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第三章・水の精霊の国
72話・ちゃんと休憩をしましょう
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「リサちゃーん!」
呼んでる声が聞こえたので、来た道を戻ると、小さな男の子を肩車しているアリスが私達を探していた。耳を男の子にクイクイと引っ張られている。
「アリスちゃん! こっちだよー!」
アリスはこちらに気がついてパッと笑顔になったと思ったら、次の瞬間不機嫌な顔に変わった。
「ボクが連れて行かれてるのに、ルードと……。追いかけてきてよ!」
無茶を言う。あの勢いに勝てる訳がない。さっきの人達や、ソーイの時みたいな。
「まあまあ、落ち着いて。呼ばれた用事はもう終わったの?」
拗ねながらしょんぼりしているアリスは、口を尖らせ答えた。
「見ての通りまだ途中だよ」
「だよね」
クスリと私が笑うと、アリスにも笑顔が戻った。
「アリにーちゃ、とんで! とんで!」
上に乗ってる男の子が、アリスに催促している。風の魔法のことかしら?
「よっし、いくよー!!風の精霊よ」
トンッと地面を蹴る。上に飛び上がった時、異変が起こった。
「ルード、ごめん! 緊急事態!」
アリスが叫ぶ。ルードはすぐに何が起こったのか理解して、風の魔法を発動させた。
「風の精霊よ!」
空中で、男の子を抱っこする形に変えたアリスが落下してきた。
ふわりと、ルードの魔法で落下する衝撃をなくした。
「ごめん。魔力、あまり回復してなかったみたいで、さっき遊んでた時もつかったからなぁ。マルもびっくりさせて、ごめんね」
男の子を撫でながら、アリスはとても眠そうにしている。
もしかして、魔力がつきてしまったのかな。そういえば、魔力をずっと使い続けていた気がする。
「まったく無茶をして、私が何とかしておきますから寝て下さい!」
「ごめんね、ルード。リサちゃんも……」
そこまで言って、アリスはコテリと寝てしまった。
「さて、どうしましょうか」
「ですねー」
困っていると、アリスに抱えられていたマルという少年がこちらにやってきて、私の袖を引っ張った。
「こっち」
指差しながら、私達を何処かへ案内したいようだ。
前とは逆に、ルードがアリスを背負って少年が指差す方に向かうことにした。
ーーー
パチリ
「あ、リサちゃんおはよー」
「もう、夕方だよ」
あれから、私達はマルのおうちにご厄介になった。お父さんはアリスを連れて行った一人だった。
「ルードは?」
「外でマル君達と遊んでる」
「そっか。ありがとう言わなきゃだなー」
なんだかんだ言って、アリスもルードも優しいしお世話焼きみたい。似てる所が多いから同族嫌悪だっけ? それで反発したりするのかな?
仲良くなったら、いいコンビになりそうなのに。剣と魔法も息があってたし……。
ぐぅぅ
え、私じゃないわよ?
「お腹、空いちゃった」
アリスがお腹を押さえている。今回はアリスの飼ってる腹の虫君だった。
「マル君のお母さんが、晩御飯作ってくれるみたい」
「やった!」
耳と尻尾がピーンと立って、急に元気になったアリスを見て、クスクスと笑ってしまった。
この後、沢山のお皿が並ぶテーブルの料理が野菜たっぷりだったのは言うまでもない。
ただ、アリスのところだけ別に肉料理が置いてあり、ルードの無表情な顔が少し可哀想に見えた。
呼んでる声が聞こえたので、来た道を戻ると、小さな男の子を肩車しているアリスが私達を探していた。耳を男の子にクイクイと引っ張られている。
「アリスちゃん! こっちだよー!」
アリスはこちらに気がついてパッと笑顔になったと思ったら、次の瞬間不機嫌な顔に変わった。
「ボクが連れて行かれてるのに、ルードと……。追いかけてきてよ!」
無茶を言う。あの勢いに勝てる訳がない。さっきの人達や、ソーイの時みたいな。
「まあまあ、落ち着いて。呼ばれた用事はもう終わったの?」
拗ねながらしょんぼりしているアリスは、口を尖らせ答えた。
「見ての通りまだ途中だよ」
「だよね」
クスリと私が笑うと、アリスにも笑顔が戻った。
「アリにーちゃ、とんで! とんで!」
上に乗ってる男の子が、アリスに催促している。風の魔法のことかしら?
「よっし、いくよー!!風の精霊よ」
トンッと地面を蹴る。上に飛び上がった時、異変が起こった。
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アリスが叫ぶ。ルードはすぐに何が起こったのか理解して、風の魔法を発動させた。
「風の精霊よ!」
空中で、男の子を抱っこする形に変えたアリスが落下してきた。
ふわりと、ルードの魔法で落下する衝撃をなくした。
「ごめん。魔力、あまり回復してなかったみたいで、さっき遊んでた時もつかったからなぁ。マルもびっくりさせて、ごめんね」
男の子を撫でながら、アリスはとても眠そうにしている。
もしかして、魔力がつきてしまったのかな。そういえば、魔力をずっと使い続けていた気がする。
「まったく無茶をして、私が何とかしておきますから寝て下さい!」
「ごめんね、ルード。リサちゃんも……」
そこまで言って、アリスはコテリと寝てしまった。
「さて、どうしましょうか」
「ですねー」
困っていると、アリスに抱えられていたマルという少年がこちらにやってきて、私の袖を引っ張った。
「こっち」
指差しながら、私達を何処かへ案内したいようだ。
前とは逆に、ルードがアリスを背負って少年が指差す方に向かうことにした。
ーーー
パチリ
「あ、リサちゃんおはよー」
「もう、夕方だよ」
あれから、私達はマルのおうちにご厄介になった。お父さんはアリスを連れて行った一人だった。
「ルードは?」
「外でマル君達と遊んでる」
「そっか。ありがとう言わなきゃだなー」
なんだかんだ言って、アリスもルードも優しいしお世話焼きみたい。似てる所が多いから同族嫌悪だっけ? それで反発したりするのかな?
仲良くなったら、いいコンビになりそうなのに。剣と魔法も息があってたし……。
ぐぅぅ
え、私じゃないわよ?
「お腹、空いちゃった」
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「やった!」
耳と尻尾がピーンと立って、急に元気になったアリスを見て、クスクスと笑ってしまった。
この後、沢山のお皿が並ぶテーブルの料理が野菜たっぷりだったのは言うまでもない。
ただ、アリスのところだけ別に肉料理が置いてあり、ルードの無表情な顔が少し可哀想に見えた。
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