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第11章 人外皇女の秘密
皇女は怒りに倒れる
しおりを挟む______わたくしは、元々セオドア様に剣など持たせたくなかった。
けれども、身を守る術は身につけて欲しかったから木刀での剣技は認めざるをえなかった。いざという時に最低限身を守れればいい、そもそも、わたくしが居ればセオドア様が剣を握る必要は無い。
そう思っていたのに。
ダーインスレイヴ_____元々お母様の魔剣として居た存在が、お父様も使うようになり、わたくしも使うようになった。それは、ダーインスレイヴの剣が1番軽く、使いやすく、また性能が素晴らしいからだ。それは認める。
けれども。
それは沢山の血を吸ってきた剣だ。沢山の人間を屠ってきた凶器なのだ。それを、セオドア様に持たせるなどさせたくなかった。
____綺麗な御手が、血に染ってしまう。
嫌だ。
イヤだ。
いやだ。
セオドア様の御手を汚したくない。綺麗な、穢れのない手で真剣など、ましてや魔剣など持って欲しくない。
「………………ッ!」
「アミィ!?」
胸が、苦しくなった。
感情の昂りによる発作。こ、こんな時に………………ッ!
「セオ、ど、あ様……………………」
アミィールはそこで、意識を手放した。
* * *
「アミィ!アミィ!」
お揃いに浮かれていたら、突然アミィール様が胸を抑えて蹲った。急いで身体を支えたけれど…………その身体は、熱くて。
息遣いも荒くて。
頭が真っ白になって、涙が溢れる。
「アミィ!アミィ!なあ!アミィ!」
「……………」
どんなに、どんなに呼んでも『セオ様』と呼んでくれない。あの優しい笑顔も見せてくれない。頭が真っ白になる。
アミィール様が…………アミィール様が……………!
「ッ、誰か!誰かいないか!?」
大声で叫んだが、今は深夜だ。レイも下がらせてしまった。ど、どうすれば____!
真っ白な頭を奮い立たせて考えて、思い出す。耳たぶにある___ピアスを。
俺は自分でもびっくりするくらい大声で呼んだ。
「レイヴ!」
「なんだ………………って!おい!セオドア!これはどういうことだ!?」
名前を呼ぶとダーインスレイヴが現れた。それを見た瞬間俺の目から涙が溢れた。アミィール様を抱きながら縋り付くような気持ちで言う。
「アミィが!アミィが!突然倒れたんだ!アミィの身体、熱くて!アミィが………ッ!」
「馬鹿野郎!お前が混乱してんじゃない!………ッ、とりあえずベッドに連れてくぞ!」
ダーインスレイヴはそう言って俺からアミィール様を奪ってアミィール様の部屋に行ってしまった。
セオドアは泣きながら、それでもその後を追った。
* * *
「はぁ………はぁ…………」
「アミィ………ッ!」
アミィール様の部屋。目の前でアミィール様は荒い息遣いで苦しんでいる。それを見てるだけで胸が苦しくなって、涙が溢れた。
俺が、俺がお揃いなんかで喜んだから罰が当たったんだ………!俺が………!
「…………そうじゃ、ねえ」
そう思っている時、アミィール様を部屋に運んでくれたダーインスレイヴがぽつり、漏らした。けどこの時の俺は礼儀も思考も働いてなくて怒鳴った。
「俺のせいなんだッ!俺が………ッ、浮かれたせいで………アミィが………ッ!」
「そうじゃないんだ!」
「____ッ」
ダーインスレイヴはそう怒鳴って俺の胸倉を掴んで無理やり立たせた。そして、言葉を続ける。
「アミィールはッ、"呪い"と"脆い体"のせいでこうなっているんだッ!」
「は…………?」
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