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第26章 ドキドキ?ハラハラ?家族旅行!
心優しき先祖キャラ
しおりを挟む"その男"というのは____きっと、ゼグスの事だ。なにが、『子孫を見守れ』だ。
怒りが胸に込み上げてきた。
やっぱり、龍神なのだ。全ての事柄の中心には___必ず、龍神がいる。
そして、この話の続きにもまた、居るんだ。
「____!」
不意に、周りの光景が変わった。
先程の黒の内装ではない。沢山の____柱。そこに…………人が、埋まっていた。
俺はそれを見て、吐き気を催した。急いで子供達の目を塞ぐ。こんなもの見せられない。…………見せては行けない、そう思わせたんだ。
ゼグスは悲しげに続ける。
『これは____"とある地"にて、未だに龍神に呪いをかけ続けているもの達だ。
命を差し出して、禁術をつかい____その地から、呪いをかけ続けている。
もうわかるだろう?…………この者たちは、私を助けようとして…………この呪いを使ったのだと』
「……………ッ」
目を背けたくなる現実だった。
話で聞いていたよりもずっとショッキングだった。
込み上げてきたのは、…………既に怒りではなくて。
悲しみだけだった。
『____君の愛する人を傷つけているのは、私だ。私の至らなさ、なのだ』
「____それは、違います」
『?』
セオドアはぽつり、言葉を吐いた。
ゼグスが人柱を消してから、子供達の目から手を離し、2人の頭を撫でた。
「____貴方は、龍神と戦って、龍神を止めようとした。国民達は、あなたを助けようとした。龍神は___きっと、死にたくなかった。
全部、一概に悪いとは言えないと思うのです。
確かに、腹立たしいです。悔しいです。
けどそれは貴方に抱く感情じゃない。人柱に抱く感情じゃない。
…………何も出来ない私に、です。
だから___どうか、涙をお拭き下さい」
『____ッあ』
ゼグスは自分の目元に触れる。涙がいつの間にか出ていた。目の前にいるセオドアは………笑っていた。
「もう、龍神はいません。ならば、私がどうにかする。どうにかすればどうにかなる。………私は、そう信じているのです。
だって____アミィとずっと、子供達とずっと居たいから」
そうだ。
初代龍神は死んだのだ。
もういない。下がるだけ下がればあとは上がるだけ。なんの難しいことは、ない。
俺がどうにかする。どうにかすれば____アミィール様は、俺とずっと一緒に居られるんだ。
セオドアは、泣いているゼグスを見ながら、子供達の背を押した。子供達は顔をあわせてから、ゼグスに駆け寄る。
「いたいのなーない」
「おとこならなくな!」
『………っ、はは、そう、だね。
本当に___そうだね』
子供達はゼグスの笑顔を見て、自分達も笑った。セオドアはそれを見てから、問うてみた。
「しかし、ゼグス様は何故、成仏をなさらないのですか?初代龍神の縛りはなくなったのでは?」
『それは____うん、そうなんだけどね。元々はさ、ガーランドが約束を果たしてくれたからいつでも出来るんだけど……………ラフェエルとアルティアが気になってね。
そうしたらアミィールが生まれて…………そのアミィールが君と子供を産み………楽しいことが増えてしまってね。
私が入れば、寿命を調整できるだろう?だから、それにこじつけて居座っているんだ』
「………………」
おっとりとした口調でしょーもないことを言っているゼグス。いい雰囲気が台無しである。………とはいえ、今が楽しくて、それでいて子孫たちに手を貸す優しさに、小さく笑みが零れた。
「………ふふっ、そうですか」
『ああ。これでも楽しいのだ。
なあ、アドラオテル、セラフィール』
「たのしー!」
「たのしー!」
子供達は撫でられると、万歳して反芻した。それはどう見たっておじいちゃんと孫達の姿だった。
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