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1章.はちゃめちゃ人生ゲームの始まり

夢ですか?

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 きつく瞼を閉じていてもなお目を射るような強い光が弱まってきたのを感じて、花梨は恐る恐る目を開けた。
 そして、そこに広がる景色に目を見開く。


「ここ、どこ?」


 そこは、さっきまでいたはずの見慣れた自宅の一室ではなかった。それどころか、建物の中ですらない。
 雲一つない青空の下、石で造られた道のど真ん中に、花梨は裸足はだしで立っていたのである。

 戸惑った花梨は空を仰ぎ、足を見下ろし、目を閉じて ─── 自分なりの結論を出した。
 これすなわち夢である、と。

 だって、そうでなければおかしい。瞬間移動なんて厨二病的な能力なんて持っていないし、こんな非現実的なことが実際に起こるはずがない。小説でもあるまいし。
 そうひとりで納得して、花梨は辺りを見渡した。
 元々自分はあまり夢を見ないタチなので、ここまではっきりとした夢は貴重だ。覚醒夢というヤツだろうか?
 なんだかワクワクしてきて、ご機嫌に花梨は笑った。

 そのとき、目の前を獣の耳と尻尾がある女性が横切っていった。その後を追って、妖精のようなものが飛んでゆく。
 道端では草花がお喋りを楽しんでおり、小さな毛玉のような生き物がゆらゆらと宙を漂っていた。
 あまりに現実離れしたその光景に、目が離せなくなる。

 何と不思議で奇妙でおかしくて、
 そして何と素敵な世界なのだろう。

 目が覚めたら絶対に冬真に話してやろう。きっと喜ぶに違いない。なにせ、あんなに楽しそうに人生ゲームで遊んでいたのだから ─── 。

 そこまで考えて、ふと花梨は首を傾げた。人生ゲーム?

 一瞬何のことだか自分でも分からなくなったが、すぐに思い出した。
 雑貨屋もとい骨董屋で買った、珍しい人生ゲーム。その世界観に、驚くほどここはよく似ていた。

 つまりあれか、久々に遊んだ人生ゲームが思った以上に面白かったから、その名残でこんな夢を見たということか。それにしても驚きの再現率である。
 なんて一人で感心していたとき、


「んなトコに立ってんじゃねぇよ! 邪魔だ、どきな!」


 ふと後ろから誰かにぶつかられて、花梨はどんっと尻餅をついた。見上げると、緑色の肌をした大男が立っている。
 咄嗟に「ごめんなさい」と謝ると、彼は不機嫌そうに鼻を鳴らして立ち去って行った。
 花梨はその後ろ姿を恨みがましく見つめる。

 確かに、道の真ん中に立っていたのは悪かったと思う。だが、助け起こすくらいはしてくれてもよかったのではないか。強かに打った尻が地味に痛い。

  ─── 痛い?

 ハッとして花梨は目を見開いた。慌てて自分の頰をつねる。そしてそこに確かに痛みが広がるのを感じて、混乱の渦に飲み込まれた。

 痛みを感じるということは、これは夢ではないらしい。だがこれが夢でないと言うなら、

























  ─── ここは一体、どこなんだろう?










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