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第7章 主人公と皇女の結婚式前
紅銀色の龍は愛を噛み締める
しおりを挟む最悪だ。
紅銀の龍_____アミィールはぎり、と鋭い牙で歯ぎしりをした。
今日は____代償の日なのだ。
元龍神の後継者・アルティアは1度死んでいる。それ故に身体が脆い。それは、その胎内で育ったアミィールも一緒だった。
代償という名の発作が起きてしまっては倒れてしまう。熱を出して、寝込んでしまう。そうなったら愛しいセオドアに代償のことがバレてしまう。
発作を起こさないようにするのに1番効果がある対処が____龍化で眠ること。
龍の姿が本来の姿なのだから、人間化の時の縛りはなく、安心して休養に徹することが出来る。3時間ほどこの状態でいれば、ある程度は防げる。………もっとも、突然発作が起きることも割とあるから予防法としては弱いんだが。
それはともかく。わたくしは執務を少し休んで回復に徹していた。これはお父様も知っているから無理に執務を優先しろとは言わない。むしろ率先してやれと言うから。セオドア様との時間を楽しみたいのを我慢して、庭園の奥にひっそりとある龍化専用の地下部屋_龍になることは城でも、国でも知っている人は少ないから_に居たのだ。
なのに。起きたら____セオドア様が居た。
見られたくなかった。人間の姿以外この人に見られたくなかった。このような醜い姿を見られたくなくて、罪悪感を抱えつつ帰ってくださいましと言った。
なのに、セオドア様はわたくしを見て____アミィ、と言ったんだ。
バレているんだ。こんな姿なのに、私だと気づいた。嬉しかった。
けれど。
わたくしはそれを認めたくなかった。
龍である自分を隠したくて、否定して顔を逸らした。
それなのに____セオドア様は、龍のわたくしを恐れることなく抱きしめたのだ。
わたくしのお腹の部分に伝わる、小さくて温かい身体に、涙が出そうになる。
そんなわたくしを追い詰めるように、セオドア様は口を開いた。
「____アミィ、貴方は絶対アミィだ。私はわかるよ。姿が変わっても、冷たく当たっても、………声も、匂いも、喋り方も…………全部貴方だ。
龍の姿も美しくて、…………素敵だ」
『……………ッ…………』
涙が出た。なんでこの人は…………こんな醜い姿のわたくしを褒めてくださるの?
なんでこんな醜いわたくしを___受け入れて、くださるの?
「アミィ、こっちを向いてよ。
君の顔を、よく見せて」
セオドア様の優しく甘い言葉に、わたくしは弱くて。おそるおそる、顔を近づけてみた。
エメラルドのような緑の綺麗な瞳を細めたセオドア様は満足そうに笑みを零して、両手をいっぱいに広げて、わたくしの顔に触れる。わたくしの顔より小さいお身体なのに、全身温かい。
「アミィはやっぱり、美しい女性だね。………龍の姿なのに、貴方はどこまでも美しく、愛らしい。
_____私は、どんな貴方でも大好きです」
『ッ………………セオ、さま…………』
「ふふ、やっとお認めになってくれたね。龍の姿だと大きい声に聞こえるけど…………心地よい」
そう言って、わたくしの大きな口に唇を寄せた。口を開けば丸呑みだって出来てしまうほど大きいのに、恐れることなく…………………
嬉しい。
凄く嬉しい。
でも。
______この姿ではなく、人間の姿でも、キスをしたい。
「……………!」
そう思ったアミィールは、紅銀の光を発しながらゆっくり、でも確実に小さくなっていく。あまりの眩しさに目を瞑ったセオドアが、目を開いた頃には____裸のアミィールが立っていた。
「なッ…………!」
セオドアは、顔を赤くする。
紅銀のストレートヘア、黄金色の瞳、それが整頓された顔。いつも通りの顔だ。けど。
大きな胸、俺の腹よりも割れているのに細いくびれ、そして、薄い紅銀の毛を称えた秘部、細い足______全部見えている。あまりの美しさに見蕩れそうになるけど、見てはダメだと顔を赤らめ目を背ける。
ま、まだ結婚してないのにアミィール様のお裸を見てしまった…………!ふ、不敬だ!見てはならない!で、でも近すぎ___ッ!
そこまで考えたところで、優しい小さな手が俺の顎を持ち上げ淡いピンク色の唇を自分のそれに重ねられた。
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