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今宵も眠れぬ、眠り姫

今宵も眠れぬ、眠り姫 二

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 座った王子に跨り、指でほぐされている間、何度も口づけを交わす。
 深く、啄む、舐める、何をしても満ちて溢れた心からでる疼きを鎮めることは出来なかった。

「んっ サフォーさ、まっ」

 腰を強く引き寄せられ、ズブズブとゆっくり高ぶった芯へ沈んでいく。
 熱かった。痛みよりも私を支配するのは、王子の優しくて翻弄される甘い声。

「私がせめて……女性ならば」

 王子の腹に両手を置いて、奥へ奥へ入っていく芯の熱を感じながら涙が零れ落ちる。
 女性ならば、王子の子どもを授かれたのに。
 こんなにも優しくて、美しい王子を私一人で支えられるのだろうか。
 せめて、女性であったなら――。


「俺の子どもが欲しかったと言ってくれるのか」
「勿論です」
「俺は、お前だけで満たされる。気持ちだけで嬉しい」

 愛している。
 呪文のように王子が囁くと、私の熱も下半身へ移っていく。
 ぶつかり、混ざり合う私達の気持ちは、身体だけでは満たせない。

「ぁぁっサフォー、様っ」
 ぱちゅんと濡れた音を響かせ、何度も奥まで突き刺しながらも、気持ちは高ぶり何度放ってもまた蜜をあふれさせた。

「好きです。私も心より愛しています」

 逃げた自分に恥じないように、正直に言おうとして王子の目を見ながらそう言うと、今にも泣き出しそうな王子が、私を腰を深く捉えた。


「シアン、――俺も、だ。永遠に――」
「ひゃぁあぁぁっ」


 何度も何度も確かめ合い、お互いの熱を感じながら一緒に倒れ込む。
 この行為は、愚かなのかもしれない。
 何度も何度も傷ついても、やはりお互いが必要で好きで、求めてしまう。
 好きだったけれど、愛していたけれど、どうしても素直になれなくて擦れ違った分、何度も何度も求めて、倒れるように朝を迎えていた。
 王子が自分を、壊れないように優しく触れてくるのが、堪らなく愛おしかった。


「目覚めてくれてありがとう、シアン」


 20年眠って起きた後、辛いことしか無かったように感じていた自分に、ようやく他の事を見れる余裕が生まれた。
 それはきっと、全ての問題を王子が消し去ってくれたからなのだろう。
 そう思うと、更に愛おしくて、もう指一本動かすのさえ億劫だったが手を伸ばし抱きしめた。


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