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夜の泉
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真夜中。
早い時間に眠ってしまったから、そんな時間に目を覚ました。
(・・・あっ、泉で、ママにおてがみ鳥送ろう!)
ベッドから降りて、ドアに手を掛ける。けれど。
「お出かけすゅときは、おしたく!」
リーナが言ったこと、守らないと。
と、ヒースヴェルトの荷物が詰めてあるタンスを引っ張り、洋服を出す。
「いつもは、リーナが着せてくれゅんだけろ。
ひーたんも、じぶんでーできるもんね」
もたもた、とパジャマを脱いで床にぽい、と投げる。
「ぇっとぅ~、こえは、ずぼんよね。足にはくょー。
こぇはー、リーナが言ってた、ちゅにーく!」
深緑のチュニックと、黒い七分丈パンツを履いて、今度こそドアのそとに出る。
がちゃん、とドアノブの音がしたから。
「ヒースヴェルト様!いかがなされました!?」
隣の部屋から、ディランが出てきた。
「えぇっ?すごーい!起きてた!」
「えぇ。少し考え事してたんで。・・・それで、こんな夜中に、どうされたのです?何で着替えているのか、気になりますねぇ?」
嘘だった。実は隣の部屋でヒースヴェルトがベッドから降りた時から、気づいていた。
「ふふっ。泉に行くの。ママにおてがみ鳥、送ろうと思ったよ。夜なら~、人にもあわなぃぇしょ?」
すごく良い案でしょ!と、すこし胸を張って威張る。
「泉に行きたいのか・・・。俺も付き合っていいですか?」
「ぅぇ?一緒行く?いいよ~。夜のおさんぽ、楽しぃね!」
ふわっと笑う。廊下で少し待つように言うと、ディランはいつもの大剣を背中に担いで出てきた。
「あっ。その飴、ちょうしぃーは、どう~?」
以前、壊れてしまう寸前だった緋の砡欠片に、虹の砡の欠片を融合させたもの。
「えぇ。とても展開しやすいです。何故か以前よりもしっくりくるというか。」
ホテルを出て、街灯に照らされた街道を歩く。
「良かったねぇ。ママが、ゆめで、言ってたんよ。人のかゃだには、ぇぇと、なんゃっけ。あ~・・・あ、ぃしょー?あるんよ。」
「相性?展開率のことか・・・。」
確かに、人それぞれ四つの色と相性はある。ディランは飛び抜けて《緋》の相性が一番良い。
フォレンは《蒼》が、リーナとアシュトは《翠》。
リーナについてはバランス型で、他の色の機械導具もある程度使える。
「ママのこの飴はねぇ、あぃしょー?上げゆんてさ。良かったねぇ!あぃしょー、バッチリね!」
「砡を融合させると・・・展開率を、底上げする・・・?」
だから、以前より《緋》に対する展開率が強化された。
もし、そうだとしたら大魔境で発見した新しい砡の欠片は、物凄い力を秘めているとこになる。
でも。
(おそらく、あの特別な砡の色は、ディーテ様がヒースヴェルト様のためだけに用意した砡の欠片だ。
自然に生まれ出てくる砡の欠片とは違う。奪われない限り、人々の手に渡ることは、まず無いだろう)
それなら、あと1ヶ月と少し守りきれば良い。
「絶対、守ってみせるよ。」
この任務を完遂させる。最愛の親元に返すまで。
「んぅ?なんのことー?」
「いいえ。何でも。さ、泉に行きましょっか!明日は朝から大浴場で遊ぶんですから、早く済ませて眠りましょう?」
「あい!!お約束、もんねぇ♪」
真夜中の神泉に着くと、昼間と違って金の粒子は太陽光に邪魔をされないため、大小様々な大きさで漂っているようで、まるでホタルの演舞のように見えた。
「美しい、な。」
「ママのー、金のつぶつぶをね、使うんよ。
ひーたんには、まだこのつぶつぶは、じゆーに、出せんにゃよ。」
ちょこん、と泉の畔にしゃがみこんで、両手を伸ばす。すると、光の粒子はふわふわと、ヒースヴェルトの周りに集まって、彼の周りだけが真昼のような明るさになった。
『言霊を。』
神語で神の光を操る。それは自身の発する声に神力がなければならない。
人の世の神子風情では、到底扱えないだろう。
『ママ、お肉と、蒼くてキレイな飲み物を貰ったよ。とっても美味しかったの!ママと一緒に食べたいな。』
今日の、素晴らしかった思い出を言霊に乗せた。
そして。
『・・・ねぇ、どうしてココには、ママの他にお手伝いする人がいないの?天使さんが一人もいないの。なにか、理由があるの?
・・・僕に、その役目ができる?ママの役に立ちたいよ。ママ、大好き!!』
ふわり、と光を丸めて、ふぅっと息を吹きかけると、可愛らしい金色の小鳥が生まれた。ディランも見たことのある、あのガラス細工の小鳥のような。
(なるほどね。これが《おてがみ鳥》なのか・・・。)
小鳥は羽ばたいて、天高く飛んでいった。
「ぇへへ。できちゃった!!ひーたん、言っちゃった、きゃあ!!」
恥ずかしそうに、嬉しそうに。
「ヒー様?」
「えへへー、ないしょ!」
ディランは、正直なところ神力が込められた彼の言葉は殆ど聞き取れなかった。
だから、彼の決意とか。このときに彼の運命を決めてしまう程の内容を話していることにすら、気づけなかった。
早い時間に眠ってしまったから、そんな時間に目を覚ました。
(・・・あっ、泉で、ママにおてがみ鳥送ろう!)
