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第一章・光の精霊の国
49話・しょっぱい
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チュンピチュピチュピチュン!!
気のせいじゃないっ! もう窓の外まできてる!!
ガバッと起き上がり、私は窓の外を確かめるけれど、何もいなかった。
なんだか、起きろと催促でもされている気分……。
コンコン
ノックの音が響く。
「おはようございます」
「おはよう、ルーシー!」
「今日から、また寂しくなってしまうんですね」
ん、また?
手早く、朝の支度をすませてもらい、髪も綺麗にまとめてもらった。
外を歩くだろうからと、編み上げブーツを履き、パレードの時に着たローブを被る。
「気をつけて、行ってらっしゃいませ」
「行ってきます!」
ルーシーはお辞儀をして、行ってしまった。
私はまとめた服が入った鞄を持って、アリスの待つ中庭へと歩いて行った。
ーーー
「おはよー。リサちゃん」
もぐもぐと、美味しそうにパンをかじりながらアリスが中庭に立っている。
「これ、リサちゃんの分ね」
と言って、ハムとレタスの丸パンサンドイッチをポンと渡された。
アリスが美味しそうにもぐもぐしているので、私もカプリとかじりついた。
ちょっと、ハムがしょっぱい……。
「それじゃあ、ちょっと場所移動するからまた掴まっててね」
あっという間に抱き抱えられる。お魚をくわえた猫さんじゃなくてパンをくわえた猫耳さんがふわりと跳び、空中を翔る。
「風の精霊よ!」
タンッと、宙に舞い上がる途中、カナちゃんがこちらを見ている気がした。私の姿は知らないけれど、じっとこちらを伺っているように見えた……。
絶対、闇の精霊と帰る方法見つけてくるから! 待っててね。
私は、心の中で願った。どうか、間に合って、と。
「あれ、こっちは、魔法の練習の時に使った森の方角?」
パンをもぐもぐしているので、喋ることが出来ないアリスは私の問いに、首を縦にふる。
前に降りた場所よりももっと奥へと行き、ふわっと着地した。
「ほーひゃく!」
もぐもぐもぐとパンの続きを私達は食べ終わらせる。
ぺろりと舌で唇をなめ、アリスは食べ終わったようだ。
「ここがカナの結界のはじっこ。これ以上は外に出られないんだけど」
コンコンと透明なガラスのようなものを叩いている。
「ここから出る方法を聞いてるんだよね?」
私はこくりと頷いた。
『縛られているカナはこの国から動けない。自由のあるリサなら闇の精霊のところに行けるだろう……?』
あのあと、私は結界の外に行くにはどうすればいいのかライトに聞いていた。きちんと出来るかは心配だけど。
「大丈夫、任せて」
気のせいじゃないっ! もう窓の外まできてる!!
ガバッと起き上がり、私は窓の外を確かめるけれど、何もいなかった。
なんだか、起きろと催促でもされている気分……。
コンコン
ノックの音が響く。
「おはようございます」
「おはよう、ルーシー!」
「今日から、また寂しくなってしまうんですね」
ん、また?
手早く、朝の支度をすませてもらい、髪も綺麗にまとめてもらった。
外を歩くだろうからと、編み上げブーツを履き、パレードの時に着たローブを被る。
「気をつけて、行ってらっしゃいませ」
「行ってきます!」
ルーシーはお辞儀をして、行ってしまった。
私はまとめた服が入った鞄を持って、アリスの待つ中庭へと歩いて行った。
ーーー
「おはよー。リサちゃん」
もぐもぐと、美味しそうにパンをかじりながらアリスが中庭に立っている。
「これ、リサちゃんの分ね」
と言って、ハムとレタスの丸パンサンドイッチをポンと渡された。
アリスが美味しそうにもぐもぐしているので、私もカプリとかじりついた。
ちょっと、ハムがしょっぱい……。
「それじゃあ、ちょっと場所移動するからまた掴まっててね」
あっという間に抱き抱えられる。お魚をくわえた猫さんじゃなくてパンをくわえた猫耳さんがふわりと跳び、空中を翔る。
「風の精霊よ!」
タンッと、宙に舞い上がる途中、カナちゃんがこちらを見ている気がした。私の姿は知らないけれど、じっとこちらを伺っているように見えた……。
絶対、闇の精霊と帰る方法見つけてくるから! 待っててね。
私は、心の中で願った。どうか、間に合って、と。
「あれ、こっちは、魔法の練習の時に使った森の方角?」
パンをもぐもぐしているので、喋ることが出来ないアリスは私の問いに、首を縦にふる。
前に降りた場所よりももっと奥へと行き、ふわっと着地した。
「ほーひゃく!」
もぐもぐもぐとパンの続きを私達は食べ終わらせる。
ぺろりと舌で唇をなめ、アリスは食べ終わったようだ。
「ここがカナの結界のはじっこ。これ以上は外に出られないんだけど」
コンコンと透明なガラスのようなものを叩いている。
「ここから出る方法を聞いてるんだよね?」
私はこくりと頷いた。
『縛られているカナはこの国から動けない。自由のあるリサなら闇の精霊のところに行けるだろう……?』
あのあと、私は結界の外に行くにはどうすればいいのかライトに聞いていた。きちんと出来るかは心配だけど。
「大丈夫、任せて」
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