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第五章・木の精霊の国

124話・時の魔法?

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「あ、あの……」

 ぐぅぅぅぅぅ

 時が、凍った。そう、絶対零度ぜったいれいどの世界の様に。
 あれ、私、時の魔法が使えるみたい?

「あの! あの!」

 あまりの恥ずかしさに真っ赤になるのがわかる。

 ぷっと、三人が同時に吹き出した。
 アリスは必死に笑うのを堪えている。ルードは「申し訳、ござ、い、ませ、ん……」と、言いながら笑っている。スペードなんて、お腹を抱えて笑ってるし!!
 もう、もう! 穴があったら入りたい!

「そうだね、もうお昼ご飯の時間だし。何か、食べようか。動ける?」
「あ、うん」

 アリスが手を出してくる。私はその手をとって、ゆっくりと立ち上がった。
 さっきの言葉……。本気で受け取っちゃっていいのかな。
 少しドキドキしながら、アリスの顔を見ると、いつもの優しくて綺麗きれいな顔でふにゃりと笑った。


 ――私も、アリスを守る。アリスが剣なら、私は剣を守る鞘になるよ。

 ーーー

 水が湧きだす小さな泉と小川が流れる場所に着いた。

「水があるからここなら、火が使えるんだ」

 あたりはバーベキュー広場みたいになっている。

「木霊人はあまり食事をとらなくてもいいから、自由形式なんだ。たまに気が向いたら自分で獲物を獲ってきて、ここで焼いて食べる」
「じゃあ、まずは狩りから?!」
「それは大丈夫っす!」

 得意気とくいげにスペードが胸をはっている。

 ドーーン

 大量の食材が並んでいる。一部はすでにさばかれ済み!

「昨日の僕の頑張りっすよー」

 あれ、じゃあやることって……。もしかして。

「さ、皆で食べましょうっす。僕ももう腹ペコで死にそうっす」
「スペードは食べてないの?」
「はいっす。皆で食べようと思ってこんなに集めたんすから」

 ぐぅきゅるるる

 スペードの腹の虫君が盛大に鳴いていた。

「ごめんなさい、昨日一緒に食べられなくて」
「いいっすよー。リサはリサのやることがあったってだけっすから。それにここに残ったのは僕の都合っすからね」

 あれ、そういえば、水の結界をはればスペードも一緒にこれたんじゃ……。今更ながら、私は気がついた。

「リサにだけ教えた意味、わかったっすか?」

 だから、なんで心の中がって、あーーーーー!!
 もしかして、バカにされた? 気がつかないだろうって!?
 その通りですよ。今、気がつきましたよ!!

「スペードって、意地悪いじわるですね」
「途中で僕の可愛い姿が見たいとか言って、結界をとかれてもこまるっすからねー」

 ニヤニヤ笑う彼は、機嫌良さそうにジビエや野草を火にかけていた。
 私、そんなこと――、したかもしれないけれど!

「もう」
「リサちゃん、ボク達も手伝おう」
「私も手伝います」

 プンプンと怒った素振そぶりをしているとアリスとルードが隣に立って私を慰めてくれた。

「ご馳走になります。スペード!」
「はいっすよ。好きなのをどうぞ。リサ」

 それにしても、この量。全部食べきれるのかしら……?
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