シカノスケ

仇敵との同盟

宗信の不安

温泉から出た小次郎達は晩御飯の海鮮料理を食べる。


新鮮な魚。まだ、この時代は海も汚れていないので魚も美味しく感じる。


せっかくの御馳走なので小次郎達は料理を食べながら酒も飲む事にした。


ここの宿は高級な宿なので置いている酒も一級品である。

｢この酒なかなか旨いな。｣

小次郎は久々の酒に酔いしれる。


現代世界ではあまり酒は飲んでいなかったが、そんなお酒初心者の小次郎でもこの酒は旨いとハッキリと感じた。


｢そりゃ公家をおもてなしする宿だからな。ここには粗末な酒なんか置いていないぞ？｣


そう言い秀綱は酒を口に運ぶ。


そして酒をグイッと飲み干す。


｢秀綱さんお酒注ぎましょうか？まだ飲むんですよね？｣


｢ああ。私は酒が大好きだ。だから一緒に飲める仲間が出来て嬉しい。｣


秀綱は再び酒を口に運ぶ。


実は秀綱は酒が大好きだが、尼子の重臣に酒が強い奴が居ないため、酒に強そうな小次郎と飲めて嬉しいのだ。


｢小次郎さん、お酒は程々にしてくださいね。お酒が原因で亡くなる人もいるので体に気を付けてくださいね。｣

心配そうに小次郎に言う宗信。






そして食事が終わり、秀綱と小次郎は酔い潰れて寝てしまった。



宗信は一人寂しく夜空を見上げる。


宗信は体が弱い為、あまり酒が飲めない。

その為、酒の席では酔い潰れたりしないが他の人たちが酔い潰れてしまう。


そうなると宗信は毎回、一人で寂しそうな顔をして夜空を見上げる。




一人になると色々と不安なことも頭を過るのだろう。


｢私達はきっとこの先、幾多の困難があると思いますけど、私達は決して挫けません。あきらめません｣


宗信は空を見上げ、三日月に言う。



宗信はどうやら三日月を信仰しているみたいで、これは鹿之助の影響らしい。




宗信の場合は三日月に言うことで不安が消し飛ぶのだろう。




尼子の残党は来年には挙兵をする。


来年の今頃私達は生きているのだろうか？


出雲を奪還できているのだろうか？


宗信はとても不安そうに三日月を見る。


ただ言えるのは今この時を楽しく過ごすことだ。


これから挙兵をするんだから挙兵をするまでの間を楽しもう。



そして宗信は布団に入り、いつの間にか寝てしまった。