻すこと、偽りの正義を振り翳すものには制裁をって、私は思うのだよ」
偽りの正義その言葉に私は何故か引っ掛かりを覚えた。
「偽りの正義ですか」
「そう。君は多分強いんだろうけど弱いね。そんな人と昔一緒にいたころもあった。君はとても似ているよ、その人に。」
「はぁ、そうですか。何はともあれ助けてくださりありがとうございました。」
「当たり前のことをしたまでさ!それでは私は先を急ぐのでこれにて!」
そう言うと糸見は雑踏の中に消えて行った。
不思議な人だ、だけどあの人の名前どこかで聞き覚えがあったような。
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再び槍士探しを再開した。
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