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第16章 チート過ぎる家族達
皇帝にも愛される主人公
しおりを挟むラフェエル皇帝様はお強い。
それをすごく分かったし、俺もあんな風に強くなりたいと思った。
野性的と理性的が織り交ざった完璧な戦い方だと思ったし、純粋にかっこいいと思ったから。新しい目標が出来たしそれは嬉しい………………………のだが。
「セオ、立て」
「はっ………はぁっ………」
下克上闘技大会後日、鍛錬場にはボロボロで息遣いを荒くして地面とキッスしているセオドアと___悠然とそれを見下し、片手に木刀を持ったラフェエルの姿があった。
それを見ていたアルティアの側近・ガロが、ラフェエルの側近・リーブに聞く。
「あの、リーブさん、ラフェーさんはなにをやっていらっしゃるのですか……………?」
「この前の下克上闘技大会にてセオドア様と手合わせしたのが余程楽しかったそうで。
ラフェエル様は執務に行き詰まったり、暇さえあればセオドア様の鍛錬の相手になりたいと仰ったのです。
最近、毎日こうして執務の合間を縫ってセオドア様を扱いています」
「そうなんですか、それはいい変化ですね。ラフェーさんはお強いですし、セオドア様のスキルアップも望めて………ラフェーさんも幸せそうですし、いいですね」
よくない、よくないぞ……………!
セオドアはそんな側近達の会話を聞きながら涙目で拳を作って震える。
あの二人の言う通り、あの日から毎日のように執務を放り投げて鍛錬場にいらっしゃるようになった。
そりゃあ、とても勉強になるし間近でかっこいい戦い方を見れるしラフェエル皇帝様と愛称を呼ばれるほど親しくなれたけど!この人は手加減というものを知らないんだ…………!
ただでさえ毎日ガロやリーブに扱かれているのにその上ラフェエル皇帝様にまで扱かれたら俺は死ぬんではないのか………?色んな意味で…………
「泣くな、セオ。男なら立て。そのような腑抜けに育てた覚えはないぞ」
「あ、あの、執務の方は…………」
「………………アミィールに任せているから大丈夫だ」
ふい、と顔を背けてそう言うラフェエル皇帝様。子供にしか見えない……自由奔放すぎる皇帝様だ…………嫌いじゃないけれども!
「命令だ。____10秒以内に立たなければ離婚だ」
「た、立ちます!立ちますから!」
セオドアは飛び上がるように起きて剣を握る。『女装』の他に『暇つぶし』の任まで請け負うことになったセオドアはやっぱり泣きました。
* * *
「うう……………体が痛い……………」
ラフェエルが去った後、目も当てられないほどボロボロになったセオドアはグズグズとその場で泣いていた。3年前なら恥ずかしくて外で泣けなかったけれども、最近の仕打ちにより、外で泣くことに抵抗がなくなったのだ。
俺、みっともない………………泣きたくない…………
「セオドア様、大丈夫でございますか?」
泣いているセオドアに、リーブが優しく声をかける。………泣いてばかりじゃいられない。俺は皇配なのだから、アミィール様の夫なのだから頑張らねば…………!
そう考えたセオドアは急いで涙を拭いて頑張って笑顔を作って答える。
「だっ、大丈夫です、みっともない所を見せてしまい申し訳ございません」
「いいえ、大丈夫ですよ。ラフェエル様は手加減を知らないので、泣きたくなる気持ちはわかります」
リーブはそう言ってにこ、と笑う。
こう見るとやっぱり犬に見える、性格はとても可愛い人だと認識している。…………い、癒しだ…………
「では、涙も止まったところですし、防御魔法をしましょう」
「え」
「みっちり1時間御相手させていただきます」
「……………………」
………………この人達もしやスパルタなのでは……………?
セオドアは今更そう気づいて、やっぱり涙ぐみながら参加したのだった。
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