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尼子再興軍挙兵
山賊を仲間にせよ
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秀綱は近くにいた山賊に声をかける。
「おい、そこの。お前たちの親分に会わせてもらいたい。」
薄汚い山賊は「あぁ?」と言い秀綱に近づく。
「お前、誰だぁ?」
「私は尼子勝久の側近の横道秀綱だ。」
秀綱が自分の名を名乗った時、山賊の態度が変わる。
「あ、尼子の…?すぐに親分に報告します…!」
そう言い、山賊はリーダーのいる小屋に入っていった。
「尼子と聞いて態度が急変したな。やはり、元は尼子に仕えていた兵なんだろうな。」
小次郎はそう言い、しばらく山賊が戻って来るのを待つ。
「お待たせしやした!さぁ、どうぞ。親分はあっちの小屋にいます。」
案内をされた小次郎達は汚い小屋に入る。
そして小屋に入ると目の前にゴツいおっさんが座っていた。
「ようこそ。我が賊の住み処までよくぞ来られた。」
そのおっさんは立派な髭を生やしており、雰囲気は小汚ない山賊というよりも普通の武士という感じだ。
鍛えられた肉体、鋭い眼光…。この男はかなりの強者だと小次郎は初対面で感じた。
だが、感じたのは秀綱もだ。
この男かなりの強者だが、昔どこかの隊で見たことがある。
「お前、もしかして昔、牛尾殿か本城殿の隊にいなかったか?」
曖昧な記憶だが、多分いたはずだ。そう思い、秀綱は聞いた。
「確かに…私は最初は牛尾様に仕えていたいました。その後、本城様の隊の先駆けをしていました。」
その後である。おっさんの雰囲気が変わる。
「だが石見で毛利と戦っていた時、私は尼子に裏切られた。尼子義久という愚かな大名が『雲芸和議』を結んだせいで本城様は尼子に見放された!」
おっさんは段々と語気が荒くなってきた。
「そして、最後は毛利元就が本城様の武勇を恐れ殺害した!…それからだ。私がこうやって山賊しているのは。私が亡き本城様の兵を統率して毛利の領土を襲うようなったのは…!」
おっさんの勢いに小次郎は何も言えないでいた。
いや、何を言っても火に油を注ぐ感じでだろう。
おっさんから放たれるオーラには尼子に裏切られた悲しみと、主君を毛利に殺された憎しみを感じる。
「ところで…小僧。」
この思い空気のなか、おっさんが小次郎に声をかける。
「お、俺…?」
小次郎は戸惑い声を出す。
「小僧はお前以外いないだろう。…お前、本城常光様にどことなく似ておるな。まさか、本城様の三男坊か?」
おっさんに聞かれたとき、小次郎は閃いた。おっさん達を仲間にいれる方法と、おっさん達の心を救う方法を。
「ああ、俺の名は本城小次郎だ。本城常光の三男だ。」
この時、小次郎は自分でも驚くほど冷静に嘘を言った。
バレたらおっさん達の信頼を失うが、この嘘によっておっさん達が小次郎の配下になってくれたら良いと思った。
この嘘をついた時、秀綱も意外と冷静であった。
恐らく小次郎ならハッタリかまして、この状況を何とかするだろうと思っていたのだろう。
小次郎の言葉を聞いたおっさんは少し喜び、そして言う。
「やはり本城様の三男坊か。行方不明と聞いていたのだが生きていたのだな…。」
おっさんは「ほっ」としたのだろう。明らかに気が緩んでいた。
これは仲間にするチャンスと思った秀綱は早速おっさんに渡す。
「お主に金を渡しておこう。せっかく本城殿のご子息に会ったのだ。この機会に秋上宗信と挙兵し、本城家を再興させるのだ。私たちは前主君義久とは違い、家臣を決して裏切らないっ。」
そう言い、秀綱は帰り仕度をする。
帰る前に小次郎の耳元に小さい声でいう。
「後は上手くお前が口説き落とせ。私はこれで帰るからな。」
「え…?俺を一人にするのか?」
少し不安になる小次郎であったが、秀綱は小次郎の声を無視して帰った。
おっさんと二人きりになった小次郎は勢いでさっさと仲間にしようと思った。
「あのさ、俺たちと一緒に打倒毛利だ。毛利を倒して尼子再興、そして我らが本城家を再興しようじゃないか。」
少し不安気味に言うが、とにかく今はこのおっさんを仲間に入れたい。
おっさん達は秋上隊の連中と同じくらい強い兵隊だと思う。
「まぁ良かろう。しばらくは小次郎様に従って尼子の為に、本城家の為に戦いましょう。だが、尼子が配下の武将を見捨てるような事が起きたら、どうするか考えねばならないがね。」
おっさんは席を立つ。
「我々はこれから準備をするので小次郎様は今日はもうお帰りください。私たちは明日の夕方には秋上隊に合流します。」
「お、おう。ありがとう。」
どうやら何とか口説き落とせたみたいだ。だが、小次郎はこのおっさん達を上手く扱えるのだろうか?
