シカノスケ

ZERO

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戦国時代へ

戦うためのトレーニング

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そして昼になり、みんなが集まってきたらランニングが始まった。


山を神社から少し離れた先にある山を走りながら登る。


結構ハードな練習であるが現代で言うところ基礎練習みたいなものだ。


この練習には女の子の宗信も参加するみたいである。



そして、みんな走る。


最初は小次郎もみんなに付いて行けていた。

だが山を登る頃には後ろの方でヘロヘロになりながら走っていた。


「(てか、みんな走るの速すぎる…。運動している奴らより体力あるんじゃね?)」

心の中でそう言いながら走る小次郎。


どうやらおっさん達も宗信も現代人より体力があるみたいである。


いかに現代人に体力が無いのかよく分かる。



しかし、この山を登りきれば休憩できる。

あともう少し…後少しなんだ…。








そして、なんとか無事に登りきった小次郎。

小次郎は汗だくでフラフラしている。


「兄ちゃん、ようやく着いたな。ほれ、水を飲め。」

おっさんに水を渡されて有り難く受けとる小次郎。

もちろん水は一気飲みした。


どうやら、この水はこの山で採れる水らしい。

他の隊のおっさん達も水を採っている。



そして、少し休憩を取った後、再び練習が始まる。


その前に小次郎は宗信から渡された。

「小次郎さんこの鎧と兜をあげます。」


小次郎は立派な鎧を渡された。


素人目にもはっきりと分かる。

明らかに他の鎧とは違う高価な鎧であった。


「こんなに高価そうな鎧を俺に?」


「はい。鹿之助さんから渡すように言われたのです。今から始める練習は鎧を付けてやります。」



そして鎧を付ける小次郎。

鎧の付け方がよく分からず宗信に手伝ってもらいながら装着した。


「では練習を始めたいと思います。」


どうやら今度の練習は鎧着用で剣道みたいな勝負をするみたいだ。


鎧を着た為、とても動きにくい。

これは動きにくい鎧を着て、戦うのに慣れる練習だ。


武器は竹刀を渡された。




「じゃあ小次郎さんは私とやりましょうか」


小次郎は相手が誰もいないので宗信と戦うことになった。


宗信は巫女の服の上から鎧を着ている。

巫女装束でも動きにくいのに、その上に鎧を着るとか大変だよな。


そして、竹刀を構えた小次郎はジリジリと宗信に詰め寄る。


実は小次郎は高校の時に武道の授業で剣道を選択していた。


もちろん下手くそであったが、それでも剣道の動きとか作法ぐらいは知っているつもりだ。





小次郎はゆっくりと宗信に詰め寄るが、とても動きにくい。

鎧を着ているから、いつもより重く感じるのである。


それでも、強引に動いて宗信に攻撃をする。


その時である。

『バシーン』

大きな音が聞こえた。

小次郎が宗信に竹刀で頭を叩かれたのである。


「ちょっ!ちょっと痛いんだけど!」

だが音の割りにはそこまで痛くなかった。


たんこぶが出来るような痛みではない。

小次郎が大袈裟に痛がっているだけである。




「無警戒に近寄りすぎです。もう少し私の動きや表情をよく見て!そしてよく考えて攻撃してください。」


確かに小次郎は無警戒過ぎた。

ただ近付いて攻撃をするだけと簡単に考えていた。


しかし剣道や実際の一騎討ちでは相手の表情をよく見ること、これがとても大事なのである。



基本的に勝負事は心理戦だ。


そして相手の表情から相手の心理を予想して戦うこと、これが大金を賭けたギャンブルや命を賭けた勝負事では重要なのである。



戦でみんなと戦う場合ならまだしも、隊からはぐれて一人になった時は敵に襲われても誰も助けてくれない。


今回の練習は一人の時にどこまでやれる様になるかである。






しかし、宗信は良い動きをする。

素人目にも分かるプロの動きだ。


その後、みんなは練習を夕方までした。


小次郎は結局、宗信から一本取れずにボコボコにされた。


「小次郎さんはもう少し筋肉付けた方が良いですね。あと竹刀をもっと振り込んでください。今のままでは竹刀の動きが遅すぎて簡単に避けられちゃいますよ。」



宗信は今日の練習で小次郎の欠点を見つけた。

それは体力不足、筋力不足である。



それを聞いた小次郎は静かに頷いた。


今日の練習で普段運動をしていない小次郎は疲れ果てている。



そしてこの後、ここから集落まで走って帰るのである。


家に帰るまで体力が持つかどうか不安である。


しかし、明日からはこの練習メニューをこなして行かないと駄目だ。


この1日の練習は基礎練習みたいなもの。

足軽達の必要最低限の体力を付けるための練習なのである。






そして小次郎は死に物狂いで走って家に帰った。
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