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原手合戦
鹿之助の戦い
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それは尼子軍が月山富田城を落とす1週間ほど前のことであった。
尼子再興軍が破竹の勢いで出雲の諸城を攻略し、ほぼ出雲一国を手中に収めんとするまでに勢力を拡大した。
その尼子軍を殲滅するために毛利元就は月山富田城に援軍を送ったのであった。
石見銀山を守備していた服部左兵衛ら毛利軍が小田助右衛門を大将に月山富田城に援軍に行く。
だが尼子軍はそれにいち早く気付き、山中鹿之介・立原久綱と毛利元就から離反した米原綱寛が2700の兵で原手郡で毛利軍を迎え討つ事となった。
原手郡に部隊を率いてきた鹿之介は陣を張り、そこを本陣とした。
毛利軍の動きに早めに気付いたのが良かった。
本陣を見通しの良い場所に張れたため、相手より何倍も有利に合戦を進められるのだ。
「…という訳で私たちの方が兵では劣っているが地形では明らかに有利だ。恐らく勝負は数時間で決まる。」
「しかし不利を悟った敵が兵を引いてくという事が有り得るんじゃないか?」
立原は具足を付けてながら喋る。
「それはない。一刻も早く月山富田城に援軍にいかなければ出雲の求心力を失うからな。相手はその焦りから攻めてくるだろう。」
鹿之介は鎧兜を付けて自分の陣へと向かう。
相手の兵の数は3000と聞いたが、鹿之介は万の相手でも勝てる自信がある。
それだけ地形というのは有利に働くものなのだ。
それに報告を聞く限り、相手の進軍速度が異常に速い。
恐らく、兵を無理に速く動かしているのだろう。
普段の倍の速さで進軍している。
だが、いつもの倍の速さで兵も疲れきっているだろうし、何よりも敵将が聞いたことの無い人物の為、士気があまり高くないだろう。
頭の中でそう考えていた時、毛利軍がこの原手郡に現れた。
鹿之介の陣からでも相手の動きがよく見える。
敵は戦場に着いてすぐに陣形を作ってきた。
兵士の表情までは分からないが、普段の毛利軍より動きが悪く感じる。
やはり慣れない進軍速度のせいでか兵士達は疲れきっていると見るべきだろう。
多分、敵将もそれに気付いていると思うが今の毛利には休憩をする余裕すらないのだろう。
そりゃそうだ。月山富田城が落ちたら出雲どころか石見まで尼子の勢力下に落ちるからな。
石見は…いや石見銀山だけは毛利も取られたくないだろう。
なんせ石見銀山は毛利の貴重な収入源で、ここが取られると毛利の経済状況は困窮するからだ。
経済状況が悪化すると兵士を揃えられなくなるし、町の発展も出来ず、城の改築も出来なくなるから凄まじい勢いで国力が下がっていく。
これを高転びと言うのだろう。
強大な大名とはいえ経済面に打撃を受けると再起は難しく、大国が揺れて、そして国が滅ぶ。
そう言う意味でこの戦いは、兵数の規模こそ小さいが毛利の存亡をかけた戦いと言えるだろう。
ただ毛利は一つ…いや二つ失敗をしていた。
一つは九州に兵をもって行き過ぎた事。
その為、山陰で動かせる兵が殆どいない。
二つ目はこの戦いの総大将があまりにも無名すぎる武将である事だ。
尼子再興軍が破竹の勢いで出雲の諸城を攻略し、ほぼ出雲一国を手中に収めんとするまでに勢力を拡大した。
その尼子軍を殲滅するために毛利元就は月山富田城に援軍を送ったのであった。
石見銀山を守備していた服部左兵衛ら毛利軍が小田助右衛門を大将に月山富田城に援軍に行く。
だが尼子軍はそれにいち早く気付き、山中鹿之介・立原久綱と毛利元就から離反した米原綱寛が2700の兵で原手郡で毛利軍を迎え討つ事となった。
原手郡に部隊を率いてきた鹿之介は陣を張り、そこを本陣とした。
毛利軍の動きに早めに気付いたのが良かった。
本陣を見通しの良い場所に張れたため、相手より何倍も有利に合戦を進められるのだ。
「…という訳で私たちの方が兵では劣っているが地形では明らかに有利だ。恐らく勝負は数時間で決まる。」
「しかし不利を悟った敵が兵を引いてくという事が有り得るんじゃないか?」
立原は具足を付けてながら喋る。
「それはない。一刻も早く月山富田城に援軍にいかなければ出雲の求心力を失うからな。相手はその焦りから攻めてくるだろう。」
鹿之介は鎧兜を付けて自分の陣へと向かう。
相手の兵の数は3000と聞いたが、鹿之介は万の相手でも勝てる自信がある。
それだけ地形というのは有利に働くものなのだ。
それに報告を聞く限り、相手の進軍速度が異常に速い。
恐らく、兵を無理に速く動かしているのだろう。
普段の倍の速さで進軍している。
だが、いつもの倍の速さで兵も疲れきっているだろうし、何よりも敵将が聞いたことの無い人物の為、士気があまり高くないだろう。
頭の中でそう考えていた時、毛利軍がこの原手郡に現れた。
鹿之介の陣からでも相手の動きがよく見える。
敵は戦場に着いてすぐに陣形を作ってきた。
兵士の表情までは分からないが、普段の毛利軍より動きが悪く感じる。
やはり慣れない進軍速度のせいでか兵士達は疲れきっていると見るべきだろう。
多分、敵将もそれに気付いていると思うが今の毛利には休憩をする余裕すらないのだろう。
そりゃそうだ。月山富田城が落ちたら出雲どころか石見まで尼子の勢力下に落ちるからな。
石見は…いや石見銀山だけは毛利も取られたくないだろう。
なんせ石見銀山は毛利の貴重な収入源で、ここが取られると毛利の経済状況は困窮するからだ。
経済状況が悪化すると兵士を揃えられなくなるし、町の発展も出来ず、城の改築も出来なくなるから凄まじい勢いで国力が下がっていく。
これを高転びと言うのだろう。
強大な大名とはいえ経済面に打撃を受けると再起は難しく、大国が揺れて、そして国が滅ぶ。
そう言う意味でこの戦いは、兵数の規模こそ小さいが毛利の存亡をかけた戦いと言えるだろう。
ただ毛利は一つ…いや二つ失敗をしていた。
一つは九州に兵をもって行き過ぎた事。
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二つ目はこの戦いの総大将があまりにも無名すぎる武将である事だ。
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