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第8章 氷の精霊、星の妖精神と次期龍神
亜人達は歓迎する
しおりを挟む「きゃ_____「静かにしろ」むぐっ!」
アルティアが騒ぐ前に、ラフェエルは口を塞いだ。
ガロが開けた結界の穴から中に入った。
不思議なことに雪が降っている。全ての建物が白い。だが、驚くのはそこじゃない。
耳が尖ったエルフ、身体が様々な動物の部位をつけた亜人、空中で馬車を引く翼の生えた馬ユニコーン………………………………文献には残ってるものの、絶滅したと言われていた希少種に溢れていた。
こんなもの、アルティアでなくとも騒ぎたくなる。実際フランはクリスティドに口を抑えられていた。
人間も歩いているが、数は圧倒的に少ない。こんな中で異邦人の私達が騒いでみろ、混乱は必至だ。
「あの、ラフェエル殿下、アイスバーンという国はどんなお国なのですか?こんなに亜人がいるのは…………………」
「ああ。それには私も驚いている。プリズンでも"希少種の宝庫"だと聞いていたが…………ここまでだとは思わなかった」
本音だ。こんな場所が世界中に知られたら、アイスバーンを攻めてしまうだろう。それだけ価値が大きい国だ。
「だが、これからどうする?情報を得るために話など聞いたらきっと怪しまれるぞ」
「そうだな。………………ガロ、お前はなにか知らないのか?」
「ガロ、知らない。ここ、初めて来た」
そう言うガロは目をキラキラさせながら街を見ている。耳と尻尾が出しっぱなしである。本来、怒るべきなのだろうがこの国では寧ろ獣で居た方が____「"人狼様"…………………!?」 …………!
不意に、声がした。見ると、道を歩いていたエルフが買い物籠を落として口元を抑えている。"人狼様"という言葉に全員がこちらを見た。
「その耳、尻尾、そして御髪の色_____人狼様だ!」
「??」
「見て、あの赤と金色の瞳!あれはシヴァ様の祖先の証!」
亜人と人間が物凄い勢いでガロに近づく。ガロは耳と尻尾を立てて、すぐ様アルティアの後ろに隠れた。
「ああっ、人狼様がお隠れになってしまいましたわ!」
「人狼様がお隠れになるなんて、一体誰が_____ッ!?そのお姿………龍神様!?」
「龍神様がいらっしゃってるぞ!」
「あああぁ、お待ちしておりましたぁぁぁぁ!」
「え?え?え?」
亜人達は全員アルティアの前にひれ伏した。アルティアは呆然とする。
なにこれ?フラッシュモブ?亜人で!フラッシュモブ!なんて贅沢な!というかなんでバレた!?龍神は伝説の存在だって言われてたよね!?こんなに沢山の人に即バレしたの初めてなんだけど!
混乱している私を守るようにラフェエルが前に立つ。人々は更に歓声を上げた。
「"選ばれしサクリファイス第一皇太子"様のお出ましだぞ!」
「ああ………私の生きているうちに出会えるとは…………神よ……………!」
「私たちを知っているのか?何故知っている?」
「この国で貴方がたを知らない人はおりませぬ!私達がこの日をどれだけ待ち侘びていたか……………!」
意味がわからない。
サクリファイス大帝国以外の国々の人間は、龍神を"空想上の生き物"か"神"として捉えている。代替わりや、屈服の旅を知る人間は多くない。なのにこの亜人達は一目で私たちの正体を見抜き、口々に『待っていた』と言うのだから。ましては鎖国国家。異邦人を受け入れないという話が霞んでいく。
どういうことなんだ…………………………?
『民よ、騒ぐでない』
「!」
国全体に、男の声が響いた。
その声を聞いた瞬間、国民は全員黙る。
『よく来た。もてなしたいので城に来て欲しい。
駐屯兵よ、"次期龍神一行"を城に案内しろ』
「「ハッ!」」
街中で唯一兵士の格好をしていた熊と虎の亜人が私達のところに来た。
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