ベッドから降りて、ドアに手を掛ける。けれど。
「お出かけすゅときは、おしたく!」
リーナが言ったこと、守らないと。
と、ヒースヴェルトの荷物が詰めてあるタンスを引っ張り、洋服を出す。
「いつもは、リーナが着せてくれゅんだけろ。
ひーたんも、じぶんでーできるもんね」
もたもた、とパジャマを脱いで床にぽい、と投げる。
「ぇっとぅ~、こえは、ずぼんよね。足にはくょー。
こぇはー、リーナが言ってた、ちゅにーく!」
深緑のチュニックと、黒い七分丈パンツを履いて、今度こそドアのそとに出る。
がちゃん、とドアノブの音がしたから。
「ヒースヴェルト様!いかがなされました!?」
隣の部屋から、ディランが出てきた。
「えぇっ?すごーい!起きてた!」
「えぇ。少し考え事してたんで。・・・それで、こんな夜中に、どうされたのです?何で着替えているのか、気になりますねぇ?」
嘘だった。実は隣の部屋でヒースヴェルトがベッドから降りた時から、気づいていた。
「ふふっ。泉に行くの。ママにおてがみ鳥、送ろうと思ったよ。夜なら~、人にもあわなぃぇしょ?」
すごく良い案でしょ!と、すこし胸を張って威張る。
「泉に行きたいのか・・・。俺も付き合っていいですか?」
「ぅぇ?一緒行く?いいよ~。夜のおさんぽ、楽しぃね!」
ふわっと笑う。廊下で少し待つように言うと、ディランはいつもの大剣を背中に担いで出てきた。
「あっ。その飴、ちょうしぃーは、どう~?」
以前、壊れてしまう寸前だった緋の砡欠片に、虹の砡の欠片を融合させたもの。
「えぇ。とても展開しやすいです。何故か以前よりもしっくりくるというか。」
ホテルを出て、街灯に照らされた街道を歩く。
「良かったねぇ。ママが、ゆめで、言ってたんよ。人のかゃだには、ぇぇと、なんゃっけ。あ~・・・あ、ぃしょー?あるんよ。」
「相性?展開率のことか・・・。」
確かに、人それぞれ四つの色と相性はある。ディランは飛び抜けて《緋》の相性が一番良い。
フォレンは《蒼》が、リーナとアシュトは《翠》。
リーナについてはバランス型で、他の色の機械導具もある程度使える。
「ママのこの飴はねぇ、あぃしょー?上げゆんてさ。良かったねぇ!あぃしょー、バッチリね!」
「砡を融合させると・・・展開率を、底上げする・・・?」
だから、以前より《緋》に対する展開率が強化された。
もし、そうだとしたら大魔境で発見した新しい砡の欠片は、物凄い力を秘めているとこになる。
でも。
(おそらく、あの特別な砡の色は、ディーテ様がヒースヴェルト様のためだけに用意した砡の欠片だ。
自然に生まれ出てくる砡の欠片とは違う。奪われない限り、人々の手に渡ることは、まず無いだろう)
それなら、あと1ヶ月と少し守りきれば良い。
「絶対、守ってみせるよ。」
この任務を完遂させる。最愛の親元に返すまで。
「んぅ?なんのことー?」
「いいえ。何でも。さ、泉に行きましょっか!明日は朝から大浴場で遊ぶんですから、早く済ませて眠りましょう?」
「あい!!お約束、もんねぇ♪」
真夜中の神泉に着くと、昼間と違って金の粒子は太陽光に邪魔をされないため、大小様々な大きさで漂っているようで、まるでホタルの演舞のように見えた。
「美しい、な。」
「ママのー、金のつぶつぶをね、使うんよ。
ひーたんには、まだこのつぶつぶは、じゆーに、出せんにゃよ。」
ちょこん、と泉の畔にしゃがみこんで、両手を伸ばす。すると、光の粒子はふわふわと、ヒースヴェルトの周りに集まって、彼の周りだけが真昼のような明るさになった。
『言霊を。』
神語で神の光を操る。それは自身の発する声に神力がなければならない。
人の世の神子風情では、到底扱えないだろう。
『ママ、お肉と、蒼くてキレイな飲み物を貰ったよ。とっても美味しかったの!ママと一緒に食べたいな。』
今日の、素晴らしかった思い出を言霊に乗せた。
そして。
『・・・ねぇ、どうしてココには、ママの他にお手伝いする人がいないの?天使さんが一人もいないの。なにか、理由があるの?
・・・僕に、その役目ができる?ママの役に立ちたいよ。ママ、大好き!!』
ふわり、と光を丸めて、ふぅっと息を吹きかけると、可愛らしい金色の小鳥が生まれた。ディランも見たことのある、あのガラス細工の小鳥のような。
(なるほどね。これが《おてがみ鳥》なのか・・・。)
小鳥は羽ばたいて、天高く飛んでいった。
「ぇへへ。できちゃった!!ひーたん、言っちゃった、きゃあ!!」
恥ずかしそうに、嬉しそうに。
「ヒー様?」
「えへへー、ないしょ!」
ディランは、正直なところ神力が込められた彼の言葉は殆ど聞き取れなかった。
だから、彼の決意とか。このときに彼の運命を決めてしまう程の内容を話していることにすら、気づけなかった。
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