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第2章 水の精霊、海の妖精神と次期龍神

妖精神と精霊の違い

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『そうだよ………と言いたいところだけど、ちょっと違うね』



 少年は、少女の手を取り浮遊する。


『僕は妖精神ではなくて、水の精霊のアクア。で、こっちが本物の妖精神のマリン』


『勝手に紹介しないでくれる!?なんでも勝手なんだから!………というか、クリスもそうだけど、精霊と妖精の区別がついてないのかしら?


 どうなの?人間』




 マリンと名乗った海の妖精神は、アクアと名乗った水の精霊の手を離して近づいてきた。敵意を感じないし、何より違いがあるのかと興味を持った。




 「精霊という名前は何度か聞いたが、詳しい事は何も分かっていない。一緒くたに紹介されていることが多い」



『へえ。魔法を使ってるのに知らないなんて、面白いねえ。いいこと聞いちゃった。

 ねえ、マリン』



『なにも面白くないわ。すごく不愉快。……愚かな人間に教えてあげるわ。


 妖精神というのは世界を構築する自然を司っているの。いわば自然そのものよ。だけど精霊はそれに準じて魔法を放つ霊よ。


 つまり、妖精神の下僕が精霊なの!』



『マリン酷い!下僕じゃないもん!妖精神は精霊が居ないとなにも出来ないくせに!』




 ギャンギャンと騒ぎ始める子供達に頭が痛くなった。アルティアが2人になったようなものだ。目眩がする。…………だが、収穫はあった。妖精神と精霊は違う。龍神が屈服させなければならないのは妖精神のみ。つまり、精霊は無視してもいい。その違いを名前から察するに海、森、空、太陽、星は確実だろう。だが、ならば何故龍神は精霊を含めた。何かしらの意図がある。何故……………………?




『……………ふぅん、色々考えているのね』



『どうしたんだい、マリン。また心の中を覗いたの?』



『ええ。龍神は期待はずれだけど、教育者の方は中々頭が回るようね。顔も美しいし…………死なせるのは、もったいないわ』



 「死ぬ………………?」





 つい最近まで死のうとしていたから、その言葉に思わず反応した。アクアはえ、と声を漏らした。




『何も知らないの?教育者なのに?マリン、どうなの?』



『………驚いた、本当に何も知らないみたい。やっぱり現龍神が変わり者よ』




『5000年前から何にも変わってないんだね。面白いなあ』




『笑い事じゃないわよ!…………可哀想な人間。でも、恐れることはないわ。もう大丈夫だから』



 「どういうことか説明しろ」



『知らないなら知らなくていいんだよ。知る必要なんてない。僕達が守ってあげるから。

 …………僕達が、君を"保護"して_____マリン!』

『ええ!』




 そこまで言った所でマリンは部屋全体に水の壁を作り出した。その直後に大きな火の玉が水の壁に当たる。ぶしゃあ!!と水の壁が蒸発した。舞う水滴の先には____黒髪を靡かせ、怒りの形相を作ったアルティアと、そのアルティアに抱えられたクリスティドの姿が会った。

  


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