シカノスケ

ZERO

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戦国時代の冬

秘密の共有

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俺はその後しばらくして寝てしまった。




目を覚ましたのは夜の8時だ。

昼の12時くらいから飲み始めて、俺が酔い潰れて寝たのが1時間後だったはずだ。

随分寝てしまった。

俺はゆっくりと起き上がるが頭が痛い。

酒を飲みすぎてしまったみたいだ。



周りを見るとみんな酔い潰れている。

ただ1人鹿之助だけは酔っていないみたいだ。


鹿之助は俺が起きたのに気付き声をかけて来た。

「グッスリとていたな小次郎。体調は大丈夫か?」


「少し頭が痛いけど大丈夫だ。それより酒宴に来た人みんなが酔い潰れて寝ているのか?」

俺は頭を抑えながから聞く。



「いや。隠岐為清っていう巨漢の男がいただろう。アイツだけは別室で静かに酒を飲んでいるよ。」


隠岐為清…毒殺しなければならない奴だ。

奴は酒が好きみたいだから、殆どの人が寝ているんだ。これを機会に毒殺を試したい。



だが鹿之助は俺の考えていることを察したのか聞いてくる。

「誰か毒殺するのか?」

俺はそれを聞いてギクッとなった。


暗殺がバレたのか?しかしどうやってバレたのだろう?


この時の俺はかなり動揺していた。


その時鹿之助が俺が持っていた毒の入ったビンを出した。


「お前が寝ているときにこれを見つけた。これは南蛮の毒でな。人間が服用すると約一週間で死んでしまう遅効性の毒なんだ。小次郎、君は隠岐為清を暗殺するつもりだろう?」


「なぜそれを知っている?」


鹿之助は笑いながら言う。

「フフッ…小次郎、君は顔に出過ぎだ。あの時、隠岐の弟と話した後に隠岐為清を睨んだだろ?殺気を感じたぞ」


さすがは山中鹿之助だ。

酒の席に居ながらよく周りをみている。

俺は観念して謝ることにした。だが鹿之助が言う。


「実は私も隠岐為清を暗殺したいと思っていた。」


「えっ?」

予想外の言葉にビックリした。

俺は怒られると思っていた。



「なんで殺すのか、ここでその話をするのはアレだ。他の部屋で話そう。」


鹿之助はそう言い、話す場所を変える。





鹿之助に連れられて来られたところは沢山の書物が置かれている部屋だった。


「これを見てみろ。」

鹿之助は沢山ある中から1つの書状を取り出して俺に渡す。



だが、漢文ばかりで何が書いてあるのか分からない。

「漢字ばかりで何が書いてあるか分からないんだけど…」

俺は苦笑いで書状を鹿之助に返す。



鹿之助は書状を持ち言う。

「これには隠岐為清が吉川元春と通じている事実が書かれている。そしてもう1つの書状には我々に対し不満を持っている事が書かれている。」

そう言い鹿之助はもう1つの書状を見る。



「以前から隠岐為清は私や叔父上を嫌っていて謀反の疑いがあった。毛利との内通している証拠が揃った今、排除せねば挙兵したときに困る。だから小次郎、君がこの毒を飲ませて殺すのだ。安心しろ。この毒は遅効性だから死ぬのに一週間はかかる。お前は疑われないさ。」



なるほど、元々隠岐為清は謀反の疑いがあったのか。


「分かった。やるよ」

俺は鹿之助の隠岐為清に毒を盛る指示を承知した。


本当なら暗殺することを誰にも言わないつもりだったが鹿之助も同じ考えの様で良かった。


秘密を共有する人がいるだけで心強い。


俺は早速、隠岐為清が飲んでいる部屋に足を運んだ。
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