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第4章 太陽の神と土の精霊と次期龍神

土の精霊の情報

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 「貴方は女神様ですか!?」



 「オアシスを復活させてくださるなんて…………慈悲深い……………」




 「あ、え、っと………………」




 水を貯め終わるとなだれこむ人々。その目には涙が伝っている。…………余程困ってたのだろう。



 水を貯めたのは私の気まぐれだし、というかラフェエルが遠くから私を睨んでるし、早めに逃げよ____「こんなこと、グランド様が来た時以来の奇跡じゃないか!?」____!




 グランド、という言葉に反応する。
 グランド___土の精霊の名前だ。誰が言ったのかわからないで困っていると、人々が口々に言う。




 「グランド様は今もどこかで砂漠の砂を守ってくれているだろう」



 「たまに水を含んだ土にしてくれるしな」



 「やはりこの御方も神なのかな?」



 ____ここに居る人みんなグランドを知っている?


 私は1番近くにいた老婆に声をかけた。




 「ご婦人様……………グランド、という人の事を知っているのですか?」



 「え?ええ、知っております、ですが人ではございません……………我らが太陽神様と対立している妖精神様で御座います」



 「対立……………?詳しい話を、教えて下さらない?」





 「太陽神様は太陽をお守りしてる神様でございます、ですが……………ご機嫌が宜しくないと気温を上げてしまうのです。我々は魔法でなんとか凌いできましたが限界で。その時に助けてくださったのが___土の妖精神のグランド様でした。


 グランド様は太陽神・ドゥルグレ様を止めると言って………………かれこれ50年…………姿を見たものはおりません。


 伝承と化しておりますが……………私はグランド様のお姿を見たことがあります」





 「………………」





 いい事はするものだ、こういう時に実感する。
 あらぬ方向から情報を得られた。



 「ありが___ッ」



 「えっ………!」





 黒髪黄金瞳の踊り子は、忽然と老婆と人々の前から姿を消した。






 *  *  *




 「…………………って、老婆はいっておりまひた……………………」





 グレンズス魔法公国・ランテット宰相邸に向かう馬車にて。黒焦げでボロボロなアルティアは正座しながら老婆から聞いたという土の精霊の話をした。



 地獄のような罰だった…………………雷連続20発は流石に意識が飛びそうになったよ……………ギネス記録でも狙ってるのかなこの悪魔は…………………………?いや、こんなことをされるのは私だけなんだからギネスは無理か……………



 すっかり正装に戻ったラフェエルは足を組みながら縮こまる私を見下す。



 「そうか。行方不明というのが引っ掛かるな。……………太陽の妖精神に食われたと考えるのが妥当だな」



 「食われるって……………そうなったらグランドは死んじゃったの!?」



 「さあな。本人に聞けばよい。広場で騒ぎを起こしただけだったらあと10発は落としていた。


 有益な情報が得られてよかったな?」



 「………ぐぅ………」   




 神より精霊よりこの悪魔の方が怖いわ!
 攻撃できないぶん尚更ね!




 「………………グランド様…………」




 馬車の外から、エリアスの声が聞こえた。……………自国の精霊が食われた、なんて信じたくないでしょうね。クリスティドと同じ立場ならば契約印を貰えたはずなのに…………………





 「…………………エリー、大丈夫よ。


 無事を信じましょう。もし無事でなければ______」






 ______私が、殺してあげる。



 アルティアの黄金色の瞳が妖しく光った。










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