ヒカゲモノ

圧倒

その頃、ヒナはもう１つの道をうろついていた。


｢おかしいなぁ～。さっきの不良以外誰もいないし、兄貴から連絡がない…｣


ヒナは先ほど歩いていた不良にナンパされていた。

この不良こそ今日の死神のターゲットである。

ヒナもこの不良が死神のターゲットだと分かっており、さっきまで明るい道まで送っていた。

その為、ターゲットの無事を確認した。

だが、死神がここにいないなら兄の所以外無いはず。

しかし、兄から合図が無いから不思議に感じていた。

｢もしかして兄貴の身に何かあった…？早く行かなきゃ…！｣








その時、傷を負っていたテンカは悟った。

自分の弱さは相手の挑発に乗ってしまう心の弱さだと。


死神はいう。
｢ふふ…。私はね、相手を挑発するのが上手いみたいなんですよ…。それで裏の世界で相手を挑発して死に追いやる神『死神』と言われるまでになりました…。｣


しかしその時、後ろから声が聞こえた

｢死神さん、こんばんわ。｣

その言葉にテンカはビックリした。

｢ヒナっ！いつの間に！｣

死神は驚いて振り向く。

｢なッ…！貴様いつの間に…！｣

ヒナは言う。

｢あたし、死神さんの事を調べましたけど、死神さんって任務達成率が100%なんですよね。｣


死神は言った。

｢だからどうした…！｣

｢でもそれって殆ど自分より弱い人ばかりを狙ってますよね？あと必ず一対一の戦いですよね？｣


死神は自分の気にしている事を言われて少し腹が立った様子。

｢私を挑発ですか…。小娘が…！｣

死神は鎌で攻撃した。

その攻撃は鎌を速く振り衝撃波の様な攻撃であった。

素早く避けたヒナだったが攻撃を少し受けた。

｢フフ…どうです？これが私の奥義『月光』ですよ。｣

ヒナは少し怪我をしたが何ともない様であった。

｢痛いなぁ…。でも死神さん、凄いですね！衝撃波なんて！漫画みたいですね。｣


ヒナは続ける。
｢じゃあ次はあたしがいきますよ！｣


ヒナは走った。

だが普通の走りと違う。
まるで分身をするような感じで走っていた。

｢あなたこそ漫画みたいですねぇ…。しかし…ここだ！｣

死神はヒナに向かって攻撃した。

グサっ…！

死神がヒナを攻撃したはずだったが死神はなぜか攻撃を受けた。

｢グッ…！どういう事だ…！確かにお前を攻撃したはずなのに、逆に私が攻撃されるとわ…｣

｢死神さんがあたしの残像を攻撃したって事だぁ。｣
ヒナは続けて攻撃をした。

グサッ！ドガっ！

死神は成す術なくヒナの攻撃を受ける。
ヒナの攻撃が速く鎌で全然切り払えないのだ。

(グッ…こいつ、やはりレベルが違いすぎる。)





しかし戦っていく内に死神はヒナの攻撃を少しずつ避け始めた。

｢(アレだけの攻撃スピード。やはり小娘も疲れだしたか…。隙を見て逃げるか…！)｣


その時、ヒナが体制を崩した。

｢あれれ？｣

｢(今だ！)｣

ヒナが体制を崩した瞬間死神は逃げ出した。


｢(今の私では小娘には勝てない…！残念ですが今日はここまでです。)｣

その時だった。

｢バーン！｣

｢(ま、まさか鉄砲を隠していただと？)｣

銃声が聞こえ、死神が倒れた。

テンカは言った。
｢ライフル！？隠しもっていたのか？｣


｢まぁねぇ。逃げる相手には効率的だからね。｣



死神は弱った声でいう。

｢ふふ…私としたことが…。判断ミスをしてしまいました…。｣



｢それってあたしと戦ったことでしょ？｣


｢そう…。私は判断力１つでこの世界で生きてきた…。あなたは確かに強いオーラがあった…。しかし小娘に負けたくないとも思った。｣


ヒナは死神に刀を向けて言った。

｢じゃあそろそろ止め刺そうか？最後に言いたいことは無い？｣

死神は今にも死にそうな声でいった。

｢…そうですね。私を倒したあなたにだけ言いたいことがあります。｣

死神は続ける。

｢…あなたのお兄さん、剣の才能は有りますが…裏の世界で生きれる性格ではありません…。お兄さんを大切に思っているなら…ちゃんと考えたほうが良いですよ…。｣

｢ではそろそろ止め刺してください…。｣



ヒナは表情を全く変えずに死神に止めを刺した。


｢さぁ任務も終わったし、任務終了の報告に行こ。｣

俺はヒナに言った。

｢意外と弱ったな…。｣

｢あたしが事前に調べた情報だと任務で怪我したことすら無かったんだって。｣

テンカは少し驚いて言う。

｢任務で怪我すらしない？それってもしかして弱い相手以外とは戦っていないんじゃ？｣

｢そうだねー。調べたら暗殺任務ばかりで不意討ちが得意だったみたい。それに状況判断能力が抜群に良いんだよ。｣

｢だから強そうな相手には見つからないように、会っても戦わないようにして来た訳だな。｣


テンカは続ける。

｢そんなショボい奴にやりたい放題される俺って…。｣


テンカはショックを受けた。