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第10章 生贄皇子救出大作戦、始動

次期龍神は成長する

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 龍の姿は嫌い。

 人間の時のように魔力を抑えることが出来ないからだ。いつも自我を失ったり、魔力が暴走したり……………ぶっちゃけ人間の時の方が魔法を上手く扱える。



 そう思ってたんだけど_____どうやら、今はそうじゃないらしい。


 心は怒りに染っているはずなのに、魔力もコントロールできるし意識もはっきりしている。


 私、成長している…………………………?




 …………………_____アルティアは"龍神"の子供だ。
 異世界転生の元人間とはいえ"血を受け継いでいる"。その血はあまりに強大な力で、なんの加護の持たない魂はそれを受け止められなかったのだ。



 だが。




 アルティアは、妖精神、神、精霊を屈服させてきた。"屈服印"は神々の命と魔力を削って作った"加護"なのだ。


 その加護があるが故に、強大だった力を"小分けに分散させて受け入れる"ことができるようになっていたのだ。



 そのため、"龍神"としての力を自在に操れるようになっている。




 最も、その理屈を知らないアルティアは"成長"という言葉で片付けてしまっているのだが。



 ……………まあ、もう19歳だし、これくらいできるようになって当たり前か。




 にしても_____…………




『はぁっ、はあっ、……………』




 前を見ると、息を切らしているオカマドラゴン。頑張って攻撃しているけど私はノーダメージだ。


『自分もドラゴンだ』なんていうから、私も龍になってみたけど…………………どうやら、力はドラゴンではなくトカゲらしい。大きいと思っていた身体も、私と比べたらだいぶ小さいし、本当にトカゲを相手にしているようだ。




 せっかく龍の姿を操れるようになったのだから実験を色々してみようと思ったけど_____そんな気すら起きないくらい、弱い。



 殺してやることもできるけど、それじゃあ芸がない気がする。ラフェエルを攫ったんだ、簡単には殺さない。じわじわ苦しめてやらないと。



 あと、空の妖精神にも借りがある訳だからお返しも考えないと。ものすごく苦しくさせながらも有効にこの機会を使いたい。ファーマメント王国に着いたからといって空の妖精神が素直に出てくるとは限らないからね。


 苦しめつつ、なおかつ空の妖精神が出て来ざる得ない状況を作り出す……………………あ。




 アルティアはそこで"ある事"を閃く。
 物凄い悪役感があるけど___まあ、手段を選んではいられないね。



 そうと決まれば、行動あり。




 「ガロ、リーブ、ちょっと浮遊魔法使ってくれる?」



 「は、ガロ」

 「………………………うん、フライ」



 ガロとリーブは浮遊魔法を使った。身体に青い光を纏い、飛んでいる。

 2人がヴァルを降りて浮いているのを確認してから、アルティアは動き出した。



『なっ____!』


 ピンク色のドラゴンに黒い龍が巻き付く。自分よりもザラザラとしていて、大きな龍は自分の身体を締め付けた。



『ぐぁぁっ…………!』



 苦しい。


 鱗が刺さっている。


 ピンク色のドラゴンはか細い声で言う。




『し、絞め殺す気………………!?』



 「そんなつまらないことはしないわ。アンタが死ぬのはどうでもいいけど、アンタのご主人に用があるからね。でも、安心して。


 _____ちゃんと、苦しい思いを味わわせてあげるから」



 龍はそう言って黒い魔法陣を展開させた。









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