155 / 173
後編#3
樹の考え
しおりを挟む
目を覚ますとDREAMのカウンターだった。座りながら寝てしまっていたらしく毛布がかけられている。
あぁ、飲みすぎてまた遅くまでやってしまって静火か唯がかけてくれたのか。
もう外は明るい。明るいというより真っ昼間だ。今何時だ?
静火と唯が店の掃除をしている。ということは2時?3時か?
樹がぼーっとしていると唯がやっと起きたらしいことに気付き近づいてきた。
『ちょっと樹ちゃん!』
何やら怒っている。
『あんたしっかりしなね!毎日毎日朝まで飲み続けて昨日も客相手にケンカ始めてさぁ!気持ちは分かるけどね、いつまでもこんなじゃあんた人間ダメになるよ!分かってるの!?落ちる時は早いんだよ!?あっという間だよ!?』
1個下の唯がここまで怒っている。無理もない。ここのとこ彼女の言う通り酒一直線だ。客とケンカしたこともすでに覚えていない。それももう初めてのことではない。とにかく樹は荒れていた。
『優子…』
樹がボソッと言うと思わず唯が顔をはたいた。
『優子さんはもういないんだよ!あんたをかばって死んだんだろ!?』
唯が樹に手をあげるのは初めてだ。
『何が神奈川一カッコいい女だ!あんたいつも言ってたじゃんさ!樹ちゃん、あんた鬼音姫の総長でしょ!?これ以上優子さんをガッカリさせんなよ…』
唯が涙ぐむと見ていた静火が間に入って慰めた。
『樹。まだ整理できないのは分かってるから、ゆっくり考えてくれればいいと思ってるからね』
静火は唯の頭を優しくなでながら言うが、でもどこか感情を抑えているのが樹には分かった。
『でもあたしたちはさ、優子の最後の言葉も聞いてあげれなかったんだよ。唯の気持ちもちょっとずつでいいから考えてあげてね』
彼女も相当悔しい気持ちがあるはずなのに気を使ってそれを見せないようにしてくれた。
いや、気を使わせてしまった。
『あぁ、くそ…マジでお前らの言う通りだな』
樹はタバコに火をつけた。このままじゃ死んだ優子にまで心配されたままだ。
『静火、唯。ちょっと一緒に考えてくんねーか?』
『え?』
『何をさ』
『優子の、あいつの特攻服だよ』
樹は今考えていることを2人に話した。
3人はすぐに準備に取りかかった。
あぁ、飲みすぎてまた遅くまでやってしまって静火か唯がかけてくれたのか。
もう外は明るい。明るいというより真っ昼間だ。今何時だ?
静火と唯が店の掃除をしている。ということは2時?3時か?
樹がぼーっとしていると唯がやっと起きたらしいことに気付き近づいてきた。
『ちょっと樹ちゃん!』
何やら怒っている。
『あんたしっかりしなね!毎日毎日朝まで飲み続けて昨日も客相手にケンカ始めてさぁ!気持ちは分かるけどね、いつまでもこんなじゃあんた人間ダメになるよ!分かってるの!?落ちる時は早いんだよ!?あっという間だよ!?』
1個下の唯がここまで怒っている。無理もない。ここのとこ彼女の言う通り酒一直線だ。客とケンカしたこともすでに覚えていない。それももう初めてのことではない。とにかく樹は荒れていた。
『優子…』
樹がボソッと言うと思わず唯が顔をはたいた。
『優子さんはもういないんだよ!あんたをかばって死んだんだろ!?』
唯が樹に手をあげるのは初めてだ。
『何が神奈川一カッコいい女だ!あんたいつも言ってたじゃんさ!樹ちゃん、あんた鬼音姫の総長でしょ!?これ以上優子さんをガッカリさせんなよ…』
唯が涙ぐむと見ていた静火が間に入って慰めた。
『樹。まだ整理できないのは分かってるから、ゆっくり考えてくれればいいと思ってるからね』
静火は唯の頭を優しくなでながら言うが、でもどこか感情を抑えているのが樹には分かった。
『でもあたしたちはさ、優子の最後の言葉も聞いてあげれなかったんだよ。唯の気持ちもちょっとずつでいいから考えてあげてね』
彼女も相当悔しい気持ちがあるはずなのに気を使ってそれを見せないようにしてくれた。
いや、気を使わせてしまった。
『あぁ、くそ…マジでお前らの言う通りだな』
樹はタバコに火をつけた。このままじゃ死んだ優子にまで心配されたままだ。
『静火、唯。ちょっと一緒に考えてくんねーか?』
『え?』
『何をさ』
『優子の、あいつの特攻服だよ』
樹は今考えていることを2人に話した。
3人はすぐに準備に取りかかった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
庭木を切った隣人が刑事訴訟を恐れて小学生の娘を謝罪に来させたアホな実話
フルーツパフェ
大衆娯楽
祝!! 慰謝料30万円獲得記念の知人の体験談!
隣人宅の植木を許可なく切ることは紛れもない犯罪です。
30万円以下の罰金・過料、もしくは3年以下の懲役に処される可能性があります。
そうとは知らずに短気を起こして家の庭木を切った隣人(40代職業不詳・男)。
刑事訴訟になることを恐れた彼が取った行動は、まだ小学生の娘達を謝りに行かせることだった!?
子供ならば許してくれるとでも思ったのか。
「ごめんなさい、お尻ぺんぺんで許してくれますか?」
大人達の事情も知らず、健気に罪滅ぼしをしようとする少女を、あなたは許せるだろうか。
余りに情けない親子の末路を描く実話。
※一部、演出を含んでいます。
私たち、博麗学園おしがまクラブ(非公認)です! 〜特大膀胱JKたちのおしがま記録〜
赤髪命
青春
街のはずれ、最寄り駅からも少し離れたところにある私立高校、博麗学園。そのある新入生のクラスのお嬢様・高橋玲菜、清楚で真面目・内海栞、人懐っこいギャル・宮内愛海の3人には、膀胱が同年代の女子に比べて非常に大きいという特徴があった。
これは、そんな学校で普段はトイレにほとんど行かない彼女たちの爆尿おしがまの記録。
友情あり、恋愛あり、おしがまあり、そしておもらしもあり!? そんなおしがまクラブのドタバタ青春小説!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる