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第14章 ダブル誕生イベント!

忘れ去られた誕生日

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 「なーんでそんな邪険にするのさ~息子よ~!」



 「………………」




 この人に何を言っても無駄だと知っている俺はとても成長したと思う。もうドキドキすらしない。美女だけど中身は近所のおばちゃんだと知っているから。この2年はこの人に振り回され続けたと言っても過言ではない。いや本当に。



 そう絶望しているセオドアに、アルティアはにこにこしながら言う。



 「お茶会「しません」女装「しません」………社交パーティ?」



 「し!ま!せ!ん!」



 セオドアは強くそういった。
 俺はもうこの人に振り回されない!絶対嫌だ!俺は何もしないぞ!



 そう確固たる決意を持つセオドアを見て、アルティアは『ふむ』と考える素振りをしてからくるり、と背を向けた。


 「あーあーせっかくいい情報を教えてあげよーとしたのになー」



 「どうせくだらないことですよね、知ってます」


 「………………アミィールの誕生日がくだらない事ね~」


 「は!?」


 思わず、大声が出た。持っていたスコップも落としてしまう。


 アミィール様の誕生日!?俺はそんなの知らないぞ!?………そ、そういえば、去年もその前もお祝いしていないじゃないか!



 衝撃的な事実にさあ、と顔から血の気が引いた。俺は好きな人の誕生日すら知らないんだぞ………?去年、俺の誕生日は祝って貰ったのに…………!そうだよ、その時も『誕生日教えて欲しい』と言ったけどさりげなく甘い雰囲気で誤魔化されたんだ…………!馬鹿か俺は!?



 正直に言おう。俺は紛うことなき乙女男子だ。好きな人の誕生日を知ってプレゼントを送るなんて当たり前だろう?なのに!その誕生日すら知らない!



 セオドアは慌ててこの場から去ろうとするアルティアに声をかけた。



 「アルティア皇妃様!どうか教えてください!」


 「あれ~?嫌なんじゃないの~?」



 「…………ッ!」



 セオドアは顔を顰める。温和なセオドアを怒らせる事はとても難しくレアなことなのだが、アルティアという女はとても人を怒らせるのが得意なのだ。



 ……………本当にこの人は意地が悪い…………!



 腹が立ちすぎて涙目になりふるふると震える可愛い義息にアルティアは笑いを堪えるのに必死だ。



 あー、この子面白すぎる。そして可愛すぎる。すごくいじめ甲斐があるからもっといじめたくなるのよね、流石私の息子だわ……………でもこれ以上やったら泣くよね。仕方ない、今日はここまでにしてやろう。



 そう思い至ったアルティアはくるり、振り返って言う。



 「誕生日プレゼント一緒に考えてくれたら教えてあげる!」


 「私は自分でアミィール様に送りたいのです!」


 「それは勝手にしていいんだけど、私もラフェエルに誕生日プレゼントしたいのよね」



 「はい?ラフェエル皇帝様も誕生日が近いのですか?」



 「うん。アミィールと同じ日だから」


 「……………はい?」



 セオドアは思わず目を見開く。
 親子揃って同じ日に生まれることなんてあるのか………?いや、前世の世界なら生まれる日を調整出来たりするけど、この世界にそんな技術なくないか………?


 「冗談…………ですよね?」


 「ううん、それが冗談じゃないのよね。

 10万年前から"サクリファイス大帝国第1皇子"は決まった日に生まれるのよ。

 龍神は居なくなったのに、アミィールもその日に生まれて、やっぱり決まってるのかもしれないわね」



 アルティア皇妃様は平然とそういう。サラッと言われたけどそれって凄くないか………?いや、本当にそうなのであれば俺はアミィール様だけではなく義父のラフェエル皇帝様にもなにか送りたいな…………



 「……………わかりました、一緒に考えますので少しお待ちください。片付けてきます」



 「やりぃ!」



 セオドアの言葉に、アルティアはとても嬉しそうに笑った。











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