「おい、そこの。お前たちの親分に会わせてもらいたい。」
薄汚い山賊は「あぁ?」と言い秀綱に近づく。
「お前、誰だぁ?」
「私は尼子勝久の側近の横道秀綱だ。」
秀綱が自分の名を名乗った時、山賊の態度が変わる。
「あ、尼子の…?すぐに親分に報告します…!」
そう言い、山賊はリーダーのいる小屋に入っていった。
「尼子と聞いて態度が急変したな。やはり、元は尼子に仕えていた兵なんだろうな。」
小次郎はそう言い、しばらく山賊が戻って来るのを待つ。
「お待たせしやした!さぁ、どうぞ。親分はあっちの小屋にいます。」
案内をされた小次郎達は汚い小屋に入る。
そして小屋に入ると目の前にゴツいおっさんが座っていた。
「ようこそ。我が賊の住み処までよくぞ来られた。」
そのおっさんは立派な髭を生やしており、雰囲気は小汚ない山賊というよりも普通の武士という感じだ。
鍛えられた肉体、鋭い眼光…。この男はかなりの強者だと小次郎は初対面で感じた。
だが、感じたのは秀綱もだ。
この男かなりの強者だが、昔どこかの隊で見たことがある。
「お前、もしかして昔、牛尾殿か本城殿の隊にいなかったか?」
曖昧な記憶だが、多分いたはずだ。そう思い、秀綱は聞いた。
「確かに…私は最初は牛尾様に仕えていたいました。その後、本城様の隊の先駆けをしていました。」
その後である。おっさんの雰囲気が変わる。
「だが石見で毛利と戦っていた時、私は尼子に裏切られた。尼子義久という愚かな大名が『雲芸和議』を結んだせいで本城様は尼子に見放された!」
おっさんは段々と語気が荒くなってきた。
「そして、最後は毛利元就が本城様の武勇を恐れ殺害した!…それからだ。私がこうやって山賊しているのは。私が亡き本城様の兵を統率して毛利の領土を襲うようなったのは…!」
おっさんの勢いに小次郎は何も言えないでいた。
いや、何を言っても火に油を注ぐ感じでだろう。
おっさんから放たれるオーラには尼子に裏切られた悲しみと、主君を毛利に殺された憎しみを感じる。
「ところで…小僧。」
この思い空気のなか、おっさんが小次郎に声をかける。
「お、俺…?」
小次郎は戸惑い声を出す。
「小僧はお前以外いないだろう。…お前、本城常光様にどことなく似ておるな。まさか、本城様の三男坊か?」
おっさんに聞かれたとき、小次郎は閃いた。おっさん達を仲間にいれる方法と、おっさん達の心を救う方法を。
「ああ、俺の名は本城小次郎だ。本城常光の三男だ。」
この時、小次郎は自分でも驚くほど冷静に嘘を言った。
バレたらおっさん達の信頼を失うが、この嘘によっておっさん達が小次郎の配下になってくれたら良いと思った。
この嘘をついた時、秀綱も意外と冷静であった。
恐らく小次郎ならハッタリかまして、この状況を何とかするだろうと思っていたのだろう。
小次郎の言葉を聞いたおっさんは少し喜び、そして言う。
「やはり本城様の三男坊か。行方不明と聞いていたのだが生きていたのだな…。」
おっさんは「ほっ」としたのだろう。明らかに気が緩んでいた。
これは仲間にするチャンスと思った秀綱は早速おっさんに渡す。
「お主に金を渡しておこう。せっかく本城殿のご子息に会ったのだ。この機会に秋上宗信と挙兵し、本城家を再興させるのだ。私たちは前主君義久とは違い、家臣を決して裏切らないっ。」
そう言い、秀綱は帰り仕度をする。
帰る前に小次郎の耳元に小さい声でいう。
「後は上手くお前が口説き落とせ。私はこれで帰るからな。」
「え…?俺を一人にするのか?」
少し不安になる小次郎であったが、秀綱は小次郎の声を無視して帰った。
おっさんと二人きりになった小次郎は勢いでさっさと仲間にしようと思った。
「あのさ、俺たちと一緒に打倒毛利だ。毛利を倒して尼子再興、そして我らが本城家を再興しようじゃないか。」
少し不安気味に言うが、とにかく今はこのおっさんを仲間に入れたい。
おっさん達は秋上隊の連中と同じくらい強い兵隊だと思う。
「まぁ良かろう。しばらくは小次郎様に従って尼子の為に、本城家の為に戦いましょう。だが、尼子が配下の武将を見捨てるような事が起きたら、どうするか考えねばならないがね。」
おっさんは席を立つ。
「我々はこれから準備をするので小次郎様は今日はもうお帰りください。私たちは明日の夕方には秋上隊に合流します。」
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どうやら何とか口説き落とせたみたいだ。だが、小次郎はこのおっさん達を上手く扱えるのだろうか?
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