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第三章・水の精霊の国
84話・克服したの?
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「あ…………」
目の前に広がる野菜パーティー。よりどりみどり、選び放題の野菜が並んでいる。
これは、特に嫌いなものがない私にはいいけれど、彼らは――。
パクパク
パクパク
あれ? 二人とも克服したんでしょうか。普通に食べてます。表情は硬いけれど。
好き嫌いなんて言ってられないという勢いで食べている。
とても良いことだ。うん。頑張れー。
「あ、ルードさん。一緒にタカマガハラまで行ってくれませんか?」
カシャーン
カチャーン
二人が同時に持っていたフォークを皿に落とした。
「リサちゃん?!」
「だって、連れて帰られたら困るんです! ちゃんと説明すればルードさん、わかってくれますよね?」
「……」
ポカーンと口をあけたままですよルードさん、大丈夫ですかー?
もう、魔法を使ったのはバレてしまっているのだから、きちんと理由を話せば、彼はカナちゃんのために手伝ってくれると思う。と、いうことで先手をうってみたのだけれど。
スッと落としたフォークを拾って、食事に戻るとルードは目を閉じながら言った。
「話を聞いてからです。隠さず話してください。私もきちんと聞いて、答えます」
「はい!」
「まずは、食事を終わらせましょう」
「あ、すみません」
黙々とルードは食べ進めていた。私もお腹がすいていたので美味しくいただいていたのだけど――。
アリスはとても複雑そうな顔をしていた。
ーーー
「ルードお兄さん!」
アミスとともにこの部屋にきたルミナが、ルードを見つけて嬉しそうに声をあげた。
よかった、目が覚めたのね。
「お知り合いだったのですか?」
アミスが首を傾げながら聞いてきた。
「えぇ、湖のほとりで一度お会いしましたね」
「ルミナ、この方達が貴女を助けてくれたのですよ」
「そうなのですか?」
「えぇ」
ルミナはヒーローを見るような目でルードを見ている。
「ありがとうございます!ルードお兄さん、リサお姉さん、猫耳のお兄さん」
頬をピンクにそめて、ルミナはペコリと可愛らしくお辞儀をした。
そう言えば、アリスはあの時居なかったから名前は知らないか。
「ボクはアリストと言います。無事でよかった」
「アリストお兄さん。ルードお兄さんとリサお姉さんのお友達ですか?」
「ボクはね、リサお姉さんの婚約者だよ」
パッと嬉しそうに彼女はアリスの話を聞いている。
「じゃあ、リサお姉さんとアリストお兄さんは結婚するのですね!」
「そうだよー」
いったい、子供と何を話しているんですか! ルードが呆れ顔になってますよ!!
「皆様、ハーフィ様、クレス様そして、陛下がお呼びです。よろしいですか?」
「はい」
この国の王様も一緒に居るの……! いったいどんな人なのだろう。
目の前に広がる野菜パーティー。よりどりみどり、選び放題の野菜が並んでいる。
これは、特に嫌いなものがない私にはいいけれど、彼らは――。
パクパク
パクパク
あれ? 二人とも克服したんでしょうか。普通に食べてます。表情は硬いけれど。
好き嫌いなんて言ってられないという勢いで食べている。
とても良いことだ。うん。頑張れー。
「あ、ルードさん。一緒にタカマガハラまで行ってくれませんか?」
カシャーン
カチャーン
二人が同時に持っていたフォークを皿に落とした。
「リサちゃん?!」
「だって、連れて帰られたら困るんです! ちゃんと説明すればルードさん、わかってくれますよね?」
「……」
ポカーンと口をあけたままですよルードさん、大丈夫ですかー?
もう、魔法を使ったのはバレてしまっているのだから、きちんと理由を話せば、彼はカナちゃんのために手伝ってくれると思う。と、いうことで先手をうってみたのだけれど。
スッと落としたフォークを拾って、食事に戻るとルードは目を閉じながら言った。
「話を聞いてからです。隠さず話してください。私もきちんと聞いて、答えます」
「はい!」
「まずは、食事を終わらせましょう」
「あ、すみません」
黙々とルードは食べ進めていた。私もお腹がすいていたので美味しくいただいていたのだけど――。
アリスはとても複雑そうな顔をしていた。
ーーー
「ルードお兄さん!」
アミスとともにこの部屋にきたルミナが、ルードを見つけて嬉しそうに声をあげた。
よかった、目が覚めたのね。
「お知り合いだったのですか?」
アミスが首を傾げながら聞いてきた。
「えぇ、湖のほとりで一度お会いしましたね」
「ルミナ、この方達が貴女を助けてくれたのですよ」
「そうなのですか?」
「えぇ」
ルミナはヒーローを見るような目でルードを見ている。
「ありがとうございます!ルードお兄さん、リサお姉さん、猫耳のお兄さん」
頬をピンクにそめて、ルミナはペコリと可愛らしくお辞儀をした。
そう言えば、アリスはあの時居なかったから名前は知らないか。
「ボクはアリストと言います。無事でよかった」
「アリストお兄さん。ルードお兄さんとリサお姉さんのお友達ですか?」
「ボクはね、リサお姉さんの婚約者だよ」
パッと嬉しそうに彼女はアリスの話を聞いている。
「じゃあ、リサお姉さんとアリストお兄さんは結婚するのですね!」
「そうだよー」
いったい、子供と何を話しているんですか! ルードが呆れ顔になってますよ!!
「皆様、ハーフィ様、クレス様そして、陛下がお呼びです。よろしいですか?」
「はい」
この国の王様も一緒に居るの……! いったいどんな人なのだろう。
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