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魔法の学園

もとの姿

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「本物ですのね」
「あの、怖かったりしないの?」

 ヨウの変身をとき、人の姿に戻ってもらった。その姿をまじまじと見つめるイソラ。というか、見すぎじゃないかな。ヨウの口が少しひきつってる。

「イソラ、ヨウが困ってるよ」
「あ、そうね。ごめんなさい。本物を見るのは初めてなので……」
「それで、そんなに見るの?」

 イソラはにっこりと笑うと、力強く答えた。

「えぇ、面白いですわ。本当にそっくりで」
「え?」
「ふふ、私だけ知っているのもアレですね」

 そう言って、イソラははめていたブレスレットを机に置きすぅっと息を吸った。

「カイっ!」

 え? と思った時には、先ほどのヨウの魔法をといた時のように、イソラの姿がパッと変わっていた。
 金色の髪は銀色に変わり、瞳の色も銀色になる。そして、頭には真っ白な角が二本ついている。

「え、え? 誰?」

 目の前で変わったのだから、間違えようなんてない。けれど確かめる言葉が出てきてしまうのは仕方がないと思う。だって、完全に別人だから。でも、なんだか見覚えがある顔立ちで――。

「やぁね、イソラに決まってるでしょ? 目の前で変わったのに」

 声も違う。お嬢様みたいな話し方も変わっている。

「ま、イソラは仮の名前なんだけどね」
「お前も魔人なのか? だから、オレを見ても怖がらないし、平気だったのか」

 ヨウが聞きたかった事を代わりに聞いてくれた。

「違う」

 イソラは首を横にふる。

「私は人よ。魔人じゃない」
「でも、その角――」
「人の子どもにも角持ちがたまに産まれてくるのよ。そういう子はすぐに捨てられたりするのだけど、お金持ちや位が高い人の子どもはね、別なの――」
「それじゃあ……」
「そう、私はリーンの娘。学園長の娘だからここにいるの」
「あぁ、魔人達の中でもたまに産まれるな。ツノナシみたいなものか」
「えぇ、そう。分けられているけれど、もともと魔人も人も同じなのよ。角があるかないか。ただそれだけの違い」

 イソラは自分の角を手でそっと撫でる。

「もしかして、その角がばれて一人なの?」

 きょとんとした顔を向けられたあと、彼女は盛大に笑い出す。

「違うわ、これはばれていないはずよ。一部の角持ち以外には」
「え?!」
「ほら、あの奥の男。あいつも角持ち」
「え?!」

 体育館で見た彼も? ということなのだろうか。

「学園では、カイ先生と学園長、自身の魔法の三段階で変身魔法をかけているの。必要な人はね。そして、あの学園は、角持ちがたぶん多い。角持ちは本当の姿を隠しているから」
「えぇ?」
「制服にも変身魔法がかけてあるの。真実の姿じゃないのよ」
「そうなんだ」
「あぁ、この事はもちろん秘密よ」
「うん、私もヨウの事」
「わかってるって、ヨウ君はその封印具がなくなったら危ないの?」

 急に聞かれ、私は戸惑った。外れていたのは、あの時だけ。ヨウは優しかったけど――。

「ボクはすずしか興味ない。封印具がなくなったら、すずと一緒に逃げる」
「え?!」

 ヨウはそう言ってぎゅっと後ろから私を抱きすくめた。
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