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第4章 太陽の神と土の精霊と次期龍神

土の精霊は回復する

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 そう、それは根性焼きをされたような痛みだった。

 目の前で項垂れるオレンジ髪の刈り上げ_近くで見ると両サイドの髪が赤色だ_、沢山のピアスをつけた大きな福耳、虚ろな金色の瞳に焦げ茶の肌、4本の腕を持つ太陽神・ドゥルグレを見ながら思う。


 不本意ながら屈服の儀を強要した。
 屈服印が欲しいと言うよりはどんな無茶な事でもちゃんと命令を聞くのかを確かめるためだ。



 そして、結果は言わずもがな。この赤の縦線とオレンジの横線がキラキラと輝いている。



 前思った通り、属性によって刻まれる時の疼きは違うようだ。"根性焼き"と思ったのは、この屈服印を与えられた時の痛み。今回は疼きではなく、焼き付いた、という感じ。前世で父親にされた根性焼きの感覚で、凄く不愉快だった。



『許さねえ……………ぜってえ許さねえ………………!』




 ぶつぶつとそんなことを言っているドゥルグレの金色の瞳はほんのり涙が溜まっている。端からみたら完璧に私は悪役である。言っておきますが、先に手を出そうとしたのはこの涙目で睨んでる馬鹿神だからね?



 にしても…………私は改めてドゥルグレを見る。
 異様な見た目だけどなんだかんだでイケメンだな。思えば今日初めて男の妖精神と精霊に会った訳だ。アクアはあれはショタだから。可愛い部類だから。見た目がほぼ女の子だから。


 そしてグランドは______って。



 「え」


 ちら、と後ろを見て驚いた。
 ラフェエルの横にいた三国志に出てくる蜀の武将・関羽のような長い美髭を蓄えて痩せこけてたグランドと同じ格好をした精悍な男が立っていたから。私は思わず大きな声を出した。




 「だ、誰!?ラフェエル、早く離れろ!!」



 「?何を言っているんだ?」



 「なにって!隣に知らない男が…………!」



『俺です、土の精霊のグランドです』


 「は!?」



 またまたビックリ。いやだって、グランドって監禁されてたせいか痩せこけて、ボロボロだったんだよ?なのに!グランドと名乗った男は!凄く立派な美丈夫だ!
 私は急いで駆け寄る。…………確かに、焦げ茶の1本結びに、グランドの着ていた旅人のような服装だ。けど、数分で成長しすぎない?なにこれ?


 未だに混乱する私にラフェエルが言った。



 「……………あんな見窄らしい姿で横に立たれるのは不愉快だったから私の土魔法を吸わせたのだ」



『はい。魔力を放出する壁から逃れ、ラフェエルの土魔法を吸収しました。良質な土魔法を吸収できたおかげで、元の姿に戻れたのです』



 「へ、へぇぇ……………………?」




 つまり、太陽神から解放されて精霊としての力が戻ったから見た目も整えたってことか。にしたってイケメンすぎやしない?綺麗系じゃなく、ガテン系というか…………なんか、兵士長とかしてそう。身長だって160センチ程度の身長の私よりひと周り大きいラフェエルが並んでも頭1つ抜きん出てる!これは2mはあるんじゃない?




 「ま、まあ……………とにかく、元の姿に戻れたのならよかったわ。ドゥルグレは見ての通り私の言うことに絶対服従だし、リーファに関わるどころか国民に手を出すことも禁止するわ。火の精霊_フレイムだっけ?_のこともちゃんと私が聞いて、復活できるのならするし出来ないのならちゃんと裁くわ。



 貴方の不安要素はもうないはずよ。早くリーファの元に帰ってあげて」




『なにからなにまでありがとうございます。…………………ですが、1つ。私の願いを聞いていただけませんか?』



 「?願い?」




 突然の言葉に首を傾げた私に、グランドは跪き____金色の瞳で私を見た。





『私の____屈服印を受けて欲しいのです』




 「え」









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