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一、蕾
一、蕾 24
しおりを挟む「番にしたくて頭を押さえつけて、腰を振っていた貴方の発言なんて信用できないけど」
騙されそうになって、慌てて振り払った。嘘だ。花に酔って惚れていると勘違いしているだけなのだから。
「今はそう思われても仕方ない。ごめんね。身勝手で」
バスローブを脱がずにバスタブにに入ってくると、お湯が踊って溢れていく。
二人では狭いその中で、竜仁さんが座った上に座らされた。
反応している下半身を押し付けられ、下着越しに僕の蕾へ宛がう。
「やだっやっ」
腰を押さえつけられ、逃れない。
バシャバシャと水を掻き上げる僕の手が滑稽だった。
「痛い。まだ痛い」
首を振る。
本当は痛みだけではないのを知っている。
それが怖くて痛いと理由をつけた。僕さえ触れたことのない一番奥を、尖った熱で擦られる。
それが痛みではなく快楽で震えていくのを、知っている。
「花をもう食べないと誓う?」
僕が首を振るのを切なそうに顔を歪め、彼はあやすように聞いた。
僕を同情しているならこんな矛盾した行為を止めるべきだ。
「こうやって僕を支配している貴方に、逆らえないんでしょ」
この人は僕を今から抱く。
泣き出しても、吐いても、怖がっても暴れても抱く。
そんな強い意志が感じられるので、僕は笑ってやった。
「支配が趣味のアルファに誓うなんて、死んだ方がましじゃないの」
心までは支配されてやれない。
心までは、どんなに惨めに追い詰められてもこの人の物にはならない。
「じゃあ今は、身体を治すことを優先させてもらうね」
急に彼の瞳から光が消え、冷徹な深い色に変わった。
そのまま彼は下着をずらして、硬く熱を帯びた凶器を取り出した。
息を飲む暇もなく、下から穿つ。
「ーーひ、っ」
昨日みたいな丁寧な愛撫もなく早急に挿入され、思考だけを奪われる。
昨日、感じる場所はバレてしまっていたので、そこを押すように動く度に、お湯が溢れていく。
情けない声を上げないように、必死に口を押えた。時折漏れる声は、快楽に怯えている。今まで知らなかった気持ちよさに必死で抵抗しているんだ。
気づきたくない、気づいたらいけない。ただ、乱暴ではなく、愛情を錯覚してしまう彼の指先が憎かった。
何度も、昨日噛んだ項を舐められ、甘噛みされ、番だと思い知らされる。
狂っていく。狂わされていく。
結局オメガは、アルファに敵わないのだろうか。いいようにされ、一方的に番にされ、そして匂いで支配されてしまう。
この人のことを何も知らないのに。少し話しただけで信用してはいけないのに。
まるで恋人のように甘く触れてくる指先が、僕の思考を揺さぶっていく。
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