上 下
59 / 94

お泊まり会に心が踊る俺

しおりを挟む
「年末お泊まり!? マキちゃんが! くる……だと……」
「そうだよー。で、どうするお兄!」
「どうするって……」

 マキちゃんがうちにくる? うちにくるだって?
 大事なことなのでもう一度言おう。マキちゃんがくる!!
 この前のパジャマ姿が目に浮かぶ。あのマキちゃんをもう一度拝めるのか。

「そりゃー、決まってるでしょ?」
「……おい、妹よ」
「なんだい、お兄」
「…………」

 ダメだろっ!! マキちゃんはナミのところでお泊まり会であって俺のところではないっ。
 いくら、彼氏彼女の関係でも……、一緒にいられるならいたいけれど! いや、まじで。
 そしてナミは一緒の部屋で寝ちゃう? とでも言いたいのだろう。答えはもちろんイエs――。

「年末ゲーム配信しないー?」

 頭の上をスコーンっといい音をならしながら不純な俺が飛んでった。

「あー、いいけど配信機器が」

 完全ソロ仕様だ。ミツキ専用機。出来れば設定はいじりたくないなぁ。

「そこはほら、お隣だし、運んでもらうよー!」

 え、それって、やっぱり。

「お、重たい」

 俺とマサユキで必要な分の機器を移動する。これって、帰りもだよな。

「いいなー、マリヤも泊まりたい」
「お母さんとお父さんが待ってるんでしょ」
「そうだった。ナミ、大阪のお土産何がいい?」
「んー、大阪って、たこ焼きが真っ先に浮かぶよね」

 そんな会話を聞きながら俺は階段をのぼりナミの部屋の前に行く。

「ナミ開けてくれ」
「あー、はいはい」

 いや、そっちは俺の部屋のドアなんだが?
 ナミが手をかけたのは俺の部屋。まて、掃除とかなんにもしてねぇ。そもそもなぜ俺の部屋なんだ。
 目で訴えるとナミはいつもの調子で親指をグッとさせる。

「お兄の部屋の方が広いし!」

 一畳ほど広いけど!! 確かに広いけど!

 容赦なく開けられたドアの中を見られながら、俺は赤面しつつ自分の部屋に機器を置く。あーもう、そこまでマニアックじゃなくて良かったよ、ちくしょー!
 それなりの本はやっぱりあるわけで。隠しきれてない子が転がっておられたー。
 中に入ってきてるのがマサユキだけなのがまだ救いだが。

「そこ、片付けとけよ」

 って、言われんでも片付けとくよ!! そうか、ウキウキワクワクだけじゃないな。緊急回避出来るようにしておかなくては……。
 この日俺は少しはやい大掃除と選別会をしていた。タイムリミットは20時間後。

「お兄ー」
「樹君ー」

 呼ばれたけれど二人の配信に参加はしなかった。

「マキちゃんに引かれるのだけは嫌だぁぁぁぁ」

 さようなら、俺のコレクション。
 挟んで買った歴戦の友よ。あ、これはこっちに置いとこう。棚の裏まではさすがに見ないよな……?
 明日のゴミ出しは俺が行こう。朝早くな!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。

広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ! 待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの? 「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」 国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。

生意気な妹がVTuber活動をやってるなんて、冗談だと言ってほしい!

あすぴりん
恋愛
俺の双子の妹、赤坂すみれは優秀で非の打ちどころのない高校2年生。かなりの美人で人当たりも良い。しかし兄の俺に対しては冷たいんだよな。だから口を開けば、つんけんしてしまうのだが――。 しかし俺が最近推しているVTuber『星野宮きらり』のLiveを視聴している時だ。ふと、すみれの部屋が最近うるさくて、その日俺は注意をしてやろうと入ったら、隠していた秘密に関わる特大な地雷を踏んでしまう。 まさかこの妹が俺の推しのVTuber『星野宮きらり』だったとは!? そうして様々な事をすみれから頼まれたり、それが切っかけで女の子達との様々な騒動が、普通の高校生の俺の周囲で動き出してしまう。 これはそんな、どたばた日常とVTuberで頑張る女の子たちのコメディー。 「小説家になろう」様にもこの作品は投稿しています。 ※注意 この作品はフィクションです。実在の人物や団体、会社、Vtuberなどとは関係ありません。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

処理中です...